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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第七章 ミクロな世界の交錯

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Code.10 (13)


「はい、とりまこれでここまでの諸々の現状説明と事情解説はおしまい。そんで、こっからが1番の本題ね。」


女神がホワイトボードのCode.1についての図式説明部分を消去する。


そしてそれを『Code.1はユーリーン君が持っている』とした後、その下に新たな項目を追加した。


『今後の管理者の在り方。』


石田は生唾を飲み込んだ。


「これね。」


女神がホワイトボードをマーカーで指し示しながら話し始める。


「とりまの今後の私たちの目標は、まず崩壊シナリオイベントを発生させて人類という名の時限爆弾の絶対数を減らす。これはマスト。それで、且つそれを行いながらCode.類を収集、このシミュレーションを自爆させるのが最終目標。それを踏まえて、まず私たちがするべき初期目標がこれになる。」


女神は先ほどまとめた『Code.1はユーリーン君が持っている』の部分を赤マーカーで強調した。


「これ。この子にCode.1の器をさせつつ、シミュレーションの保護がある内に覚醒させてそのエネルギーを崩壊シナリオに転用するってのが私たちがすべき最初のミッションになる。」


「質問ー。」


「はい妃奈さん早かった。」


根室妃奈がはーいと間延びした声と共に挙手をし、それを瞬時に女神が指名した。


「覚醒ってったってどうするん?こいつの村に魔王軍でも送ればいい?」


凡そ人道からかけ離れた事を提案する根室に戦々恐々としつつ、石田は声を上げた。


「それは肯定できない。それでCode.1が死ねば計画は瓦解する上、そも無駄に刺激をして過剰な戦闘が起きればエネルギー問題の面でも非合理的だ。」


「まぁそうね。エネルギーに関してはそのユーリーン君家付近の人口の規模感にも寄るけど、下手な事してその子が死んだら元も子もないし。…ただでさえ生後1ヶ月って脆いしね。」


「…まぁそうか。」


石田の言に対して心底不機嫌そうな顔になった根室だったが、女神も同意した事で不貞腐れた様な顔になりつつ納得した様に机に突っ伏した。


「じゃぁさー、石田はなんかアイデアないわけ?」


まだ終わっていなかった。

机に突っ伏しつつ石田に目線だけ向けてくぐもった声を根室が上げる。


「初代勇者と同じ方法を取る。レーニン・ユーリーンにはわがアドヴァンダル魔法学校に入学してもらい、教育過程の中で適切に魂を強化する。…ここ1000年でその方法も大分効率化された筈だ。」


「…それこそ1000年前の二の舞になるだけじゃね?」


自身の計画を話す石田に根室が爪を眺めながら返す。


「同じ轍は踏まない。それに今回は最終目標が別だ。あの時は継承させることが第一だったが、今回はそれを覚醒させることに重きがある。」


「同列の上位難易度のことを別目標とはあんま言えねぇけどな。」


「私たちは1000年研究を続けたのだ。絶対的に見れば難易度はむしろ減少している。」


「研究分野の進行度を物理的な俯瞰視点で見る研究者初めて見たわ。お仕事シミュのスキルツリーだと思ってる?」


「似た様なものだ。魔術を得てからの研究分野の促進はかつての科学文明のそれを遥かに凌駕している。」


「退化したのを戻してるだけじゃん。舗装された未知の探求で頑張った気になってんじゃねぇよ。そのうち『我々は見た!』とか言い出すんじゃない?」


「はいそこまでー。」


根室の言葉にさらに反論しようとしたところで女神がそれを中断させた。


「レスバだったら4:6くらいで妃奈に軍配が上がったと思うけど、今回必要なのは解決策だからね。少なくとも人間を人間界の機関で安定的に成長させられるなら一考の価値はある。」


「…むぅ。」


女神の言に根室は不満そうな顔で席に戻った。


「とは言え石田、流石に全部お前に任せられる程私は頭パーじゃ無いからね。私もCode.1君に干渉できる様に手回しぐらいはさせてもらう。」


半眼になりながらこちらを向く女神に石田は肩をすくめて言った。


「勿論です。」


「あと、取り敢えずの条件だけど、少なくともCode.1君視点から互いに不干渉である事は徹底する事。」


「無論です。」


「はぁ…んじゃま、とりまCode.1君の扱い方はそんな感じで行くとして…。崩壊シナリオ、まぁここではCode.について話そうか。」


女神はユーリーンに関しての暫定的な内容をホワイトボードに記し、次いでその下に『Code.について』と記述した。


石田の額に汗が一筋通った。


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