351 風邪対策
超絶怒涛の11/11+n連投
ガサゴソガサと頭の上でポテチの袋が新たに開けられる音がする。
しばらく待って、スっと視界の左端から降りてくるのり塩ポテチ。
「?」
見ると、開封部分がぐちゃぐちゃに捩れていた。
袋は開けられていない。
「開けろと?」
左側頭部がパシパシ叩かれる。
「…。」
右手人差し指を変形させる。
「ジャーン。ミ◯ー」
左側頭部がバシバシ叩かれる。
痛い痛い痛い
さーせんさーせん。
開口部を挟んで指先のカッターで上を切り裂く。
そのまま摘んで上に渡すと、私の頭の上でポテチを喰い始める音が聞こえた。
ポテチのカスがポロポロ落ちてくる。
「…。」
我神ぞ?
どうなん?この扱い。
「あー。」
若干疑問に持ちつつ、口を開けてポテチを催促してみる。
頭の上で多少の葛藤を感じた後、開けた口の中にのり塩が突っ込まれた。
「ん。」
うまい。
砕けて口内に広がる塩味。
「あー。」
塩味。
ヤミー。
「あーー。」
デリシャス。
…まぁいいか。これでも。
そのまま暫くミニ・リトル五号とアニメ鑑賞を満喫していると、後ろからストローを吸う異音と共に足音が近づいてきた。
「女神様。」
「ふぁに?」
妃奈の震える声が背中で聞こえる。
「私、ボケキャラ引退する。」
「え?」
「私そこまでボケの為に人間性を捨てれないわ。」
「え?」
「ボケキャラ舐めてた。ごめん。」
「え?」
…。
「あう。」
妃奈がコーラを吸いながら私の腹前に腰掛ける。
背もたれと背中に挟まれた私の胴体が圧縮される。
「痩せるべきだね、もうちょっと。」
「…女神様と同じ体重なんだけど。」
ムッとした声色と共に更に圧力が加わる腹。
背骨の下の方がビキビキ言い出す。
「フッフッフ…リトル五号のバージョンアップにより肉体の自由な変形が可能となった今、体重は可変なのだ…!」
「…。」
無言で加算される圧力。
鈍い音と共に肋骨がへし折れた。
「あ゜っ。」
…。
ミニ・リトル五号が私の前にコーラのストローを差し出す。
口内に溜まった血液ごと炭酸で流し込む。
「暴力性。」
「魔王故。」
「なんでもそれが免罪符になると思うなよ。」
「女神様にだけだよ。」
「その百合の花、棘生えてない?」
「女神様って男だったの?」
「その理論で行くと妃奈も男になるんですがそれは。」
「きゃは」
カラカラ笑いだす妃奈。
思わずため息が出る。
さっきから割と妃奈のテンションがおかしい。
吸っていたストローを離してミニ・リトル五号に返す。
ミニ・リトル五号はカップを机の上に置き、定位置に戻った。
謎にツボってる妃奈の笑いは止まらない。
躁?
何?
酔ってる?
一頻り笑い転げた妃奈が、同じくコーラを机に放って深呼吸をする。
うまく机に立たなかったコーラが倒れて溢れた。
何度か肩で息をした妃奈が、ゆっくり呼吸を取り戻して、私に向く。
目尻の涙を拭って、口を開いた。
「で、石田はいつ殺す?」
「…温度差で風邪ひきそう。」
74




