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番外編その3:わたこの過去

今から約2年前、わたこは湖のほとりにあるコテージのような家で生まれた。

家の持ち主は犬好きな老夫婦。


「ふみゃぁ...ふみゃあ....。」

「おっ、こりゃあ別嬪さんだ!ひい、ふう、みい....5匹だな!頑張ったなぁ。」

「あらあら、かわいい子たちだこと!」

女性が母犬を優しく撫で、男性が子犬の健康状態を確認した。

父犬はその様子を心配そうにじっと見つめている。

子犬たちは生まれたてですぐに元気な鳴き声をあげ、母親のお乳を求めてもぞもぞと動いている。


「ちょっとあなた、山爺さんのお孫さんに連絡してあげましょうよ」

「ああ!そうだな、もう自立してるらしいし、昔の約束がやっと果たせるってモンだ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~翔:26歳、理沙:25歳~

「もしもし~....あー!!久しぶりです~!!!」

小さいアパートの一室で暮らす翔と理沙。

そんな理沙のもとに1本の電話が届いた。


「え、ほ、ほんとですか~!!!おめでとうございます~!!!...え、いいんですか!?はい、はい、わかりました~!また連絡します~!」

カーペットに寝っ転がってバラエティ番組を見ていた翔は、普段以上にテンションの高い理沙を見て眉をひそめた。


(理沙があんなに感嘆符をつけることなんて珍しいなぁ...誰と電話してるんだろう?)

翔が机からポテトチップスを食べながら理沙を眺めていると、寝っ転がっている翔の上に覆いかぶさってきた。


「うっ....。重い....。」

「重いなんて失礼な~!!..ねぇねぇねぇねぇ翔ちゃん!!!グレートピレニーズって知ってる~!?」

理沙の重さを全身に感じながら、翔はその名前を脳内で検索した。

グレートピレニーズ、白く長い毛におおわれた大型の犬。

翔もSNSや雑誌、TVで見たことはあるが、実際に見たことはない。

一度でいいからあのモフモフした体を全身で抱きしめたいと、翔は思っていた。


「ピレニーズ、めっちゃ可愛いよな~」

翔は自分で思っている以上に犬好きになっていた。

理沙と出会っていろいろなことに興味を持ち出した翔が、一番興味を示したのは犬だった。

通勤中や営業周りをしている途中、今まで意識してこなかった他人を意識し始めてからというもの、翔が思っている以上に犬と散歩をしている人が多かった。


小型犬や大型犬、長毛や短毛、意識してから翔はいろんな犬を見てきた。

中でも大型犬を撫でまわしたいという欲求はひときわ強かった翔だったが、自分はスーツで犬もつれていない。

そんな男がいきなり散歩中の人に話しかけて犬に触らせてもらおうとした時、絶対に飼い主は警戒するに違いない、と考えた翔は見ていることしかできず、その欲望はネットの動画や画像へとシフトした。

