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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第二章 ミクロな世界の生き方

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54 窮鼠が猫を噛めるのはネズミと猫程度の戦力差でのみ起こり得るのだよ。(ドヤァ)


そこからは早かった。

麻痺のかかっている状態のウイルスたちは私の軍勢が放つ土魔法を避け切ることができずになすすべなく皆等しく蹂躙されていった。


そんなウイルスたちのよる地獄が二十分ほど続き、残るは一匹のクマムシと数百匹のウイルスが残るだけとなった。


ふっふっふ。

もう奴らに逃げ場はない。

全方向は分体で固めてあるし、あらからさらに毒刺で麻痺毒を打ち込んできた。


これがいわゆる四面楚歌。

どう足掻いたって袋のネズミ。

窮鼠が猫を編む暇さえもありゃしない。


今どんな気持ちでいるんだろうね?

アホみたいに群れて突っ走って突っ込んできて全滅。

全員私の餌になっちゃった。

笑いが止まらねぇぜ(ゲス)


心なしか、奴らの鳴き声にも怯えが混じってるようにも感じる。

さてと。


そろそろとどめを刺しましょうかね。

土魔法の構築を開始。

土槍を起動。


いつでも発射できる状態にしておく。

さあ、終わらせよう。

このバカみたいな縄張り争いを。

じゃあ、始めよう。

死刑執行を。

ファイエ…。


ウガァァァァァァアアアアアアアア…!


ん?

私がとどめを刺そうと土魔法を発射する号令をかけようとしたところに、クマムシたちの耳障りな鳴き声が割り込んできた。


え?

なに?


ウガアアアア!

ヲオオオオオオ…

ピギャァアアアアアアア!

ギシュアアァァァアア…。


何か、バトッてる。


クマムシがボロボロの体を唸らせながら、ウイルスにその剛腕を叩きつけんとする。

だけど、ウイルスも負けていない、故意なのか否かわからないけど、ふわっと避けてクマムシの方に漂っていく。


まさに血で血を洗う戦闘。


先に手を出したのはウイルスかな?

それが原因でクマムシが振り返り、唐突な殺し合いにまで発展したっていう今この状況。


これは、極限状態での仲間割れみたいな?

もしくは私みたいに現実逃避してるとか?

いや、元からこいつら仲間っていう間柄どころか普段普通にあったんだったら捕食者と捕食される側の関係か。


うん。

何してんの?

おまえら。

目の前に私たちがいるのにそれを無視して内輪もめっていうのは何だかそれはそれであれな感じがする。

どうしてくれるのよこの微妙に傷ついた菌ハートは。

今世でもボッチからの孤立エンドですかコノヤロー。


はあ、まあいいや。

どうせこいつらの生殺与奪の権は私が握ってるわけだし、最後に残ったやつを土魔法で殲滅すればいいか。


…。


さてと。

あれから数分ぐらいが経ったけど、未だに決着がつきませぬ。

ウイルスとクマムシ。

双方にステータスの差はかなりあるにしても、一体しかいなくて弱ってるクマムシ大量に残ってるウイルスはいま、互角の戦いを繰り広げていた。

ま、私が倒す時の優先順位的にもクマムシのほうがよっぽど不利だからこの状況もわからんでもないわけだけどもね。


ブンッ


クマムシの先制攻撃。

クマムシのМP が現状枯渇状態のいま、クマムシが使えるのはその巨体と耐性を無理やりに使った物理ごり押しの戦い。

まあ、そのことを鑑みるとこの、腕を狂気的に振り回してウイルスを牽制するクマムシの行動は正しいと思う。

そして、ステータスは低いが消耗量の少なさと単純な数の多さには定評のあるウイルスはクマムシが振り回す腕の攻撃の合間をうまい具合に縫って攻撃を仕掛けている。

触手推進もないのにどうやってあの攻撃を避けるだけの機動力を持っているのか。

ウイルスの神秘だわ。

しかしそこはいくら不利な状況に立たされているとはいえ、絶望的なまでのステータスの差。ウイルスは着々とその数を減らしていった。


ありゃりゃ。

こりゃクマムシが勝ちそうだねー。

てか、ウイルスに勝ち目ないでしょ。

ほんとに勝ち目ないってわかってるのに何で挑んじゃうのかなー?


馬鹿なのかな?

馬鹿なんだろうなー。

え?

ブーメラン?

ナンノコトダカワカラナイナー?


ウギャアアァァァァァァァ…。


あれだけいたウイルスの分体達も、クマムシが腕を一振り、二振りするごとにその数をどんどん減らしていき、残るは本体一匹となっていた。


あーらら。

これはもう決着がついて感じだね。

さてと…。


ソレが現れたのは、決着の決まった二体の命をかけた戦いを適当に掃除せんとする傲慢な私の触手が上を向いた瞬間だった。


…ッッッッッ!


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