66 決着!
分体全員に土纏を掛けさせる。
生まれたばかりの分体達ならМP の消費位はギリギリ許容範囲内のはず。
さらにクマムシの体には…ってさすがに無理か。
体がでかすぎる。
じゃあ取り敢えずこれでひとまず準備完了だね。
ふう。
じゃ、いくぜ!
…。
ここまでずっとウイルスの攻撃から私たちを守ってきたハムスターボールに操土で大きめの穴をあける。
当然、そんなことに気づかないほどウイルスは鈍感じゃない。
光魔法が雨あられと降ってくるけど、クマムシを盾にしてる私たちにはかすりもしない。
その程度の攻撃でのけられるほど、私たちはやわじゃない。
次に、ウイルス全体にスキル、「弱点可視化」をかける。
それによって映し出されるのは、このウイルス軍の一番の弱点、最強にして最大の弱点、王将、オリジナルだ。
思考加速で、ウイルス群を見渡す。
そして、ウイルスの分体の頭や体が淡く光る中、一際輝く一体のウイルスがいた。
アイツか。
肉壁を棄て、触手推進で一気に加速、前に飛び出す。
ウイルスは慌てたように分体を肉壁にし、距離を取る。
阻まれる私達。
ウイルスは、大きく後ろに後退し、既に私の急襲から態勢を立て直しつつあった。
…読み通りだ。
後退するウイルスが、突然進行方向にいた何かにぶつかり、その動きを止める。
そこには、さっき棄てた肉壁、ゾンビ化したウイルスの分体がいた。
全身に大きな穴を開けられ、グチャグチャになりながらあらゆる体液を噴き出してなお、元の主人、オリジナルを殺さんとその前腕を繰り出す。
衝撃。
完全に意識外からの攻撃に、ウイルスは前方に吹き飛ばされる。
そして…。
完全に私の射程内に侵入した。
触手推進で SP が、魔法構築でМP が、思考加速で精神が、どんどんどんどん削れてくけど、今はそんなこと気にしない。
気にしてられない。
МP の残り的に、もう魔法は一発しか打てないかな。
…一撃で決めてやんよ。
魔法の構築が完了し、この世に顕現するは私の最強魔法、土槍。
私の合図と共に、それは絶望の轟音を響かせながらウイルスの脳天に強襲する。
ガードを固めようともう無駄。
開いた口に、吸い込まれるようにして土の塊が入っていき…勢い衰えぬまま貫通した。
ああああ a あ a あああ a あああ aa ァァァ a ァァァアアア a ア゛アア゛a ア a ア゛アア゛!!
{経験値が一定に達しました。ルンターレッサーバクテリア lv.l 9→ルンターレッサーバクテリア lv.l 10}
{各種ステータスが上昇しました。}
{条件が一定に達しました。称号(ミクロの殺戮者)を獲得しました。}
{条件が一定に達しました。称号(傲慢)の使用回数制限が 3 減少しました。}
・
・
・
残り HP、0.1
残りМP、0.1
残り SP、0.1
オリジナルが死んだことで周りのウイルスが寄生してたクマムシごと消滅していく中、オート君が何かを言ってるようだけど、それは無視して二つほど、今回学んだ教訓を言っておきたい。
一つ、絶対に油断をしない。
そして一つ!絶対にフラグは立てない!(イケメンとの恋愛フラグは除く。)
お 「『ミクロな世界の女子大生#68』に続くだろう。
と、伝承では伝えられてきたが…
それが定かかどうかは誰もしらねぇよ…。」
登場人物
伝承を伝える系おっさん:
RPGとかでよくいるプレイヤーに伝承やら伝説やら、ストーリー的に意味深なことを教えてくれる親切なのか自己満なのかよくわからないおっさん。
これの派生形に、最初の街周辺にあるモンスターのスポーン地点を教えてくれるお爺さんがいる。
今後一切出てくる予定はないので、覚える必要はない。