故に無駄に犬の知識だけが増えていったのだった。


「そうそう~!なんかねぇ、お爺ちゃんの知り合いで私も仲良かった人がいるんだけどね~?」

「うん?」

「まだ私が中学生だったころ、その人がピレニーズを2匹飼ってたんだよ~。」

「へー!...羨ましいなぁ!」

スマホを操作しながら理沙は話をつづけた。


「そんでねぇ、その時『大人になったらこの子たちの子供を預ける。』って約束してたんだよ~。そしたら....ほら!」

そう言いながら突き出してきたスマホの画面を見て、翔はあることを察した。


「ま、ままままままさか.....。」

「そう!!そのまさか~!!あの時のピレニーズのお孫さんが生まれたんだって~!!だから一匹育ててみないかって言われたんだけど~!.....翔ちゃんどうかな?」

画面に映っていたのは白いもこもこの大きな犬と、5匹のまだ毛が生えていない子犬。

それはまさに、翔が長きにわたって思いを馳せていた大型犬。


「....?翔ちゃん?翔ちゃ~ん?」

翔はスマホに映る子犬の写真を見つめたまま動かなくなった。

理沙が自分の顔をスマホの横に持ってきて、あざとく上目遣いをしても反応なし。


そんな翔の脳内では、様々な意見が飛び交う会議が繰り広げられていた。


翔1『かわいすぎる!!こんな子と一緒に暮らせたら毎日ハッピー!!』

翔2『この家はペット可ではあるけど大型犬はさすがに不可だけど..。』

翔3『いや、大家の加藤さんに酒とつまみ、お迎えする子の可愛さをアピールできれば』

翔5『名前何にしようかなー、雲みたいだからクラウド...いや、別のキャラクターが浮かぶからやめよう』

翔6『車も直ぐに用意する必要があるな...。』

脳内会議を行う6人の翔たちは、誰一人として飼わないという選択肢を持っていなかった。

それどころか、その先まで思考を巡らせていた。


翔1『とりあえずまぁ』

翔1~6『酒もって加藤さんの家に突撃だろ!!!』


「理沙!俺ちょっと加藤さん所行ってくるわ!その写真俺に送って!」

「え、えぇ~!?何しに行くの~!?」

いきなり立ち上がった翔は、脱衣所に駆け込んで外着に着替えだした。

理沙は突然の翔の行動に困惑する、まだ自分の問いに対する回答が出ていないのだ。


「何って、交渉だよ交渉!!このアパートの条件に『大型犬可』を追加してやる!」

「...えへへ~、翔ちゃんならきっと賛成してくれると思った~!もし交渉できなかったらどうするの~?」

脱衣所から出てきた翔は酒とつまみを買うために財布を手にして理沙にビシッと指を突きつけた。


「そしたら家でも何でも買って引っ越すんだよ!...じゃあ、行ってくるからそっちの話は理沙に任せた!」

「は~い!」

翔の喜びようを見て、子犬が産まれてから翔に伝えたことは正解だったと理沙は安堵した。

もしあらかじめ伝えていれば、犬好きの翔がいつになるかわからない子犬の出産を待てるわけがないと確信していたからだ。


「ふふ、楽しみだなぁ~。」

家族が増える事と、翔の喜ぶ顔、そのどちらも理沙にとっては幸せなことだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~2か月後~

