とある魔族の話 (8)
怒涛の5/5連投
「となるとあの存在が少なくとも魔王様級の高位存在であることは確定したわけか…。」
「SPのみになる事例が高位存在の証左であるかはやや不透明ですが、事例が魔王様の他にいない以上私たちとはまた違った存在であることは確かといえます。」
唸るアヴァンにエヴァが付け足した。
「ってことはあの天使の姿にも整合性は取れる…ってことになんのか?」
「それはどうなのだろうな。仮にSPのみになる事例の存在は超越者であると仮定するとしても、人族が進化した存在が超越者になるとは限らない。」
オルドワルドの疑問にシュバルトが腕を組んで返した。
と。
「あの…すみません。」
部屋の隅から声が上がる。
先ほど食事を配膳し終わり、人形の様に静かに立っていたソフィアであった。
発言の許可を乞う様にシュバルトの方を見つめている。
「どうぞ。ソフィア。」
シュバルトは頷き、手で発言を促した。
それに対してソフィアは軽く会釈をして返し、口を開いた。
「実は私、先ほどの魔王軍会議でシュバルト様と一緒に魔王様と天使様のエスコートをさせていただいておりました。」
「ふむ?」
「最初の方ですが、天使様が席にお座りになられた時、魔王様が天使様の背中の羽を引きちぎるのを見ました。」
「引きちっ…何?」
アヴァンが目を丸くして立ち上がり掛けるのを尻目にソフィアは言葉を続ける。
「その後、オルドワルド様が幻術によって囚われた後、侵略者についての説明をする際、魔王様はその天使の羽を天使様に返却なされ、それを受け取った天使様が再度背中にねじ込む様に羽をつけ直しておりました。…極めて高速で行われたことでしたので、おそらく注視していた私の他に気づいたものはいなかったのでは無いかと思い失礼ながら進言させていただきました。」
そう言い切ると、ソフィアは再度一礼し一歩下がって部屋の隅の立ち位置に戻った。
「あー…つまりこう言うことか?…天使の羽が取られても大して気にしない、つまりはあの姿は偽装の可能性があるって?」
ソフィアの話を聞いたオルドワルドが頭を掻きながら返す。
「とはいえ私たちは天使の本来の能力を知りません。羽を遊びで捥がれても再びつければ自然治癒するほどの治癒能力を持っている可能性もあります。」
「そんなことを言ってしまえばここの議論は全て『そう言う種族だから』で結論付けられてしまう。何か、決定的なものが必要だ。」
エヴァの反論にアヴァンがさらに返す。
「シュバルトさんはどう思うんだ?…なんかさっきから黙ってる様に見えるけどよ。」
その様子を微妙な表情で見ていたシュバルトに気づいたオルドワルドが訝しげな表情で話しかける。
それに対してシュバルトは、少々気まずそうな表情で頬を掻きながら口を開いた。
「…今更すまないが、実は私は今日の魔王軍会議以前に天使様に会ったことがある。」




