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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第二章 ミクロな世界の生き方

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82/550

Code 1 (4)

「▼△◇△◇◇△◇◎△◇◎?」


「◇△◇△◇▼▼◎■□△◇□△◇!」


「◎◎▼□△◇□△◇▼◎◎◎◎▼!」


「◎◎▼◎◎▼▼□△◇△◇◎△◇□○○!」


目の前で、謎言語の論争が繰り広げられている。

言っている意味は分からないが、時たま俺を指さしながら叫ぶので、俺が原因で修羅場ってるのは容易に想像がつく。


この世界に転生してから凡そ一ヶ月。

ただいま絶賛夫婦喧嘩の火種になっています。

どうしてこうなった。


…。


さっきも言ったが、俺が何らかの原因で死に、この世界に転生してから一か月が経過した。


死んだ原因はいまだに理解できてない。

恐らく死ぬ直前に拾った変な宝石が関係していることは確かのようだ。

勿論、前世に未練はある。

まだまだ出世したかったし、彼女も作りたかった。

子供だってほしかったし、何より、俺のことを大切に育ててくれた親に何の孝行もせずに死んでしまったことにとても罪悪感を感じる。

いつまでも、あると思うな親と金というのがこんな形で実現するなんて全く想像できなかったわけだし。

ここに転生して数日間はそんな後悔と罪悪感に苛まれ続けていた。

後で聞いたことだが、生後数か月なのに泣きもせずただミルクを飲むだけの俺をこっちの世界の両親は随分と心配していたらしい。


…しかし、そんな苦悩も転生してから数週間たったある日、その両親に抱かれて連れていかれた場所で見たものによって吹き飛ばされた。


連れていかれた場所は、今思い出してみると教会だったんだろう。

複雑な模様が幾重にも重なった石灰の彫像。

何やら天使の輪を頭にかぶった神々の絵が彫られているステンドグラス。

ギリシャの宮殿のような建物の中にいたのは、聖職者風の男だった。

俺を抱えていた母親がおもむろに俺をその男に渡すと、男は奥に置かれていたベッドに俺を寝かせ、頭を鷲掴みにした。


当然、俺はパニックになり泣き叫んだ。

しょうがないんだ。

赤ん坊だから。


とにかく、泣き叫ぶ俺を押さえつけ、次の瞬間男がした行動に俺は泣くのも忘れて呆然とした。


…魔法だった。

あれは絶対手品のマジックやトリックじゃない。

俺は、男の手から放たれた光に揺蕩うような感覚を味わい、ゆっくりと目を閉じた。


…次に目が覚めたのは、俺が生まれた家のベッドの上だった。

気が付くと、俺はこれまでの苦悩が嘘のように消え去っているのを感じた。

これが、魔法の効果なのか、それとも単純に心がこの世界に追いついてきたのか、はたまたその両方なのか、俺にはわからない。

ただ、それが、この世界に来てしまった俺が初めて目にする魔法だった。



どたばたどたばた。


俺がそんなことを思い出していると、廊下から何かが走ってくる音が聞こえた。


バンッ


「▼□△◇○◎■!!」


そして入ってきた6、7歳の少女は俺の親と思しき二人に一言いうと、両親から離れて俺を

抱き上げた。


「△◇□○○◎…。」


少女が何かをつぶやくと、唐突な睡魔が俺を襲った。






































俺は、抗うすべなく目を閉じた。


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