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翼
うだつのあがらない翼が生えている。翔べない俺。
翔べないので仕舞っている、無地ダウンの下。
案外みんなにも生えているのだろうか、隠された翼。みんな同じ、だれもが飛べない翼を隠し持っている。学ランの下、キャミの下、スーツの下。
低気圧の日、雲は近い。手を伸ばせば届きそうなのに、羽を伸ばしたって届かない気がする、午前11時、交差点。
チャリに乗った買い物のおばちゃん、巡回中のおまわりさん、デリバリードライバー。
目まぐるしい交差点の中、みんながみんな巡っている。人と街を。まるで助走をつけるみたいに。
俺は。俺は?
走り出した。目的地もなく。
風を受け、羽の一つでもはためけと。




