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翔に秘められた力

「うぅ...やだよぉ...怪力女なんてやだよぉ....。」

「わふ。」(珍しい魔法でよかったね。)

「わたちゃんは全属性じゃん!もっと凄いじゃあああん!!」

わたこに泣きつき駄々をこねる理沙。

そんなことを言いつつもわたこのもふもふの毛を堪能しているのは犬好きの性だろう。


「.....。」

翔はリュシアの部屋着を見てしまった時の思い出す。

理沙が軽くひねったはずの翔の首は、あらぬ方向へと曲がるほどに力が込められていた。

あれでなんで無事だったのかはわからないけど、もし魔筋魔法とやらを使用した状態で同じことをやられたら、翔の頭と体はセパレートしてしまうだろう。


「....今後理沙の事からかうのやめよう....。」

想像してぶるりと体を震わせた翔は理沙への接し方を改めようと決心したのだった。


「おほん、まぁリサさんの魔法は何も自分だけにかけられるというわけではないので、仲間のサポートに使うことも可能ですよ。...(自分で使った方が強いけど...。)」ボソ

「....。」ブルブル

「ほんと~?....翔ちゃんどうしたの?」

幸い、リュシアの最後の言葉は理沙には聞こえていなかったようだ。

しかし、近くにいた翔の耳には届いてしまっていた。


「い、いや!なんでもない!それよりリュシアちゃん!次は俺ね!!」

「ではショウさん、こちらへどうぞ。」

「??」

理沙を誤魔化しつつ翔は水晶玉の前に座った。

自分も異世界モノの主人公みたいに最強な、チート染みた魔法を使える信じてやまない翔は期待に満ちた顔で水晶玉に手を伸ばした。


「.....?」

しかし、水晶玉に変化はない。


「おかしいですね、何かしらの変化はあるはずなんですが....。」

「わふ?」(しょう、魔法使えない?)

「いやいやいやいやいやいやまさか、ちょっと調子悪いだけでしょ。....はぁっ...!!」

わたこの発言を全力で否定した翔は、両手に力を込めた。

その動作をしたところでマナを込める力が強くなるわけでもないというのに。


「....ショウさんからはマナを感じるんですけどねぇ...ちょっと失礼しますね。」

リュシアは翔が力を込めている水晶玉に手を触れた。


「...!?....何ですかこれ?」

翔が手をかざした水晶玉に触れた瞬間、リュシアはその違和感に驚愕した。

水晶で作られた球のはずなのに、指で触れるとなぜか弾力があるゴムのような感触がしたからだ。


「リュシアちゃん?....うわ、なんだこれ。水晶玉がスーパーボールみたいになってる。リュシアちゃんちょっと貸してね。」

「....。」

翔も水晶玉に触れて、リュシアの反応の意味を理解した。

リュシアから水晶玉を受け取った翔は、テーブルの上に水晶玉を落とす。

すると水晶玉はばいん、ばいんばいん、とまるで巨大なスーパーボールのようにテーブルの上をはねた。


「マジかぁ....。これが俺の魔法...?」

「ほんとだー!すごーい!これが翔ちゃんの魔法!?」

「わんわんわん!」(それであそびたい!ちょーだいちょーだい!)

はしゃぐ理沙とわたこ。

翔は期待外れの魔法に困惑気味である。


リュシアは水晶玉の変貌を見てしばらく顎に手を当て考えていたが、突然思いついたように懐からナイフを取り出した。


「ショウさん、ちょっとこのナイフにも水晶玉と同じようにマナを流してみてもらえませんか?紙をイメージしながら。」

「..?いいけど...。...ってうわぁ!」

リュシアからナイフを受け取り同じようにマナを流した瞬間、ナイフはぐにゃりと頭を垂れた。


「わ、わ、ナイフがへにゃってした!」

「やっぱり、これは魔法では無くてショウさんの才能のようです。」

「才能!よかった、俺にもちゃんと才能はあったのか~!!え、これって物の材質を好きなように変化できるってこと??やば~~~~!」

「くぅーん?」(どゆこと~?)

翔は理沙とわたこが才能を駆使する中、自分だけが才能が無いと思っていたので体全体で喜びを表した。


しかしリュシアは困った顔で翔見つめた。


「過去にもその才能を持った人はいたのですが、液体なら同じ液体、個体なら同じ個体と、制限があったようです。また、紙をオリハルコンに変えたりといったことはできなかったようで...原因は解明できていないんですけどね...。」

「そ、そんな....。というか、結局俺の魔法って何だったの!?」

思っていたよりも制約の多い才能にがっくりと肩を落とす翔。

さらに翔は才能への期待が消えたせいで魔法の事を思い出してしまった。


「残念ながら...翔さんはマナを持っていますが魔法を使うことはできないようです....。」

「うそん.....。」

才能でも魔法でも、物語の中の人のように活躍ができないことをしった翔は膝をついて地面に倒れこんだ。


「しょ、翔ちゃん...元気出して?使い方次第で便利な才能だと思うよ...?」

「わん!」(魔法はわたにまかせて~)

