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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第一章 ミクロな世界のバクテリア
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7 男子の子供の頃の夢は大体宇宙飛行士(偏見)

{ミニマムレッサーバクテリアからの要請を受け取りました。戦闘態勢に移行しますか?

ーyes

ーno}


…また人工音声みたいな声が聞こえてきた。

戦闘態勢?

なんそれ?


今までのは本気でなかったと?

いいじゃん。

リスクなんて気にしてられない。

もち、yes。


イエスを選択した瞬間、さっきまでウネウネしてただけの触手の先から毒毒しい色をした鋭利な刃が飛び出してきた。


これは…あれだ。寄○獣的なアレだ。


さらに、それに呼応するように私の体からも先っぽに尖った針のようなものが付いた毛が幾つも生えてこれもまたウネウネ動き出した。


なんか意味あんのかね。これ。


まあ、いい。


戦闘態勢に入ってから出てきたものなんだからきっと何かしら戦闘に役に立つものなんだ。


きっと。

多分。

うん。

きっと。


で、もう一つ戦闘態勢に入って変わったことがあって、何というか、その、クマムシの身体が所々ぼんやり光って見える。


具体的にいうと、頭とか、背中とか内臓が透けて見える。


多分だけどこれはクマムシの弱点的な場所なのかな?


これが本能に伴う戦闘欲求ってやつか。


もしくはバクテリアが戦闘態勢に入る事で発動するスキル的な何かか。


便利やん。


んで。

この光ってる部分を信じるとすると、奴の一番弱い所は…頭かな。


ほかにも光ってる所は二つくらいあるけど、今のところ頭が一番強く光ってるし、多分だけど光の強さが敵の弱点の度合いを表してるんだったら、そこがゲームでいうクリティカル判定場所っていう考えでいいのではないでしょーか。


と、言う事はあいつを殺すんだったらそこまで回り込まないといけないわけで。


うおおおおおおおおおおおおおおお!!!


私の持ちうる全身全霊をかけて、私は、タコ泳ぎを再開した。


…。


…転生する以前。元の世界にいた頃。当時私は、テレビ番組で宇宙飛行士が厳しい筋トレやら諸々をしているのを見た時。


「え?宇宙なんてどーせ無重力だし、別に筋トレとかしなくて良くねww」


的なことを考えたことがある。


バカだった。

とてつもなく馬鹿だった。


そんなこと、一日中をゲームに漫画にアニメに捧げてたヒキニートな私が言っていいことじゃなかった。


ゼー、ゼー、ハー、ハー。


やべぇ。

いくら足をかいてもかいても一向に前に進まない。


まさに文字通り空気を蹴る状態。

糠に釘、暖簾に腕押しを体現したような状況だぜ。


まさかここに来て宇宙飛行士の苦労を知ることになろうとは。


ダメだ。このままじゃ確実にクマムシに食われてお陀仏だ。


くー。

引きこもりクソニートには無理な仕事だぜ。


ふううううーーーーー。

うおおおおおおおおおおおおお!!!!


それでも、やらなくちゃただ食われるだけだ。

私は全力でタコ泳ぎを再開した。


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