334 成立
それなりに怒涛な6/14連投
「自分で言っといてなんだけど、弱体化って巨大化の事だったん?」
空中でふよふよ浮きながら、妃奈が叫んでるCode.6を指差す。
Code.6は私達が見つけられないのか叫ぶばかりで何もしてこない。
「?巨大化は弱体化でしょ。」
「フラグ的にはね?内実的には強化でしかないんだけど。」
「どうやら、私の地球攻撃で受けたダメージを防ごうとしてエネルギーを過剰ストックしすぎた結果肉体が先に色々超越しちゃったっぽいねー。」
「女神様せいじゃん。」
「Code.6がクソ権能すぎるのが悪い。」
「開き直りやがった…てか、女神様それどうやって浮いてるわけ?私的にこの高さで飛び続けるのきついからその立ち方したいんだけど。」
「あ、これ?」
「それ。」
ため息を吐いた妃奈は、諦めたように私の足元を指さして話題を変えた。
くっくっく。
気づいてしまったようだな。
地球が妙なところに突き刺さっているのにも関わらず、重力は相変わらず透明な床があった方に働いている。
地球攻撃の余波から脱する為転移した距離は、元の場所から直線55万キロ、高さだけでも大体40万キロ弱上空にいる。
飛行スキルによるシステムの加護は成層圏までしか働かないから、この位置で浮遊するには通常の物理法則に沿って飛ばないといけない。
妃奈は今飛龍系のスキルで飛んでるのかな?
飛行スキルは使えないけど、飛龍は飛ぶ概念を持つ魔術的な飛行法を用いるから、止まれてるっぽい。
ただ、やっぱり不慣れなのか不安定に上下している。
でも、それに対して私は今完全に空に足をついて仁王立ちをすることに成功していた。
「必要なのは空間魔法、立体起動、時空魔法、獄地魔法。」
「ふむ。」
得意げに語り出す私に対してメモを取り出す妃奈。
「空間魔法で特定の座標の軸をずらして立体起動で足場判定を発生、時空魔法で継続時間を少し捻じ曲げて、その隙に獄地でその空間を固定するのだ。」
「パワープレイすぎる。」
「そんなもんだよ。」
「ま、やってみようかな。…でっ」
{「空間魔法」の発動を確認しました。}
{「立体起動」の発動を確認しました。}
{エラーが発生しました。}
妃奈が魔法を使った地点でスパークが弾け、座標がずれた立体起動の透明床が妃奈の顔面に激突した。
鼻血を撒き散らしながら吹っ飛ぶ妃奈。
「因みにかなり正確にずらさないと立体起動は見当違いの方にいく。」
「先に言えよ。てか防御貫通だったんだけど?」
鼻血を拭いながら妃奈が帰ってきた。
「まぁ、空間ごとねじれてるわけで、攻撃判定が発生したわけじゃないからダメージ計算に防御力が含まれるわけがなくて。」
私の説明に妃奈が戦々恐々とした声色で尋ねてきた。
「ひょっとしてさ、それ、バグ?」
「バグだよ。」
「普通に死ぬやつやめろよ。」
妃奈がメモを破り捨てた。
「あー、神の知識がああ…。」
「神託にしたってもうちょっと有用なのプリーズ。」
「しょうがないにゃぁ。」
「素直。」
私の言葉に以外そうな声色で妃奈が返す。
私が回す指の先でドス黒い瘴気が立ち上った。
「さっきのでCode.6に位置バレした。」
「は?」
{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}
{「獄地魔法Lv.10」を闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}
{「極闇魔法Lv. 闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しまし 10」を発動しました。}
{「獄地魔法Lv.10」を発動しまし発動しました。}{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}{「極闇魔法た。{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}
{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しまし 10」を発動しました。}
{「獄地魔法Lv.10」を発動しまし発動しました。}{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} Lv.10」を発動しました。{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。}
{「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「極闇魔法た。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しまし 10」を発動しました。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しまし発動しました。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「極闇魔法Lv. 闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しまし 10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。} {Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しました。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。} {「獄地魔法Lv.10」を発動しまし発動しました。} {「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}
衝撃。
「{お゛あ゛お゛あ゛あ゛ぁ゛ああ゛お゛あ゛あ゛ぁ゛あぁ゛あ゛お゛あ゛あ゛ぁ゛ああ゛!!!!!!!!!!])
それが直接聞こえているものなのか、頭の中に響いているものなのかもわからない声が響き渡り、視界いっぱいに現れた光の束が獄閻の障壁に激突してたわむ。
激烈な光が周囲を埋め尽くし、溢れかえるエネルギーは既にダンジョンの許容値を超えていた。
「フラグの話に戻るけどさ。」
「は、え?」
世界がブレていく中、目をパチクリさせている妃奈に話かける。
「やっぱり巨大化は弱体化フラグだし、あいつにとっての死亡フラグだよ。」
「この状況見て言ってる!?それ!」
キレ気味にいう妃奈の叫びに私は薄く笑って首肯した。
「もちろん。」
ヘッドセットを外した。
…
魔王城101層に意識が帰ってくる。
手に持ったヘッドセットは、長く私の意識を転送し続けてたせいで焦げ臭い匂いを放っている。
電源を切り、コントローラーを放った。
「…平面地球の攻撃を受け切るか否かは、あれへの対処に関する最後の分岐だったんです。」
誰もいないリビングに五号の声だけが残る。
妙にしんとした空間はそれになんの返答もない。
午後3時くらいで固定された太陽が刺す光に浮く服の繊維が反射している。
「どうにしろCode.6のストック機能がある限り、空間掌握を取り返しても討伐にはまだいくつかの不確定要素がありました。」
姿が変容する。
神々しさも何もない。
前触れも何もなく、この身は既に人間の姿をやめていた。
「平面地球の直撃によって発生するエネルギーへの対処は魔術的な要素も相まってCode.6はストックされてるエネルギーで相殺するか、丸ごとストックに入れるかの二択しかありませんでした。」
五号人形そっくりのその見た目。
しかし、存在としての決定的な差がそこにはあった。
「彼が行ったのはストックする選択。自身の総エネルギーを無理やり拡張し、肉体を膨張させエネルギーを消費し続ける、システムにとって負荷でしかない選択。そして、あの人形ではもう対処不可となる選択。」
女神の完全顕現にはまだエネルギーが足りていない。
一挙手一投足毎に女神が存在していた地点がボヤけ、現実性を失う。
「あれはフラグでした。Code.6の過剰ストックによるシステムへの負荷、人形では継承不可能な状況。」
{「空間魔法」が発動しました。}
「死亡フラグの成立です。」