翔と理沙はとある湖のほとりにあるグレートピレニーズの飼い主の元へとやってきた。

翔はこの日のために車を買い、大家の加藤からも3時間にわたる接待の後大型犬を飼う承諾をとっていたのだった。


老夫婦に挨拶と自己紹介をすると、早速子犬たちのいる家の中へと案内された翔と理沙。

家の中に入ると、すぐにリビングから子犬たちの走る音が聞こえてくる。


「じゃあ、この子たちの中から家族になる子を選んでくれ!」

「みんなすっごい元気よぉ!」

老夫婦がリビングの扉を開けた瞬間、どどどどっと4匹の犬が翔たちのもとへ押し寄せてきた。


「...うわぁ...かわいい...。うわわっ」

「すごい、ふわっふわだよ~!..ひゃあ!」

子犬とはいえ大型犬、どの犬も中型犬程の大きさをしていたため、子犬たちに飛びつかれた翔と理沙は体勢を崩して倒れこんだ。


「はははは!みんな2人のこと気に入ったみたいだなぁ!」

「よかったわねぇ~」

「息...できないから!...わぷ...ぷはっ!」

「ん~~~~!かわいい~~~!」

老夫婦は子犬たちに顔中を舐めまわされている翔と理沙をがほほえましく見つめた。

翔はしばらく顔や体にのしかかる子犬たちの幸せな重みを堪能していたが、自分と同じく舐められている理沙のほうをみて、何かに気が付き体を起こした。


「....んん?子犬って5匹じゃありませんでしたっけ」

「....ありゃ、1匹少ないな。今いるのは赤、緑、黄色、青...てことはまた黒か~!」

「黒~?」

翔と起き上がった理沙が自分たちに飛びつく子犬たちを確認すると、一匹一匹違う色のリボンを首に巻いていた。

白い毛に埋もれていたようだ。


「あの子はほんとにマイペースねぇ~。」

「きっとソファーに...ほらいた。」

老夫婦がリビングの中を指をさす。

リビングの一角、大きなソファーの上にピンク色の大きく膨らんだお腹を天に向けに、1匹の子犬が爆睡していた。


「すー....ぴー....」

「...理沙、理沙理沙!俺らに気が付いてない!」

「ほんとだ~!かわいい~!!!」

ほかの姉弟達が今もなお、翔と理沙の足元にまとわりついている中、その黒いリボンをつけた子犬だけはのんきに昼寝をしていた。


「黒は5匹の中でも特にマイペースでなぁ、みんながボールで遊んでる中一人で外に向かって吠えてたり、ご飯の時でもボールで遊んでたり...。変わった奴だよ。」

翔と理沙はその子犬を起こさないようにゆっくりと近付いた。

ソファーの真横にたどり着いても一向に起きない子犬のかわいらしさに、笑いをこらえながら二人は顔を近づけた。


「すぴ....?....ひゃん!!!!」

ようやく二人に気が付いて、なんとも間抜けな鳴き声をあげながら飛び起きた子犬。

いきなり知らない人が目の前にいることに一瞬驚いたものの、直ぐに尻尾を振りながら翔と理沙の顔に近付いた。


「ふんふんふんふん」(だれだれだれ)

警戒心がまったくない子犬は、2人の匂いを熱心に嗅いだ。

その光景に理沙と翔は笑みを浮かべ、目くばせをする。


「理沙」

「うん!」

翔は理沙に一言声をかけると、子犬を優しく抱き上げて顔に近づけた。


「黒リボンちゃん、今日から俺たちの家族になってくれる?」

「???....きゃん!」(あそぼ!)

こうして、雨宮家に家族が増えた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~わたこ生後3か月~

「ただいま~....うわ!」

仕事から帰ってきた翔が目にしたのは泥棒でも入ったのかと思うほど荒れ果てた部屋。

その中をとたたたっと走り回るわたこの口元には布の切れ端。


わたこを引き取ってからというもの、このようなことは日常茶飯事である。

それほどに大型犬のパワーが有り余ってるということだった。


「翔ちゃ~ん!わたちゃんが~、私のお気に入りのふく~やぶいた~~~ひぃぃぃん」

「きゃん!!きゃんきゃんきゃん!!」(たのしい!たのしい!)ブンブン

翔は駆け寄ってきた理沙を軽く抱きしめて頭をぽんぽんと軽くたたいた。


「大型犬って運動量がすごいらしいしなぁ...早くワクチン打ち終わって散歩させて上げられればいいんだけど...。」

犬は原則、狂犬病等のワクチンを3回摂取しないと散歩に行かせられない事になっている。

そのため、子犬ながらもすでに10キロ代に到達したわたこは力が有り余っていて、いたずらが日々耐えることが無いのであった。


「大型犬って元気なんだねぇ~....。そうだ、わたちゃんになにかおもちゃとか買ってあげようよ!」

「そういえば来た時から持ってる犬のぬいぐるみで遊んでるところ最近見ないなあ、よし、ペットショップに行くか!」

思い立ったらすぐ行動、いまだ理沙の服をあむあむと噛みしめていたわたこから服を奪い取り、ケージにわたこを入れた二人はペットショップへと向かった。


ちなみに、ペットショップでテンションの上がった2人はおもちゃを始め、おやつ、ブラシ、フード、レインコート、その他ケア用品等を買い、累計3万を超えてしまったが2人は満足そうな顔をしていたという。

尚、服は1週間でサイズが合わなくなりわたこのおもちゃとなった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~わたこ生後6か月~

「わた、行くぞ~?」

「わんわんわんわん!」(ごはんごはんごはんごはん!)

