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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第一章 ミクロな世界のバクテリア
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8 好奇心猫を殺し、プライドは細菌を生かす。

{熟練度が一定に達しました。「触手推進Lv.1」を獲得しました。}


タコ泳ぎを始めて数分。


ついに諦めかけていた私の脳内に、人工音声のような天からの福音が流れてきた。


何というグットタイミング!


そこに痺れる憧れるぅ!


あー。

努力は身を結ぶってマジだったんですね。

子供をこき使うための大人たちの詭弁かと思ってた。


取り敢えず名前だけ見ればこのスキルは間違いなくこの状況を何とかしてくれるスキルのはずだ!


{ミニマムレッサーバクテリアからの要請を受け取りました。「触手推進Lv.1」を起動しますか?

ーyes

ーno}


もち☆ろん☆yes!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!


うお?

うおお?

うおおおおお!?


触手推進を起動すると、触手の先からジェットが出てるかのように思い通り素早く移動できるようになった。


はっや!

え、まって?

すっご!


これ…なら…やつを…殺せる!


猛加速する自分の体に若干戸惑いながら、触手推進を上手い具合にコントロールし、奴の頭に回り込み…。


戦闘態勢になって生えてきた刃をその勢いのままぶっ刺す!


自分の体とともに加速した刃は、振り下ろしの勢いのままにクマムシの脳天を切り裂く…。



カッキーン



…ようかにみえたが、それから帰ってきたのは現実を告げる無情な金属音だった。


…ほえ?

いやいやいやいやいや。

…ほえ?


も…もっかい!



カッキーン!



は、はぁ?

もっかい!



カッッキーン!!!



…。


かった!

こいつの皮膚かった!!

私のお婆ちゃんみたいなしわっしわの表面なのにこいつの皮膚めっちゃ硬い!


え?

嘘だろ?

いや、贔屓目に見て、この刃鋭いよ?


多分私の家にある千円の値段の割に使いやすかったあの包丁くらいの鋭さはあったよ?


まあ、カップ麺のビニール剥がす時くらいにしか使ってなかったけど。



ウガアアアアアアアアアァアアァアアアアァアアアァァアアアアアァ!!!



私が自分の頭の上に乗った事に気づいたクマムシが咆哮をあげる。


おおお。

暴れる暴れる。


え?

そんな悠長にしてていいのかって?



…実は実際の所、私は触手推進スキルを得た事で既にクマムシよりも足が速くなっている。


だから、イキリ系主人公じゃないけど、もうこいつがいくら頑張ろうと私を殺すことはもう不可能だ。


何てったって殺すための肝心の攻撃が当たらないんだから。


なら、もうこいつを殺す事に固執する必要もないんだよね。

逃げちゃえばいい。


…なんて、さっき触手推進での猛加速を肌で感じてそんなことが頭をよぎった。


でも違うんだなぁー。

その考え。


これは生物皆々が持つプライド?

って言ったらいいのかな?


多分そんなのが邪魔して、逃げようとすると、体が固まった。


もちろん命は大事だ。

でも殺せる相手も殺せないようじゃ今後この世界で生きていける気がしない。


バクテリアなんて矮小な存在がそんなプライド持ってんじゃねぇよって話だけどね。


でも、この世界に来てから数十分しか経っていない私の精神にもこの無駄に高いプライドが染み付いてしまった。


流石バクテリア。

流石の感染力って感じ。


命を賭して殺しにかかってくる相手に、格下だろうが格上だろうがなんだろうがこっちも命を賭して応対する。


それが自然界の掟。


もう夢なんて言えない。私には直感的にわかる。私の魂が告げている。


これは、現実だ。

と。


だから私は殺す。

このモンスターを。全力を以ってして。


ブックマークやら諸々やって頂けると登校速度が1.5倍くらいにはなります。

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