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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第八章 ミクロな世界の侵略

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Code.1 (25)

怒涛の24/30連投


「本日の実習は魔王城ダンジョンとなります。」


色とりどりの花々。


道は丁寧に舗装されており、フランスの城のような様相を呈している。


しかし、その舗装された道の先にあるのは絢爛豪華とは言い難い、どこかおどろおどろしい真っ黒な城が建っている。


妙なミスマッチさに、異世界の色を濃く感じた。


教会の人の先導の元、俺たち魔王城攻略メンバーは魔王城まで連れて来られていた。


「あれが魔王城かー!」


「ワクワクするね!」


魔王城から放たれる異質な雰囲気に皆が一様にピリピリする中、レミウルゴスとセスタはいつもの通り妙にテンション高げに腕を振り回しながら共鳴していた。


この二人は図太いというか、何というか…。


「なぁユーリーン!」


「ねぇユーリーン君!」


両肩部に衝撃。


左右から肩を組んできた二人によるものだった。


「お前ら…なんか緊張とかするべきなんじゃ無いのかよ…。」


呆れた声で二人に言う俺に対し、レミウルゴスとセスタは目を輝かせ言った。


「だって魔王城だぜ!?世界一の冒険者になる俺としちゃ、その第一目標だ!」


「いろんな冒険譚の舞台じゃん!ここ!私達も伝説になれるんだよ!」


「図太すぎだろ!」


俺のツッコミに笑い合う二人。


朗らかな雰囲気に周りの緊張も解けてきたようだ。


案外有能な冒険者っていうのはこういう奴らのことを言うのかも知れない。


わ、私だって!と叫びながら突っ込んできたエイも混じり、俺たちの攻勢は後ろからついてきた教員の嗜めが起こるまで続いた。



「それでは本日の予定を発表致します。」


魔王城手前、入り口付近の冒険者教会に到着した俺たちは応接室に通され、そこで待っていた小崎さんの話を聞かされていた。


「本日は15時までに第3層までの到達を予定しております。魔王城の深度はフロアの奥行きによって決まるのですが、もしユニークモンスターに会敵した場合や、進行が極度に遅れた場合は即座に撤退、又は中断します。以上を踏まえ、只今から5分後の9時25分までに冒険者教会受付前まで集合してください。」


「「はい!」」


返事をする。


いよいよ魔王城だ…。


じんわりと緊張する中、後ろの扉が開く音がした。


「やっているかね?」


「司祭さん。」


小崎さんが目を丸くする。


咄嗟に振り向くと、そこには金髪の男が立っていた。


西洋風の顔立ち。

身長は180センチほどだろうか。

整った眉と、黄金比に沿って配置された、人形のような顔。

見た者を捉えて離さないようなその切れ長の目には底知れない冷たさがあった。

プレートアーマーに身を包んだその男は、見た目よりも快活そうな雰囲気で口を開けた。


「アドヴァンダルの生徒さん達が来ていると聞いてね。ご挨拶をと思った次第だ。」


「司祭様がきてくださるとは、祝福が在らんことを…。」


アドヴァンダルの教員が汗をダラダラかきながら男にヘコヘコ頭を下げる。


司祭?


脳内フォルダに保存されている情報とこの男の特徴を擦り合わせる。


…。


……。


…教科書に載っていた一人の男がヒットした。


…ひょっとして、この男、オストワルト教の教祖か!?


「いや何、大した用事じゃ無い。」


アドヴァンダルの教員を手で制し、司祭が一歩こちらにやってくる。


「ただ、今から魔王城に挑む前途ある若者に、少しばかりの祝福を。」


俺たちの方に手を向け、少し目を瞑る司祭。


同時に、俺たちの全身を光が包んだ。


{「聖洸魔法Lv.10」の発動を確認しました。}


俺の鑑定がそれの正体を看破する。


聖洸魔法!?


光属性魔法の最上位魔法、それの10レベル?


ステータスの上昇が鑑定で見るまでもなくわかる。


他の生徒達も一様に自分の肉体が変容したのにあたふたし、自らの体をキョロキョロ見ている。


「祝福は以上だ。君たちの魔王城探索の武運を祈るよ。」


そう言い、俺たちが自身の体の変化にワタワタしている間に司祭は去っていった。


教員ですら、今の事象に理解が追いついておらず、ポカーンとするだけだった。



…。



「…一応規則ですので、こちらをお受け取り下さい。」


冒険者教会受付で、目を瞬かせながら俺たちにスクロールを渡す受付嬢の人。


当然だろう。


今の俺たちは成功魔法の影響でステータスがとんでも無いことになっている。


先程受付で鑑定した限りでは、全員のステータスが100倍近くになっていると言うことだ。


上昇値からして、今の俺たちは俺の両親に匹敵するかそれ以上のステータスを持っている。


味方殺しのスクロールを使う暇もないだろう。


肩を回し、俺たちは魔王城の入り口に立った。


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