337 ポタージュ
それなりに怒涛な13/14連投
麻袋を張り、中の私の顔面の輪郭を見せる。
「ニュー・ゴッドボディ。麻袋から出したら辺り一面灰塵と化す。」
「やば。」
薄く笑った妃奈は、指を回してスキルを発動した。
{「時空魔法」の発動を確認しました。}
転移門が目の前に現れる。
先にそれを潜ろうとした妃奈は、直前で何かに気づいたようにこちらを振り向いた。
「あー、えっと、そうだ。その体だと時空魔法使えないんだっけ。」
「あいや、大丈夫。リトル五号で容量あたりの処理ができるから、転移門もちゃんと潜れるよ。人形自体の容量はカスみたいなもんだし。」
「…そ。そんならよかった。」
…。
魔王城第101層は、数時間前にCode.6に殴り込みに行った時と対して変わってなかった。
壁にかけられた絵の配置がなんとなく変わってるように見えるけど、いまいちちゃんと思い出せない。
五号入り麻袋をリビングの端に置いといて、妃奈が入れてくれたコーンスープを啜る。
甘。
インスタントじゃないコーンスープは、滑らかな喉越しとコンソメとコーンのハーモニーを提供してくれる。
甘。
食器をあらかた片付け終わったのか、湯気立ち上るカップを持って私の前に座る妃奈。
「それ何?」
「ポタージュ。ジャガイモの方。……飲む?」
「飲むー。」
じっと見つめる私の視線が自身のカップにあることに気づいた妃奈が、ため息をついて私にそれを差し出してきた。
クルトンのサクサク加減とポタージュのクリーミーさが最高に合ってる。
蕩けそうになる目。
夢現に落ちそうになりながらずっと頭の中で渦巻いていた言葉が口から滑り落ちた。
「…10年…?」
机に突っ伏し、視界が机の色に染まる中、頭上では椅子を引く音と妃奈の柔らかい声があった。
「雰囲気にあった感じで言えたと思ったんだけどなー…ずっと聞いてこないからスルーされたのかと思った。」
「…んあ」
意識が混濁していく。
人並みの身体能力しか持たないこの体は緊張の緩和に耐えられない。
背中に何かが被さったのを感じた。
「女神様はそこで寝てなよ。ちょっと残党狩りに行ってくる。…話はその後でね。」
{「時空魔法」の…
脳が完全にショートする間際、鑑定の人工音声が端で聞こえてすぐに消えた。