「いいよな2人は...魔法が使えて...。理沙は怪力でかっこいいし、わたにいたっては全属性...勇者じゃん...。大型犬の異世界無双日記~全属性に適性のあるわんこは世界最強~じゃん....。....はっ、そういえばリュシアちゃんの才能ってどんななの!?」

翔はガバッと顔を上げてリュシアに話しかけた。

どうやら自分よりも使えない才能を持っている人を見て心を落ち着かせたいようだ。


「え、えっと....『マナ使い』という、マナに関する事すべてに補正がかかる才能で....なんかすみません....。」

翔の意図を察してしまったリュシアは、一瞬、嘘をついて翔を元気づけようとしたが、後で自分の才能を知ってしまった方が辛いのではと考えて真実を口にした。

その結果....。


「....。」ポキッ

「あ、翔ちゃんの心が折れた...。」

「わふ...。」(しょうかわいそう...。)

異世界に来てからずっと密かに期待していた『冒険者になって無双する』という夢が夢のままである事を理解してしまった翔の心は折れた。

仮に戦闘向きな才能があったとしても、彼はなんだかんだで冒険者になることはできないだろう。

そもそも日本暮らしの平和主義者な彼が戦うことなんてできないのだから。

つまり彼の夢は元々叶うことは無かったのである。

平和主義な日本人で、生き物を殺すことに抵抗のない人間などごく一部しか存在しないのである。


「そんなに異世界むそーしたかったのかなぁ?生き物なんて殺しても何も楽しくないのに~。」

そう、田舎に住み、祖父と猪や熊を狩猟していた彼女のような人間の方が稀なのである。




この後、リュシアの指導で理沙とわたこは魔法の使い方を教わるが、翔はその間ずっと地面に伏していた。

夜になっても地面に伏したままの翔は、わたこの背に乗って家まで運ばれたそうな。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「おはようございます....。」

「おー?どうした、今日はやけに元気がねぇじゃねぇか。お前らしくない。」

オルクスは翔が仕事モードなのにも関わらず、オフの時のようなテンションで出勤してきたことに疑問を抱いた。


「...昨日魔法が使えないという事実を突きつけられ、自分の才能が明らかになったんですけど....。」

ひゅるると風が吹いて、翔の目の前に落ち葉が飛んでくる。

それを手でキャッチした翔は落ち葉にマナを込めた。


「これ、食べてみてください。」

「はぁ?落ち葉を?...ショウが人を騙すなんてことないとはおもうがよぉ...。」

渡された落ち葉を手に取って陽の光に透かしながら恐る恐るオルクスは口に入れた。


「うぉ、あめぇ!それにこのサクサクした触感...。なんだ?植物を食べ物に変える才能か?」

「物質をほかの物質に変える才能らしいんですが....俺はもっと冒険者として戦えるような才能を期待してたんですよ...。」

はぁ、と翔は肩を落として答えた。


(その能力があれば食料に事欠かねぇと思うんだが...まぁ期待してた能力とちげぇとそら落ち込むわな)

「あ、あのー、すみません...受け付けはどちらでしょうか..。」

そんなことをオルクスが考えていると、人族の親子が翔たちに向かって話しかけてきた。

いつも話しかけられる前に話しかけていた翔からしたら考えられない程の失態。

翔はプライベートの悩みを仕事に持ち込んでしまったことを後悔し、パン!と自分の頬を叩いた。


「はい、こちらで受け付けております。本日はどういった用件で王都に来られたのでしょうか?」

先ほどまでの落ち込み用から一転、いつもの仕事モードへと切り替わる翔をみてオルクスは小さく笑みをこぼした。


(この切り換えの速さ、流石だな。)

