雨宮家の日常:雨宮翔の場合
「わふ...ぺろん」(あさだよぉ)
「わぷっ....ううぅん...。わたこおはよう。」
翔の朝はほどほどに早い。
寝ぼけながらスマートフォンを眺めると、時間は朝6時。
休日は8時まで寝ている彼も、仕事がある日は人並みに早く起きる。
この世界の1週間は10日、4日毎に1日休みがある。
業種によってその勤務日は様々だ。
「理沙おはよ~。」
「おはよう翔ちゃん。わたちゃんもありがとね~。はい、ごほーびっ!」
「はっはっはっ、わんわんわん!!」(ジャイアントフロッグの足だああああ!わああああい!)
人間の腕程の大きさもあるカエルの足の乾燥肉をわたこに渡した理沙。
その光景はなかなかにショッキングで、本来ご褒美に犬に渡すような量ではない。
しかし、わたこはもはや普通の犬ではない。
知能は人並み、生命力は計り知れないほどに進化している。
「理沙も今日仕事の日だっけ?」
「うん!今日もお肉たっくさんさばいちゃうよぉ~!」
理沙がリュシアより紹介されたのは食品に関わる仕事。その中でも理沙が選んだのは『冒険者ギルドの解体作業』の仕事だった。
なぜ彼女が体力を必要とする仕事を選んだか、それは先ほど述べたわたこの進化と同じ事が翔と理沙に起きているからだ。
この世界に引っ越してきて(・・・・・・・)すぐ、わたこは自分の力が今までと比べ物にならない程...強くなっていることに気が付いた。
切っ掛けは洗濯、いつも量が多く水分を含んで重くなった洗濯物を複数回に分けて運んでいたのに、片手で軽々と持ち上げられたこと。
そこからどの程度力が強くなっているか検証したところ、家にあるもので彼女が持ち上げられないものはない程だった。
その後リュシアに紹介された仕事の中に、『まかないあり!売り物にならない部位は持ち帰ることも可能!』という冒険者ギルドの解体作業の仕事があるのを見つけた理沙は、まだ見ぬ異世界の美味しい肉の味を想像し、よだれを垂らしながら即決した。
そう、彼女は見かけによらず肉食系だったのだ。
「わふっ」(わたこも今日お仕事~)
「あ、わたこもかぁ。じゃあ今日は皆仕事なんだなぁ」
自然に会話が成立しているが、これはわたこの翻訳魔法のお陰である。
とはいえ、特に意識をして発動いるわけではなく、なんとなくできてしまった。という、まさに天才肌のソレだ。
翔と理沙と話がしたいという強い気持ちによって生まれた魔法と言っても過言ではない。
そのため、わたこの翻訳魔法は二人にしか適応されない。
ちなみに、わたこの仕事は犬獣人が住む王都第3地区にある、貴族から平民に幅広く人気の飲食店、「フェンリルの鳴き声」の客寄せだ。
この店の名前にもなっている神獣フェンリルは、決して泣かないと言われている。
そんなフェンリルでさえも泣き叫ぶほど激辛な料理を専門としているという、若干罰当たりな店である。
その店の店主が散歩中のわたこを見て、是非客寄せとして働いてくれと、道の真ん中で土下座されたのがわたこがこの店で働く理由だ。
ちなみに、わたこをモチーフにしたかき氷は、激辛料理でひり付く口内を優しく冷やしてくれると、今や大人気メニューとなっている。
◇
「じゃあ、先にいってくる~。二人も仕事頑張ってな~!」
「うん!翔ちゃんもお仕事頑張ってね~!」
「わんわんわふっ!」(今日もサラマンドラゴラのスープもらってくるねえ!)
