白い夢
「君が必要なんだ」
そんなたくさんの言葉に囲まれて、私は生まれました。
「君が希望なんだ」
そんなたくさんの言葉に囲まれて、私は育ちました。
愛されました。健やかに育つように。恵まれました。清らかな成体になるように。
食べました。たくさんのことを調べるために。眠りました。痛い想いはしないように。
夢を見ました。この白い世界の外のこと。外なんてないといわれるけれど、きっとあると、密かに思うのです。
真っ白で綺麗で、優しくて暖かな世界の外に、何があるのでしょうか。だれかが、いるのでしょうか。
たくさんの日が経ちました。私は成体になりました。たくさんの夢を見ました。そして、みんなの夢が叶いました。
「やった。やった。ありがとう。これで世界から一つ疾がなくなった」
みんなが泣いて喜びました。私もとても嬉しかった。みんながうれしそうだからです。
「君の役目も終わったよ。今までほんとうにありがとう」
それからも、ほんとうにみんなは優しくて。暖かで。たくさん食べて、眠るのですが、どうやら痛い想いは、寝ている私もしていないようです。
ある日、聞いてみたのです。やっぱり、この白い世界の外には、やっぱり世界があるのかと。
ある人が言いました。ゆっくりと、にっこりと。
「そんなものはないよ」
と。
そっか、と私はゆっくり笑って。
やっぱり、この世界は素敵なので。あんまりに素敵なので。
ゆっくり、眠りにつくのでした。