そんなオルクスは一歩引いて門番としての定位置へと戻った。

いつものように仕事を翔に丸投げしているのである。

とはいえ、オルクスのようないい加減な接客では、また以前のようなクレームの日々が待っているため、彼の選択は間違っていないのかもしれない。

翔の仕事量が増えるという問題を除いて考えれば、の話だが。


「あの、王都に来れば住み込みで働けると聞いて...。」

「みてー、鳥さん!」

おどおどとした女性と、鳥に見えなくもない石を持った子供をみて、オルクスは顔をしかめた。


親子の身なりはお世辞にもいいとは言えない。

安物のローブにボロボロの靴。

ローブから見える痩せこけた頬。

こういった住み込みの仕事を求めて訪れる貧困層の人間は嫌というほど見てきた。

いくら王都と言えど無条件に人を受け入れるわけではない。

自分も貧困な農家の出身だということもあって、オルクスが一番接客したくないタイプの一つであった。


「初めまして、門番のショウと申します。差し支えなければ奥様とお子様はどういった才能をお持ちか聞いてもよろしいでしょうか?」

「え?...あぁ、私は小さいものを集める才能で、この子は手に触れたものを一瞬だけ柔らかくする才能ですが...。」

「ねぇ、鳥さんみてよ~!」

その母親は翔の質問の意図がわからないといった表情で答えた。

門前払いを食らうことを覚悟していたのか、怯えているようにもみえた。

子供は才能を使って作ったのか、変わった形の石を手に持ち、母親に褒めてもらおうとけなげに話しかけている。


「成程、素晴らしい才能ですね。オルクスさん、コップに水を入れてきてもらってもいいですか?」

「ん?構わんが...。」

急に話を振られたオルクスは翔に言われた通り、門番の休憩所からコップを二つ持ってきて、魔法で水を入れた。


「凄いね、その鳥さんは君が作ったの?」

「うん!そうだよ!」

その子供が持つ石を見て翔は考えた。

今はとても鳥には見えないとはいえ、石のようなとても硬いものの形を自在に変えるその才能、間違いなく使えると。


「もしよろしければ私の方で紹介状を書かせていただいてもよろしいでしょうか?丁度王都第3地区にある彫金店でお二人のような人材を探していましたので。」

「っっっ!!!そんな、良いのですか!?でも私もこの子も、とてもお役に立てるとは...。」

翔の提案に喜びはするものの、貧困な村の出である母親は半信半疑だった。


「はい、彫金店は精密な作業故に埃が少しでも製作物についてしまえば、価値が下がってしまいます。奥様の才能で掃除をすれば彫金士達はその心配をせずに仕事ができます。お子さんの能力は彫金のような金属の精密加工にとても向いているので彫金士として弟子入りすれば、すぐにその真価を発揮すると思いますよ。もちろん、お子様の将来にかかわることですので、何かやりたいことがあればほかの仕事も紹介できます。」

翔が笑顔で説明していると、母親はどんどんと目を潤ませていった。


「何か作るのは楽しい?」

「うん!大好き!ほかにもいろいろあるよ!これがうしさんで、これはまま!これもキャロがつくったの!」

子供は腰に付けた小さな麻袋から石を取り出して翔に見せると、身にまとっていたローブをめくって、首にかけている石でできたネックレスを見せてくれた。

子供の小さな手のひらに収まるような小さな石で作られた作品を見た翔は、小学生の頃に大好きだった図工の授業を思い出して懐かしい気分になった。


自分の作った物を翔に見せて楽しそうに話す子供を見て、母親はしゃがんで子供と目線を合わせた。


「キャロル、もっとたくさん、いろんなものを作ってみたい?」

「うん!」

「じゃあ一緒に、がんばろっか...!」

その言葉を聞いて母親の目から涙が一気にあふれだす。


「....門番さん、本当にありがとうございます....。紹介状の方、お願いしても..よろしいでしょうか...?」

「ええ、勿論。」

翔はその言葉を聞いて、胸ポケットから紙を取り出して母親と子供の才能について、仕事にどう生かせるか、そしてリュシアから紹介状を書く許可をもらっていることをサラサラと書いていく。


「ありがとう....ございます...っっ」

王都で働くことが最後の頼みの綱だったのだろう、母親は安心して涙を流しながら翔に頭を下げた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで何故翔が紹介状を書いたのかについて説明しよう。

翔は仕事を求めて王都に訪れた人に紹介状を書くことを、フィーダの才能を活かして仕事を提案した時に思いついた。

リュシアから『フィーダのように使いようによってとても有用な才能を持っているのに、その真価を発揮できずに埋もれていく人々が絶えない』と聞き、自分の地球での知識や営業で培った話術で何かできないかと考えたのが始まりだった。


翔が才能を考慮した仕事の斡旋を提案すると、リュシアは快く引き受け、働き手を募集している仕事の一覧を翔へと渡した。

更に紹介状を書く際に、リュシアの名を使うことを許された翔はその期待に応えるべく、仕事の一覧を寝る間を削り頭に全て叩き込んだ。

そして家族で王都の散歩をするという(てい)で募集している全ての店に顔を出した。

驚きの公私混同っぷりである。


『仕事は全力で完ぺきにこなす』という翔のモットーと、『異世界でやることなすこと全て楽しく感じる』という翔の少年心が複雑に絡み合い、バグった結果が『異世界で人のためになることを全力でこなすのは楽しい』である。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ショウ~持ってきたぞ....って、何この状況。」