出勤時間は翔が一番早い。
彼の仕事は王都の門番、営業で培った巧みな話術で王都に訪れる人々との争いを回避する、とても重要な仕事だ。
翔がこの仕事を始めてから、入国する人とのトラブルがほぼ0になるという、異例の事態が起こっている。
そして今日も、雨宮家の日常が始まる。
◇
翔が立つ王都の門に、1人のドワーフ族の男が近寄ってくる。
泥に汚れている顔は長旅のせいだろう。
ガラガラと、その身一つで荷車を引いてくる姿に翔の同僚であるオルクスは思わず顔をしかめた。
そんな中、翔は一人ニコニコと笑みを浮かべながら一礼をした。
「こんにちは~。遠路はるばるお疲れ様です。王都にはどういったご用件で?」
「お、おう...。第5地区にあるゴルゲンっちゅー鍛冶屋に鉱石を届けに来たんだが....。」
挨拶、ねぎらいの言葉、そして笑顔。
愛想3点セットを食らったドワーフの男はおとなしく目的を翔に話した。
「ゴルゲンさんに鉱石を、ですね。念のため積み荷を確認させていただいてもよろしいですか?」
「ああ。....っ。」
本来、ドワーフ族というのはその職人気質で頑固な性格がトラブルの元となり、平和主義の人族から煙たがられている。
そのため、人族はドワーフと話す時まるで機械のように淡々と接することがほとんどだった。
しかし翔の愛想のよい対応に面を食らい、普段は難癖をつけて断る商売道具の確認をつい了承してしまった。
「....はい!ありがとうございます!この量の鉱石をお1人で運ぶとは流石ドワーフ族ですね。」
「...がははは!こんなもんどうってことないわい!まぁお前さんみたいなひょろっひょろの身体じゃあせいぜいその辺の石ころ一つ運ぶのがやっとだろうな!!」
まんざらでもなさそうなドワーフが翔に対して投げた言葉を聞いたオルクスは、聞こえない程度の舌打ちをする。
しかし、翔は全く気にせず、それどころかドワーフに対してあははと笑い返した。
「あははは、今着てるこの鎧ですら動くのがやっとなのに、その上石まで持ったらその場から動けるわけないじゃないですか!」
どうせ嫌な顔をするだろうと思っていたドワーフは、自分の事を下げてまで笑いに変えようとする翔をみて動きが一瞬止まった。
そして程なくして先ほどよりもひときわ大きく笑う。
「がっっっはっはっは!!!!おもしれぇ奴だなお前は!!!俺はガゼダ、数日はゴルゲンの店にいるから今度遊びに来いや。お前でも石をもって動けるような軽くて頑丈な革鎧を作ってやるよ!!!」
「本当ですか?この鎧、重くて毎日筋肉痛がひどいんですよ。近々お伺いいたしますね。」
談笑を続ける翔を見て唖然とした表情を浮かべるオルクス。
それもそのはず、ドワーフのガゼダは冒険者業界では超有名な、『気に入った相手にしか防具を作らない』超一流の革職人だからだ。
彼の作る革鎧は、金属の鎧に匹敵するとも言われている。
しかしドワーフを煙たく思う人族や、下に見ているエルフ族の冒険者が認められることは中々無い。
彼の防具が欲しいという理由だけで近付く人は一様にして、媚びへつらったようなその場しのぎの低い腰で話しかける。
ガゼダはそれを嫌というほど見てきたため、今では彼に防具を作ってもらえるのはほんの一握りの人族と、同族だけである。
ちなみに獣人は窮屈な防具を嫌い、魔法が込められた魔闘衣を好むため、ガゼダの客に獣人はいない。
「じゃあまたなぁ!」
「はい!お気をつけて!」
ご機嫌なガゼダが翔に別れを告げ、ガラガラと荷車を引きながら門の中へと入っていく。
ガゼダに向けて手を振りながらニコニコと笑みを浮かべる翔に、その一部始終をみていたオルクスが話しかける。
「ショウ...お前ほんとすげーよなぁ。俺は相手があのガゼダってわかっててもドワーフに対してあんな談笑できねぇや...。」
「?ドワーフの方とお話ししたのは初めてでしたが、何がそんなに気になるんですか?普通に凄いじゃないですか、あんな荷物持って隣町から一人でここまでくるなんて。」
翔はドワーフに対する世間の評価を知らない。
何を考えているのか全く理解できないといった表情で首を傾げた翔をみて、オルクスははぁとため息をついた。
「ドワーフにとっちゃ、んなこと当たり前なんだよ。それなのにあいつらはいつも人族を貧弱だの何だのと、見下した目で見やがって...。酒場は奴らがすぐ占領しやがるし、やっと帰ったと思ったら店の酒全て飲み干すし....。マジでロクな奴らじゃないんだって。」
「うーん、多分ですけどそれは人間を見下してるんじゃなくて、彼らなりの世間話なんだと思いますよ?ほら、そういう父親っているじゃないですか、不器用な接し方でしか子供に話しかけられない感じの。」
翔はテレビで見た(・・・・・・)一般的な父親の姿をドワーフに重ねていた。
年が離れると共通の話題もなく、距離を詰めつつも自分の土俵で話してしまうその不器用な姿がそっくりなのだろう(・・・・・)だと、翔は一般的な頑固な父親像について少し考えた。
「そういうもんかねー....ま、どっちにしろ俺には無理だからドワーフはショウに任せるわ。」
