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弱い化物
社会の流れに乗れなくて、のたうちもがくその姿は、遠目に見れば化物のように映る。
追えない話に乗れなくて、まごつく口と凝視する眼は、傍から見れば人喰いのように映る。
何かを盗み見たくて、しかし人目を避けたいその視線のめぐり方は、害獣のそれに似る。
善良なくだらなさの中で、誰かと笑っていたかったその心は、塞ぎ続けていた胸の底で黴臭く発酵する。
成れ果ては今日も人をかぶり、その上から服をかぶった。
心臓に生えた黴の毛に、日の光を当てるわけにはいかないのだ。黴はとうに、心筋と融和していた。