「あ、ありがとうございます。あとで説明しますね。」

涙を流しながら頭を下げる母親を見てオルクスは戸惑った。

そんなオルクスが持つ水が入った2つのコップを翔は受け取ると、母親の子供、キャロルの前にしゃがみこんだ。


「...キャロルちゃん、好きな飲み物はあるかい?」

「えー?よくわかんないけど、甘い飲み物飲んでみたいなぁ」

「よーし、じゃあよーく見ててね。」

翔はコップにマナを流して、物質を他のものに変化させる才能を使った。

イメージしたのはカルピス。


「わ、わわわ。なんか色が変わった!!」

翔が才能を使うと、オルクスが魔法で注いだ水が見る見るうちに白く濁っていった。


「はい、只の水が美味しい飲み物に大変身!...よかったら奥様もどうぞ。」

「は、はぁ..。ありがとうございます。」

母親は見たことの無い白い飲み物を見て少し不審に思ったが、翔が自分にしてくれたことを考えてコップを受け取った。

一方、翔から受け取った飲み物を全く疑いもせず口にしたキャロルは、一口飲んでから目の色を変えて一気に飲み干した。


「おいしーーーーーーーーーーーー!!!!!!なにこれなにこれ!!!すっごく甘い!!!」

「ほんと...甘くて不思議な風味...驚きました。これは一体なんなのですか??門番さんの才能で作ったのでしょうか?」

「はい、水をこの飲み物に変える才能を使いました。ちなみに、これは私の故郷の飲み物です。」

翔は自分の才能を知った時、落胆していた。

が、それは戦闘向きでは無かったからであり、その才能が使えない才能だったからではない。

翔はこうして水をほかの飲み物に、ジュースや酒に変化させることができるのがどれだけ凄いことか理解している。


しかし、この才能は凄すぎて直接仕事には使えない。水を酒やポーションといった高価な液体に無制限に変えられる事が知られると、間違いなく多方面に敵を作ってしまうからだ。


だから翔はこの才能を自分のためにしか使わないと決めたのだった。


「おじさん凄い!キャロもできるようになる??」

「...キャロルちゃんには同じことはできないと思う...けど、お母さんと一緒に頑張れば、もっと凄い事ができるようになるよ。」

才能は変わることが無いし、新たに増えることもない。

仮にキャロルが翔の才能を持っていても、飲んだことの無い飲み物に変化させることはできないだろう。

イメージができないから。


「え~、何をがんばるの~?」

「彫金....んん、そのネックレスみたいな可愛いものを作るお店でいろんなものをたくさん作れば、キャロルちゃんが作りたいものをなんでも、作れるようになるよ。」

「ほんと!?ままにたくさん可愛いもの作ってあげたい!!頑張る!」

翔はキャロルの頭を撫でた後、彫金士に向けて書いた紹介状をリュシアから貰った封筒に入れると、母親へと渡した。


「では、こちらが紹介状になります。第3地区への道は王都内の地図を見ればわかります。お店も第3地区の地図に書いてありますので、応急魔術師リュシアの紹介であることを伝えれば問題なく対応してくれると思います。」

「本当に、ありがとうございました...!キャロルもお兄さんにお礼言いなさい?」

「おじ...お兄ちゃんありがとう!」

母親がお兄さんといったのは若く見えたからか、お世辞なのか、アラサーになった翔はとても気になったが、今は深く考えないことにした。


「はい、お気をつけて。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「はぁ、紹介状ねぇ。」

親子が去った後翔が紹介状について説明している間、オルクスは終始ソワソワしていた。


「オルクスさん、どうかしましたか?先ほどから何か落ち着きがないような...。」

不思議に思った翔がたずねると、オルクスはずずずいっと距離を詰めて翔の耳元に手を当てた。


「なぁ、さっき使ってた才能、あの親子にはあの甘い飲み物に変えるだけって言ってたけど、実はちげぇだろ?ほら、さっき落ち葉が菓子みたいになってたし。」

「は、はぁ...内緒ですが、他にも代えられますよ。」

翔がそう答えた瞬間、オルクスは鼻息を荒くして更に耳元でささやいた。


「じゃあよぉ、俺の知らないうま~~~~~い酒なんかにも代えられ...。」

「....ますけど、酒場に敵を作りたくないのでやりませんからね。」

「そんなこと言わずにさ~~~~~~~~~~~~~~~~~~頼むよぉ~~~~~~~~~~~」

「だって一回作ったら歯止めが効かなくなるでしょう?オルクスさんはお酒に目がありませんし..。」

「お願いっ!お願いしますッ!!!いっしょ~~~~のお願いッッ!!!!」

翔が断り、オルクスが頼み込む。

このやり取りは仕事が終わるまでの間、ずっと繰り広げられた。

結局翔は、1か月に一度だけという制約の元、水を日本で飲んだ一番美味しいウィスキーに変化させた。


この日からオルクスは翔に媚びだしたのは言うまでもなかった。

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