「俺がこの仕事着いてから先輩が対応してるのほぼ見たこと無いんですけど...。」
これが翔の新しい日常。
プライベートと仕事の姿がまるで別人のように見えるのは、翔の非公私混同主義のせいである。
彼がその生き方を選んだのは高校時代、アルバイトを始めた頃からだった。
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当時の彼は、学校でも家でも、常に周囲に愛想を振りまき、相手の顔色を窺い、面倒ごとがあれば自ら首を突っ込み仲裁する、とても損をする生き方をしていた。
そういう生き方になったのは、親が原因であったが、とても暗い話になるのでやめておこう。
一日中そんな生き方をしてきた彼は、心身共にストレスがたまっていった。
そして大きな分岐点となったのはアルバイトである。
仕事という社会の歯車の一部となることを経験した彼は、慣れない仕事に対して全力で立ち向かった。
最初の頃は順調に、仕事をこなしていったが、ある日たまりにたまったストレスのせいで仕事中、突然倒れた。
そんなことがあっても心配もせず、迎えにも来ない両親に対して、バイト先の店長と翔の両親でひと悶着あったが、それも省略しよう。
その後、店長は自分を責め何事もなかったかのようにバイトを続ける翔を心配し、カウンセラーと会わせることにした。
そこでカウンセラーに「常に気を張る必要はない、自分の中でスイッチのような物を作りちゃんとONとOFFの使い分けをしなさい」と言われたことで今の翔が完成した。
とはいえ、カウンセラーもそこまで完全にON/OFFを使い分けられるとは思っても見なかったようで、その後も定期的に受けたカウンセリングでは、翔はカウンセラーに「もはや二重人格」とまで言われてしまうのであった。
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「ういーっす」
「おつかれー」
日も沈み、フォレストウルフの遠吠えがかすかに聞こえてきた頃、2人の兵士が門にやって来た。
「おう!お疲れ!」
「フィーダさん、コルツさん、お疲れ様です。」
フィーダとコルツと呼ばれた兵士は気怠そうに武器を構えて翔とオルクスの横に立った。
「フィーダ、お前この前のアレ、どうだった?この前いい感じだって言ってたよな??」
オルクスがにやにやと笑みを浮かべながらフィーダの肩に手をまわす。
フィーダは俯いてため息をつく。
「あぁ...。まぁ、うん....。」
「オルクスさん、オルクスさん。24人目到達っス!そんで、振られた理由は?」
コルツも一緒になってフィーダの肩に手を回す。
どうやらフィーダは過去に24回も女性に振られているらしい。
「だーーーー!るせーーーー!わかってんだろ!!俺の才能のせいだよ!!!」
才能、この世界では誰もが生まれ持っている特殊な力。
その種類は数知れず、また、効果もピンからキリまで様々だ。
武器であればなんでも使いこなせるという冒険者として活躍が約束されている万能な才能から、触れた場所が数秒間光るというよくわからないピンポイントな才能まで存在する。
「いえーい、また俺とコルツの勝ちな~!」
オルクスとコルツはフィーダに手をまわしたままハイタッチをした。
どうやら賭けていたようだ。
もっとも、2人とも『振られる』にかけていたため賭けは成立していないのだが...。
「クソがぁあ...。なんでこんな使えない才能なんだよ....。戦えずとも女にモテるような才能ならなんだっていいのによぉ...。」
「まぁまぁ、俺は嫌いじゃないぜー?お前の才能。」
「見てる分には面白いっスけどね~。」
「そういえばフィーダさんってどんな才能なんですか?」
今日訪れた人の記録をまとめ終わった翔が、落ち込んでいるフィーダに向けて声をかける。
翔はまだ日が浅く、フィーダやコルツとは1度2度顔を合わせただけだったため、個人的な事をあまり知らない。
「あぁそうかショウは知らなかったな。....と、これでいいか。フィーダ、ショウに見せてやってくれよ。」
「....ついに新人のショウくんにも馬鹿にされる日が来るのか....。んん...何色にします?」
オルクスがフィーダに拳サイズの石ころを手渡した。
それを受け取ったフィーダは手袋を外してながら、オルクスに色について問いかけた。
翔がその質問の意図がわからず首をかしげていると、コルツが横から割って入ってきた。
「あんまり目立つ色だと不思議に思われるし、緑とかでいいんじゃね?」
「りょーかい....。」
フィーダが素手で石に触れた瞬間、触れた場所が綺麗な発色のいい緑へと変わっていった。
「色が変わった?」
「これだけじゃねぇぞ?ちょっと貸してみろ....ふっ!...ほれ、ショウ。」
オルクスはフィーダから緑色に変わった石を奪い取り、ガン!と拳で石を割ると、そのままショウに破片を手渡した。
「っと、....え?」
その破片を見た翔は思わず驚きの声を漏らした。
受け取った石の破片は中心部まで緑に染まっていて、表面をコーティングしているような形跡もない。