雨宮家に引き取られて4か月、今日もご飯前に芸の仕込みが始まる。


「お手!お代わり!伏せ!」

「へっへっへ」ササササッ

ご飯が早く食べたい一心で最低限かつ高速で芸をこなしていくわたこ。


「まわれ!」

「わん!」(ごはん!)グルグル

翔が数週間の間教え続けたお陰で、ようやくここまでできるようになった。

ここまでくるのに高い犬用のお菓子を大量に消費するはめになったが、そのおかげもありわたこはだいぶ賢くなった。


「よし!」

「わん!わんわんわん!」(ごはんごはんごはん!!)がふがふがふ

「ふふ、お利口だね~!....にしても....。」

わたこにご飯をあげている翔を後ろからほほえましく見ていた理沙は、わたこをみた。

家に来たばかりの頃から使っている小さめの容器には、ご飯があふれんばかりに盛られている。


それもそのはず、わたこの今の体重は20キロを超えている。

グレートピレニーズとは、大型犬の中でも特に大きくなる犬種。


「うーん...わたこもこの家じゃあ窮屈だろうし、大家さんは大きくなったわたこを見て驚いてたし....。」

大家の加藤に直談判をしてなんとか犬を飼うことを許可してもらった手前、加藤のさじ加減でいつこのアパートを追い出されるかわからないのが現状だった。

翔はその場で座り込み、スマートフォンで何かを調べだした。


「....月換算で9万...ボーナス払いで...。よし!決めた!」

「??何を決めたの~?」

立ち上がった翔は理沙にスマートフォンの画面を見せて微笑んだ。

その画面を見た理沙は思わず手で口を抑える。


「庭付きの家を買おう!!!」

「家...、って家~!?いきなりすぎるよ~!....でも、家かぁ~...。」

翔のいきなりすぎる提案に、理沙は驚きはしたものの、この狭いアパートから広い一軒家に変わることを思い浮かべて思わず笑みがこぼれた。


「わん!」(もっと!)

そしてわたこはお代わりを求めた。


こうして、急遽決まった雨宮家の一軒家購入。

とんとん拍子で話が進み、この時から半年後に経つ新築を雨宮家は心待ちにしたのであった。


それからの出来事は言わずもがな、異世界に家ごと転移される事になるのだが...この時の彼らには知る由もなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「え~っとつまり、この世界に来る前のわたこさんはご飯といたずらの事しか考えてなかった....と....。」

「わふ...。わん!」(そういわれるとそうなんだけど...。今は頭よくなったもん!)

リュシアの発言に思わずムッとしたわたこは、一吠えした後リュシアの脇腹に鼻をぐいぐいと押し付けた。


「あはははは!ちょ、くすぐったいからぁ!あはは!わたこさんやめて~!」

「ふふ、わたちゃんは頭がよくなっても変わらないよね~。ご飯!お散歩!おやつ!あそんで!って~。」

じゃれ合う二人を見て理沙は昔のわたこを思い出した。

ご飯の時間になれば時計を確認できているのかと勘違いするほどにドンピシャなタイミングでご飯をねだり、1日2回各1時間の散歩では走り続け、おやつのためなら難しい芸も覚える。

そして理沙と翔がテレビを見ているとおもちゃを持ってきて遊びを要求する。

今でこそ、散歩は一人でするようになったが他は何も変わっていない。

この世界に来て理沙たちが手を焼く必要がなくなったのはトイレの世話程度だ。


むしろ言葉が通じるようになってより細かい要求をしてくるようになった分、前よりも世話を焼く必要が増えたくらいだった。


「確かに、単純に知能が発達した感じだよなぁ....。交渉ができる分お風呂とか爪切りは楽になったけど...。」

理沙が昔のわたこと今のわたこを比べていると、同じように翔もわたこの今昔を比較していた。


まだ地球にいたころは爪切りもお風呂も大嫌いだったわたこ、その理由は「爪が短くなると歩きにくい」と「自分の匂いが消えると翔と理沙に自分だとわかってもらえなくなる」からだった。

人間の常識と犬の常識は大きく違うことを2人が驚いたのは言うまでもない。


「わふわふぅわん!」(魔法だってしょうより、りさより上手くつかえるもん!りゅしあちゃんよりも才能あるもん!)

