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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第九章 ミクロな世界の戦争

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352 耳の中まで脳みそたっぷり

73


{「獄地魔法」の発動を確認しました。}


妃奈が背もたれにしていた私の腹から離れる。


いそいそと私が座り直しているうちに、コーラがこぼれた地点がコーラごと消滅させられていた。


新たに生成される床と机。


机から生えてきたガラスコップに麦茶が湧き出る。


空中で製氷された氷が小気味いい音と共に投入された。


どかっとソファに座り直す妃奈。


ミニ・リトル五号がTVリモコンを妃奈に投げ渡す。


それをキャッチした後、テレビのチャンネルが切り替わった。


うんざりするほど無機質なモニターは、会議の時のホワイトボードを再度映し出していた。


「お仕事。具体的には石田ぶっ殺しタイムの確認」


真顔でモニターを指差す妃奈。


「おえ。」


吐き戻す動作をすると、半眼になった妃奈がため息をついた。


「しょーがないでしょ、天使共の動向はわからないし、こっち側の準備もあるわけだし、よくわかんないスピーチもあるみたいだし。」


「戦争前のやつね。」


麦茶をストローで吸いつつ返すと、妃奈が起き上がって私を睨んだ。


「そう!あれマジで聞いてなかったんだけど?」


「だってなんか…そういうもんじゃん。どのRPGだってラスボスの正体がわかってなきゃ目的地の設定ができないでしょ?世界に魔物が蔓延りました、では誰をぶち殺せばこの世界に平和が訪れるか考えてみましょうとかやってたらテンポ悪いじゃん。勇者側が間違って『この事件の黒幕は国王ク◯マークだ!』とか言い出したら終わりだし。」


「ぶち殺しに来られるのは私なんだけど。」


「まぁ、魔王だし。」


「魔王は免罪符じゃないって言ったの女神様だよね。」


「…それで、それがどう石田を殺す時期に繋がるわけさ。」


妃奈は再度ため息をつき、私に向き直ってた姿勢を再度ソファに埋めた。


「話逸らしたな…今回の戦争の目的は、人類の数を減らすこと、それとシステムをぶっ壊す事にあるわけでしょ。」


レーザポインターでホワイトボードの該当箇所が囲まれる。


「そうね。ついでに世界もリセットする予定。」


「で、その過程で石田達は最大の障壁になるわけで、それをいつからならぶっ壊せるのかってのを知りたい。」


レーザポインターの赤い点が天使共をなん度も×印に切り刻んだ。


ほーん。


しかし、天使共殲滅の期間ねぇ。


「考えるに、人類の数をある程度減らして、崩壊シナリオが完結し次第システムにはそれなりの容量が開く筈。エネルギーは戦争で相殺されてるから重くなることもないだろうし。つまりは表側での人魔戦争終結後からが天使共との開戦って感じになるね。Code.の本格的な奪い合いもそこからって感じ。」


「Code.は積極的には奪わない感じ?」


「もし簡単に取れそうなら取りに行くけど、もう残ってるCode.は全部守りがガチガチだしね。奪い合いで余計なエネルギーを発生させたくない。特に戦争中は。」


「それは、たとえCode.1でも?」


「つか、何なら一番手出しできないのがそれかも。今回の戦争で使うエネルギーは全部それが捻出してるわけだし、適当なところでCode.1保持者が変わったらどんな悪影響が出るかわからない。最悪宇宙が吹っ飛ぶかも。」


私の爆発ジェスチャーに、天を仰いで呻き声をあげる妃奈。


「…めんどくせぇなぁ。」


「扱ってるエネルギーの最小単位が星故致し方なし。」


弾みをつけてソファに座ったまま麦茶に手を伸ばして、同様にストローをぶっ刺す妃奈。


ストローを噛みながら妃奈は続けた。


「んま、とりあえずぶっ殺し解禁日はわかった。じゃ逆にぶっ殺し期限はいつ頃?」


物騒。


「期限というか、因果的にどっちが先なのかはわかんないけど、Code.を全回収するまでが期限かな。天使共との戦いの争点はCode.をどっちが先に集められるかって感じだし。システムの容量が開いた状況なら、何万年かかったとしても、先にCode.を全部集めた方が勝ち。集められなかった方が負け。って感じ。」


「つまり無期限って事?」


「ま、そうね。全員ぶっ殺すまでがぶっ殺し期限。逆に殺されたらその時も期限になるけど。」


「単純でいいね。」


「得意分野でしょ。」


「私の事バカにしてない?」


「シテナイ、シテナイ。脳筋=全身脳理論は有名。」


「んなミ◯キーみたいな…。」

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