元から緑色だったかのように、石の材質そのものが変化してしまっていたからだ。
「ショウくん驚いたっしょ、フィーダは触れた材質そのものの色を根元から変えちゃうって謎な才能を持ってる訳。」
「この才能のせいで、女性とデートしてもこの手袋は外せず不審がられるんだよ....。才能の説明をしても気持ち悪がられるし....。はぁ....。」
フィーダは手袋をはめて、頭を抱えた。
オルクスとコルツは落ち込むフィーダの背中をバンバンと叩きながら慰めにならない慰めの言葉を投げかけていた。
しかし、翔は顎に手を当て考え始める。
ちなみに、翔はまだ仕事モードである。
「...フィーダさん、その能力って人体には影響ないんですか?触れた相手の皮膚の色が変わってしまったり....。」
「ああ、皮膚の色は変わったりしないよ...原理はよくわからないけど。」
翔はその言葉を聞いて何か閃いたように手を叩く。
「フィーダさん、明日って何か予定ありますか?」
「非番だから家でゆっくりしようと思ってるけど...。」
「....。」
プライベートをあまり干渉してこない翔から、予想外の言葉が出たことに驚くオルクス。
翔とはここにいる2人よりもたくさん仕事をしているのに、一度も誘われたことが無いということもあって、翔のその提案に少し落ち込んだ事実に3人とも気が付かなかった。
「フィーダさんに紹介したい人がいるんですけど....。」
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それから2日後、フィーダは仕事中の翔の元へとスキップをしながら訪ねてきた。
「ショ~~~~~ウく~~~~~ん!先日は本当にありがとうね~~~~!!あ、オルクスさん。俺今日でこの仕事辞めます。」
「いえ、俺はきっかけを作っただけですから。」
「ショウから聞いてるよ、良かったなぁ....お前の才能が認められて。」
翔がフィーダに合わせた人、それはこの世界にやってきて初めて会った現地人のリュシア。
その能力の効果を聞いて、翔はあることに使えないかと考えた。
「いやーほんとっすよ、俺の才能がむしろ女の子から大人気の流行最先端を行くなんてね~~~っ!」
それは髪や爪の色を変える、日本風に言うと美容師やネイルサロンのようなことだった。
翔はリュシアに話を通して流行に敏感な貴族の夫人や令嬢を集めてもらい、フィーダの才能について説明をした。
この世界では髪の色を変えたり、爪に色を塗るような薬品が無く、自前の武器で勝負するしかない。
理沙が髪の毛を染めに美容院に行きたいと言ってリュシアに泣きついた時に翔はその事実を知った。
その時の理沙の落ち込み用ときたら、わたこにジャイアントフロッグの乾燥足肉をおすそ分けする程だったのだが....。
「今や貴族から平民、冒険者まで好きな髪色に変えてるくらいだからなぁ....。おまけに貴族の彼女までできたってんだから、世の中何が起きるかわかんねぇよなぁ....。」
オルクスは24回振られ続けたフィーダを思い出しながら遠い目をしていた。
「マジで、本当にありがとうね!!俺にできる事だったらなんでも言って!!」
「あはは、本当によかったですよ。でしたら今度妻の髪を染めてもらいたいですね。」
フィーダは翔に熱い抱擁をした後、手を取って上下にブンブンとふった。
「もちろん!お安い御用だよ!それ以外にも今度お礼したいから、今度ショウくんの家に何か持ってくね!」
「俺も髪染めてみっかなぁ....。」
オルクスはフィーダの髪の毛を見て、静かにそうつぶやいた。
フィーダは今、髪の毛を金に染め、毛先に連れて青色と赤色に変わっていくようなグラデーションカラーにしていた。
自分も染めれば、女性にモテるのではないかとひそかに思い馳せる。
そう、オルクスは誰にも言っていないが、34歳独身、彼女なしという、フィーダを馬鹿にできないようなスペックなのだ。
「にしても、ショウくんって仕事とプライベートでまるで別人だよね~。仕事中は真面目な愛想のいい好青年なのに、プライベートじゃコルツくらいだる~~~っとしてんだもん」
「昔から力の入れるところを切り分けてるんですよ。常に気を張ってたら、疲れちゃいますからね。」
「成程ねぇ....。じゃっ!俺仕事に行くから!ショウくんもオルクスさんも頑張って!本当にありがとうね!」
人生が逆転してハイテンションのフィーダはスキップで街の中へと消えて行った。
そんなフィーダを見て、翔はとても満ち足りた気持ちになった。
自分の提案で一人の人生をいい方向に変えたことが、とても嬉しかったからである。
「ショウがコルツくらい....?」
その反面、オルクス(34歳独身)はなんだか寂しさで満ち足りた気持ちになった。
翔と一番仲がいいのは自分だと思っていたのに、フィーダが自分の知らない翔の素顔をあっけなく引き出したからである。
「あの、王都に入りたいんですけど!」
「あぁすみません!!今すぐお伺いします!」
「大分仲良くなってると思ってたんだが....。」
オルクスは翔が心配して夕食に誘うまで、ずっと仕事に手が付かなかったそうだ。