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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第一章 ミクロな世界のバクテリア
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4 サーチアンドデストロイ…私がなぁ!!


んで、まあ触手の時にオーバリアクションなくらいベタに驚いたせいで正直なとこ、バクテリアになっちゃってたのは、感情が麻痺しちゃったっていうか、あんま思ったほど驚かなかったというか。


驚かない自分に驚くという矛盾じみた奇妙な精神状態であるでござるよ。

もしかしたら最強なのかも知れぬな。


グウォンウォンウォンウォンウォンウォンウォンウォンウォン…


アホなことを考えていると、唐突に奇妙な鳴き声のような物が後ろから聞こえてきた。


ん。

何?

…!


思わず振り返ったその先には、大きな口を開けて私を飲み込まんとする巨大な微生物モンスターがいた。


ファァァァア!?

何だこいつ!


ぱっと見は芋虫みたいなフォルムしてるけど、頭部に張り付いているのはぐちゃぐちゃに潰された醜悪な皺が刻まれた豚のような顔面と、口だと思われる大穴に並ぶ何物も噛み砕きそうな凶悪な刃。


こういう場合、大抵の異世界魔物転生系主人公が取る選択は、戦うか、逃げるか。


…うん。

いや考えるまでもなく逃げ一択だろ全力で逃げなきゃ…って待て!


よくみたら私、地に足がついてないじゃん!


いや比喩でも何でもなく!


現実問題として私は今よく分からん真っ白な空間に浮いてる!


ナウで!浮いてる!


まあそりゃあ当たり前だよな!

普通こういう微生物とかって宙に漂ってるものだもんね!

バクテリアとかウイルスが地面を這って移動するなんて聞いたことないもん!


うん!


じゃなくて!


自暴自棄になってる場合じゃねー!

取り敢えずこの状況を何とかする方法を見つけなくては!


今すぐに!


そうこう考えてるうちにも、その微生物はゆっくりと、でも確実に動けない私の元に向かってきていた。


マズイマズイマズイ!


授業なんてほぼ聞いてなかったし九割がた寝てたけど大学までに培ってきた脳を全力でフル回転させる。


どうするどうするどうする…。


{熟練度が一定に達しました。「思考加速lv.1」を獲得しました。}


え?

何!?


なんか今変な機械で合成されたっぽい声が聞こえた気がするけど…今は無視だ!


それどころじゃ無いし!


もう暴論だけど、取り敢えず今の私の体は幸にもタコっぽい。


だからタコが泳ぐ感じで足を開閉すれば動けるはずだ!



ウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴ…



…。


結論。

現実はそう甘くなかった。


触手を全力で動かしてみたけど、触手は空を切るだけでほんの少しも後退出来なかった。


てか、そもそもタコってのは8本の触手それぞれに簡単な脳味噌がついてるお陰であんなメチャクチャな動きができるわけであって、いきなりバクテリアになっちゃった私がそんなことをできるわけもなく、よく考えなくてもできるわけないんだな。


念じれば通ずってのあれ所詮人間ができることしかできないからね。


うん。

分かってた。


でも、そんなことをしてる間に、微生物はグングン私との距離を詰めていた。


…これじゃあホントにぷっちり噛み砕かれて即お陀仏確定だ。


いきなりこんなとこに右も左も分からないまま飛ばされた私だけど、いや今もわかってないけど、今は何が何でも生き残らないといけない。なんかそんな気がする。


何故?


理由はないけど何故か何が何でも生き残らないといけない気がする。


おかしいな。

私が飛ばされる前は生き残る事なんて全く考えてなかったのに。


前世以上に生への固執を感じる。


生への絶望無くして生への希望なしってか?


…分からぬ。


ただ、今は何が何でも死んじゃいけないってことだけは分かる。


今はそれだけで十分だ。


ふう。


…んじゃ。

逃げ切ることが不可能ってのはわかったから、生き残るために今は別のことを考えなくちゃいけない。


と、いうか。

戦うか、逃げるか。


逃げる。という選択肢が切れた時点で私にはもう選択肢が一つしかない。


戦う。

戦って、倒す。


へ?

そんなことできるのかって?

やらねえと死ぬからな!

畜生!


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