わたこの一言により、それまで楽しくじゃれ合ってた2人の間にぴしっと亀裂が入った。

リュシアは額に青筋を浮かべながらゆっくりと立ち上がる。


「あはは......それは聞き捨てならないですね、いいでしょう。わたこさん庭に出ましょう。勝負です。」

クイッと顎でわたこを庭に誘導したリュシアは、壁に立てかけてあった杖を持って一足先に庭へと降りていった。


「わんわんわんわん!」(新しい魔法りゅしあちゃんに見せてあげるー!)

リュシアはプライドをかけた勝負のつもりだったが、わたこからしたら魔法を使った遊び、すでに心意気に大きなずれが生じているのであった。


「この世界に来てほんとーによかった~!わたちゃんとも話せるようになったし、地球にいた頃よりも稼げてるお陰で生活にゆとりが出て....。」

理沙は席を立ってゆっくりと翔の元へと近付いた。


「こうやって翔ちゃんと一緒に入れる時間も増えたし...ねぇ~。」

翔を後ろから抱きしめた理沙。

翔は後頭部に当たる柔らかい感触に即座に気が付き眼をカッと見開いた。


(これは...もしや誘われてる...?理沙からなんて珍しい...いや、初めてか?....外には子供が二人、遊びに夢中。1時間は遊んでる...ハズ。)

掃き出し窓から庭の方を見ると、カーテン越しにものすごい勢いで何かが飛んでいく影が確認できた。

地球にいたころでは考えられない光景だが、わたこはよく庭で魔法の練習をしているのであまり珍しくはない光景だった。


わたこの浮かれ具合、リュシアのムキになり具合から考えても、直ぐには家の中に戻っては来ないだろう。

近所迷惑ではあるが、今日はこの世界のお盆的な連休の初日、この時期の住民は皆安全な観光地に旅行に行っていることが多いため、苦情が来ることはない。

つまり、今この状況は珍しく2人きりで過ごせる時間。

(...いける!)

「理沙.....。」

翔は振り向いて理沙の髪に手を伸ばした....。


「しょうちゃ...んむ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~一方そのころ~

「炎よ!雨となりて焼き尽くせ!!ファイヤーレイン!!」

「わんわん!!」(ひえひえシールド!)

「己が影に囚われよ!!シャドウクラック!」

「わふ」(ぴかぴかライト~)

「負けませんよ!!!ひよっこ魔法使いぬには!!闇より生まれし黒き炎よ!白き犬を黒く染め上げよ!!!ブラックファイア!!!」

「わんわんわん!!わおーん!」(わたはひよこじゃないよ!!!シャイニングお水バリア!!!)

わたことリュシアの戦いは明け方まで続いた。

庭の芝生はリュシアの火魔法によって焼き尽くされ、地面はわたこの水魔法によってぐしゃぐしゃに荒れ果てた。


「魔法はもっとカッコいい名称にってあれほどいったのに!!星の波動よ!!次元を超えて全てを破壊せよ!!!!ディメンションフレア!」

「うるるるるる...わんわんわん!!」(りゅしあちゃんのはかわいくない...そんなのやだよー!!アダマンタイトほねほねシールド!)

規模を抑えてはいるものの、この世界の最高峰の魔法を唱えるリュシアの攻撃を全てわたこは受け止めた。

もちろん、本人たちと家は(・)無傷だった。

しかし庭はボロボロ、大地は盛り上がったりへこんだり、木は消滅し花は燃え尽きた。


2人はこの後、翔と理沙に過去一番の説教を受け、数日かけて庭を綺麗にするのだが、白熱した戦いを繰り広げる彼女たちに、そんなことを考える暇なんてないのだった。

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