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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第八章 ミクロな世界の侵略

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308 当事者意識


「はいはーい。そんじゃ、まずは紹介しましょう。えーと、こちら私の直属の上司、五号さんでーす。」


ちゃららーと安っぽいSEを口ずさみながら私の方に手をヒラヒラする妃奈。


行儀良く座った魔物達の顔が一斉にこちらに向けられる。


「あっ…どうもー。」


陰キャモードレベルMAXで返す私。


流れる沈黙。


言外に「え?マジ?」みたいなセリフが聞こえる。


…。


…きつい!


女神フェイスで緩和されてるけど、それでもきつい!


アウェイ感が凄い!


「えーと、一応念話で通達されてたと思うけど、来たる人魔大戦、それ以前の魔王城内に侵略者が侵入しているとの情報はわかってる?」


汗をダラダラ流している私を尻目に妃奈が会議を進行する。


すると魔物達の一人が立ち上がった。


「はっ。私アヴァン、魔王様に通達された件に関して全幹部に通達済みです。現在14層、25層、27層、32層、38層、45層、47層、52層、58層、60層、61層、65層、68層、72層、74層、75層、77層、82層、83層、85層、92層、95層にそれぞれ数体の身元不明モンスター出現していると。」


身長180cm弱くらいの人型、男の魔物。

7:3で分けられた頭の隙間から片角が見え隠れしている。


真面目そうな顔面に引っ提げたメガネ、こちらを睨みつける顔、背筋の伸びたその身を包むのはエンパイアな感じの大礼服。


これは…あれだ。


文官的立ち位置のアレだ。


うん…いいな。


めっちゃそれっぽいわ。


なんか状況とか指導とかするときにメガネをピカーンって光らせそうだし、戦って色々ピンチな時はメガネにヒビが入って「くっ」とか言って普段は涼しい顔が歪みそうだし、メガネとって髪崩したら「お前誰?」ってレベルでオラついた感じになりそうなところが大変良い。


「うんうん。そんで、その身元不明モンスターもとい侵略者達を討伐するにあたって、それらの指揮を…」


私がそのキャラデザに感心していると、それに対して妃奈が返答した。


「…この五号さんに任せようと思ってるんだk「納得いかねぇ。」


かぶさる声。


妃奈が言葉を切り、声の発生源を半眼で見る。


つられて私もそっちを見た。


「納得いかねぇよ魔王様。俺たちは何百年もあんたに忠誠を尽くしてきた。それがいきなり出てきたぽっと出の…」


立っていたのはこれまた180cm弱の人型。


イキリついた肩に苛立たしげに貧乏ゆすりをする足、服装も見るからに素行が悪く、一応大礼服的なものを着ているっぽいけど崩れすぎてあんまりどうとか判別できない。


種族はさっきのアヴァン君と一緒なのか、一本の角を生やした顔面に苛立たしげな表情をくっつけてこっちに愚痴を捲し立てている。


いや…うん。


うん。


いいな。


…うん。


いいな。


大変良い。


すごいそれっぽい。


いろんな場面で大変使いやすそうで良い。


あのなりで案外家庭的な面とかがあると、何と言うか素晴らしい。


ぱっと見バーサーカーですぐ沸点上がるタイプに見せかけて、その実いざって時は死ぬほど冷静に行動できるっぽい感じが大変なんかありがたい。


て言うか、アヴァン君とおんなじ種族てあたりちょっとなんか色々考察できそうでありがたい。


ここにいる魔物達はみんな身なりも服装もさまざまだけど、一応同種族かつ同じ系統の服を着てるってとこになんか色々妄想できる点が出てくるのマジで素晴らしい。


…そんなことできるわけねぇ。見たところ大した力も無さそうだが、本当に魔王様に代わる存在になれんのか?」


さっきからずーっと一息で色々捲し立ててたオラオラ君が言葉を締めてこちらの方を睨みつける。


あー、なんか目付きがアヴァン君と似てる気がするー。


…。


……。


………?


流れる沈黙。


ん?


魔物達の目線が完全に私に固定されている。


んあ。


一旦タンマで。


ゴッドパワー発動!


認識阻害ver.音声!


私と魔王を包み込む様にベールが展開される。


「…え、ひょっとしてこれ私に話せ的なノリ?」


こっそり妃奈に耳打ちする。


外部に音自体は漏れるけど、これがあればその意味を認識することはできないはずだ。


「それ以外ないが?さっきから何聞いてたんだよ。」


私に耳打ちされた妃奈はジト目になってそう返した。


What’s !?


キツイキツイキツイキツイ。


第三者目線で色々見たりするのは得意だけど、当事者になるのはだいぶ無理あるんだよ!


え?


石田とCode.10と元Code.4君はどうなんだって?


あいつらは脅せるから楽なんだわ!


こう言うアウェイな感じは陰キャモード発動するんだってば!


「いや、普通にキャラデザから行間読んで遊んでたって!」


「アホなの?色々言ってたじゃん!女神様は信用できねーとか、実力はあんのかーとか。」


「アヴァン君とオラオラ君の妄想で手詰まりだった…。」


「終わってる…。」


「妃奈のキャラデザがいいのが悪い!」


「今に限っては嬉しくねぇよ。…とりあえずいい感じの返答してよ。うちの子達みんなバーサーカーだからいい感じに威圧かけときゃ従順になると思うし。」


「結局力こそパワーなゴリ押ししかないのね。」


「逆に私らからそれとったら何の残んのよ。インキャオタクな性格とゴミみたいな精神性しか無いからね?」


「哀れな…。」


「女神様だってそうじゃん!」


「私はコピーですし。五号は社交性◯ですし。」


「カス。」


「はぁ…」


「…はぁ。」


「とりあえず力こそパワー作戦で行くけどさ…。」


「けど?」


「この子達の尊厳ってどのくらい破壊していい感じ?」


「…控えめで。」


「おk。」


頭に手を当てる妃奈を尻目に席に戻る。


ベールを解いた。


許可は取った。


まぁ、死ななきゃいいでしょ。



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