298 一撃必殺快楽物質
怒涛の9/30連投
「そういやCode.9の事だけどさ。」
イカスミを塗り合うゲームをやりながら妃奈が唐突に聞いてきた。
「ごめん裏ボールド、右高上がり見といて…何?」
背中にインク弾をぶち当てられ、私のクソデカローラーが爆散したのに舌打ちをしながら聞き返す。
「うおおおおおキル速キル即キル側!私は最速マニューバー!死ね雑魚が!…やった。」
「ナイス。」
マップ上で動き回る妃奈のアイコンを眺める。
少なくともこのゲームは8人くらいオンラインがいないと成り立たないんだけど、どうやら妃奈はこのゲームをやる用の魔物を生成して鯖を動かしているらしい。
コイツ魔王の力を十全に扱ってやがる…。
復帰した私のキャラは足が遅い故に最前線にいる妃奈の元にショートテレポートができない。
大人しくリスポーンから前線まで泳いで行くことにした。
「んでそう、女神様って受肉前にCode.9を獲得したんだよね?」
クソデカローラーの横振り一確距離はライン2.1。
且つ正面に振った場合自身から扇状に判定が出る。
永遠にも思える前隙から放たれたインクの洪水が、正面にいた無防備な短射程シューター共を叩き潰した。
画面下にキルリザルトが3つ並んだ。
あー。
この瞬間のためにこのゲームやってる。
「三枚。アサリ6個ある。」
「おけ、前でてるから飛んで良いよ。」
「うい。」
残り一枚は敵陣に帰った。
空いた隙にゴール前にセンプクした妃奈の元にショートテレポートする。
着地。
同時に置いてあった二つのアサリを拾い、ラグビーボールに変容したそれをゴールに叩き込んだ。
バリアが破壊され、ペナルティが吹き飛ぶ。
次いで沸いたアサリ3個と妃奈が所持していた5つがゴールに入れられ、ゲームはノックアウトでこちら側の勝利となった。
「デス数やば。」
「これがエナスタ二枚編成の弊害か。」
「まぁ割ってないのでモーマンタイ。」
「無印が15回死ぬのは何かしら問題ありだって。」
「スペ減カムバックの元に全ては正当化される。」
「酷すぎる。」
まぁ、勝てればどうということはないのだよ。
その時、ちょうど2時間が経過したのかスケジュール更新が入った。
「お。」
「部屋立てとくわ。」
「あざ。」
新しくマルチグループを作り直す。
読み込みと接続でロードが入る。
「んで。」
…なんだっけ?
Code.9の話か。
「Code.9は魔王城10層あたりで会敵したよ。」
「所持者は?人間?」
人間?
「え、いや、普通に魔物。」
「魔物だったん?」
「ミート・イーターっていう異業種の魔物だったね。固有スキルは食った相手のスキルコピーとその複製。…多分欠片保持者の影響で強化されてたんだと思うけど。」
「知らん…何それ……怖…。」




