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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第八章 ミクロな世界の侵略

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Code.8 (9)


時空魔法の基本的な機能は空間同士を繋げるところにある。


空間の接続には始点と終点のそれぞれの三次元空間の間に極小規模の異空間を生成し、その空間に2点への出口を作り出すことでそれを完遂させてる。


この時生成される異空間は簡易のものだけど、一つ特殊な機能がある。


それは、内部空間の時間設定。


極小規模とはいえ、空間内を移動する際に多少のタイムラグが発生する。


だから、異空間の中では時間が極めて高速で進む。


だからこその“時”空魔法。


大概アホな設定だけど、まぁなんか当時の女神様が無駄に拘ったところなんでしょう。


とはいえ、普通のテンプレ通りの時空魔法でこの機能を自由に使うことはできない。


SPの上昇によって獲得できるようになるレベル付きの時空魔法には、本来魔物に設定される分の時間設定で固定されてる。


だけど、私の持ってる時空魔法にレベルはない。


Code.8と魔王スキルは全てのスキルのカスタムを可能とする。


勿論それは異空間の時間設定も含まれる。


「の筈なんだけど…」


{エラーが発生しました。}


異空間にて北部高原ダンジョンの掌握をしていた私は帰ってきた鑑定の台詞に眉を顰めた。


時間設定ができない。


神由来といえど、発生した空間掌握は事象にしか過ぎないうえ、それへの対抗馬はCode.8。女神様の権能だ。


格的にも本来負ける筈はない。


だけど、事実として時空魔法の設定は一部働いてないし、掌握は遅々として進まない。


考えられる要因としては、Code.6、あと単純に私のSPが足りてないってこと。


Code.8を持ってても、それに含まれる権能を最大限発揮できるわけじゃない。


元々Code.類は私達に継承された時点でかなりの制限がかかってる。


星一つ分のシミュレーション程度を動かすのに全宇宙を操作できる権能を最大限動かす必要なんてないし、そもそもいくら増やされてるって言っても、SP値は最大発動にもまだ足りない。


ただちにこの問題を解決できないのが本当に歯痒い。


内部の時空間を設定できない以上この掌握にかかる時間はそのまま女神様が耐えるべき時間にもなる。


女神様がそう簡単に負けるとは思えないけど、あの体は魔王スキルで作ったスペアだし、SP値的にもCode.6とダンジョンを吸って増強した死神には及ばない。


「…。」


苛立ちが募る。


掌握率は今47%。


リソースを全部使っても、やっとこれだけ。


爪を噛んだ。



…。



feat.五号


発動の感覚はあった。


MPの消費もちゃんとあった。


でも、濃縮された獄閻魔法シリーズは全てが空中で霧散した。


{「身体超強化Lv.10」を発動しました。}

{「老寿式Lv.10」を発動しました。}

{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}

{「煉獄魔法Lv.10」を発動しました。}

{「腐食攻撃Lv.10」を発動しました。}

{「物理超攻撃Lv.10」を発動しました。}


MPが飽和する中、Code.6に突進する。


デバフとバフの両立。


極闇と腐食と強化の乗った物理超攻撃が、Code.6の顔面にめり込む。


かと思ったら、めり込んだ拳はCode.6が頭を振ると同時に弾かれ、逆に下から切り上げられた鎌で私の腹から胸あたりに裂傷が走った。


回復する暇はない。


肉体の断裂も気にせず、次の行動に移る。


{「変異Lv.10」を発動しました。}

{「触手超推進Lv.10」を発動しました。}


弾かれた腕に触手を生成し、触手推進で慣性を気にせずカウンターパンチを喰らわせる。


それを流れるような動作で回避したCode.6は、姿勢を低く保ったまま鎌の柄で私の顔面を突いた。


吹っ飛ぶ私。


頭から地面に激突し、そのまま転がる。


次に来るであろう攻撃を回避するべく腕を前に突き出し、触手推進でさらに自ら吹っ飛んだ。


姿勢を取り戻し、口内に溜まった血を吐き出す。


さっさと腹の傷の修復を…あれ?


傷を治すべく触った患部は、既に完治していた。


HP自動回復か?


この体には大体全部の戦闘スキルが入れてある。


HP自動回復はそれの最たるものだし、勿論最高レベルで入ってるんだけど、それにしたって治りが早い。


…んー?


…あ?


…あ、


…あー!


{「極闇魔法Lv.10」を発動しました。}


私の頭上に発生した闇魔法の魔法陣が黒く光る。


暗黒が私を包んだ。


獄閻のエネルギー吸収効果は、全てに適用される。


肉体のエネルギーを吸い尽くす極闇は、装甲の少ない複製で生成した部分を真っ先に枯れさせ、削ぐ。


筋肉繊維がむき出しになったかと思えば、次の瞬間に削がれた部分が丸ごと再生された。


極闇が解ける。


そこに残った私の体は、見た目こそ変わらないものの、その全てが再生可能だった。


「エネルギー科目の成績評価はSだよ。」


「光栄でございます。」


青筋を立てながら言う私に、Code.6は深々と頭を下げた。

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