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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第八章 ミクロな世界の侵略

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318 好きな映画繰り返し見るやつ。


視界が暗転する。


景色が捩れたと思ったら私の体は田舎っぽいところにあった。


クールにカムアちゃんと別れ、95層から抜け出した私は魔王城第101層に戻ってきていた。


畦道で区切られた田んぼを横切りつつ、奥の方にあるデカ目の日本家屋に向かう。


ガラガラ音を鳴らしながら玄関に入り、突き当たって左のダイニングの扉を開けた。


「あ、おかえりー。」


中に入ると、洋風建築味が強い内装の中、椅子に座った妃奈がポテチを貪りながら手をヒラヒラさせて迎えてきた。


「「うい。」」


こっちも同様に軽く手を挙げて返し、部屋の奥に向かう。


ダイニングとリビングはつながっており、それを仕切るガラス戸は空いていた。


リビングには床に置かれたこたつと、それを後ろで囲むソファー、そして大きめのテレビが置かれていた。


テレビに映る映像の中にも同様の内装が広がっており、鏡写しのようになったテレビの中のテレビは連なって先で白く飛んでいた。


そしてその前で佇む異形。


VRゴーグルを装着し、コントローラを四つ4本の腕で振る女。


背丈や格好は妃奈とそっくりだが、色素が抜け落ちたかのように白い。


女がコントローラーを振り上げると、同時にこの体も腕を振り上げた。


腕を女の脇の下に入れ、良い感じに持ち上げる。


その状態のまま、歩いてみた。


その様子を見ていた妃奈が、呆れたように言った。


「何それ…リアル◯ティールごっこ?」


「あの映画好きすぎて5周くらいしたもんね。」


「わかる。」


ひとしきり遊んだ後、VRゴーグルを外した。


視界が暗転し、戻った景色は異形側の視点だった。


異形、まぁつまり私は、ずっとVRにて操っていた魔物と対面していた。


「…私って3Dにしたらこんな顔なんだ…。」



…。



今回の作戦として、侵略者を討伐する上でエネルギー消費は最小限に抑える必要があった。


物理主体の敵は魔術主体の敵と比べてエネルギー管理が楽だとはいえ、防御や再生にも少なからずエネルギーは使うし、何より魔術の使用が必須な所に懸念点があった。


元々魔王軍だけで討伐しようとしてたのもそれが要因だし、勝算自体もあった。


只、イレギュラーっていうのは相手が神である以上起こりうるものだ。


大量のスキルが入れられているとはいえど、魔王軍に植え付けられた戦闘経験は実地のものじゃない。


そもそもシュバルト達下層ボスにまでたどり着くほど人類は豪傑じゃないしね。


それに対して創世から闘争を繰り返してきた元神達の戦闘経験は文字通り海千山千のものだ。


勝つ条件は揃っていたけど、覆される可能性も多分にあった。


そこで私達が考えた案が、リモート戦争作戦。


元々作る予定だった対神用モンスターの素体を洗脳し、私が外から操れるように改造する。


VRゴーグルとかはまぁ結構ふざけたけど、視界共有的なところで無駄にMP削るよりかは元々の機能として埋め込んだデバイスを使うほうが楽ではある。


対神用モンスターの特徴はその圧倒的なエネルギー容量だ。


元々そういう風にデザインした素体に魔王城内の獄誘の経験値経路を一瞬弄って強制レベリングさせた対神用モンスターの最大体力、最大MP、最大SPは共に999,999。


スキルとか平均ステータスとかはその分低いけど、私の動きをトレースさせるのに支障がないレベルで基礎ステータスが高いことの方が重要だった。


まぁそのせいで速度に追いつけなかったり、魔法ステータスが足りないせいで術式妨害弾かれたり、MPが多すぎるせいで次元干渉が起こっちゃったりして、結果的に侵略者は取り逃す羽目になっちゃったけど、元の計画的に魔王城から侵略者を除外することに成功したからヨシ!


「そういえば妃奈、侵略者の討伐は95層以外の様子はどんな感じ?」


今日の侵略者討伐軍の進軍は私たち95層組だけじゃない。


初日だけど、いくつかの討伐軍が同時に戦闘を開始した筈だった。


「良いニュースと悪いニュース×2があるんだけど、どっちから聞きたい?」


その質問の時悪いニュースが全体の2/3を占めることってあるんだ…。


「…良いニュースからで。」


「良いニュースは、今回の討伐軍で侵略者に敗北したパーティはなかった事。死者も上層の方でチラチラ出てるけど、さしたる戦力でもないし、なんならリポップするから大した問題でもない。」


「悪いニュースは?」


「95層の極カナヘビが飛ばされた時と同時に全ての階層で同様のことが行われた。私の魔法はスキル由来だから時空魔法の術式妨害はほとんどが失敗。上層の奴の妨害には成功したけど、何度か抵抗した末結局逃走を許しちゃった。」


私と魔術抵抗してさらに他の階層で身妃奈と対抗してたって事?


いくら私の抵抗が対神用モンスターを介したものだったとしても、エネルギー容量多すぎでは?


…まぁ、それに関しては本来の目的的に魔王城を解放することが肝要だったわけだし、最低限達成はできたって感じか。


「ーんで、もう一つは?」


「悪いニュースその2は、侵略者が今Code.6と戦闘を始めたって事。」


「え、外の?」


「外の。」


「不味くね?」


「めっちゃ不味い。」

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