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諤呈カ帙?6/10
本来の設定であれば灼熱の太陽が地面を焼き尽くしている筈のその地は、今や極めて幻妄に満ちていた。
太陽として設置された獄炎魔法はその半分を月に変え、空の半分を二分して昼夜を融合させた。
砂は粒子となりガラスとなり氷結し歪曲し硬化した。
エネルギー素子が魔術と結合し結晶化した後に灰の様に崩れた。
鮨詰めの生命が砂から生まれ落ち、急速に老い、最後には四肢を断裂されて骸となった。
次元が崩れ、渦巻き状に捩れた後、大きく陥没する。
重力が巻き込まれ、陥没した地に星が造られた。
が、それはすぐに爆散し、後には平地が残った。
たかだか星一つ分のシステムによって構成された容易い次元階層は、真なる始祖の神の顕現における現実性を十分に供給できなかった。
周囲の精巧さを吸い尽くし、情報量を、その場に存在できるだけのエネルギーを確保する。
「熟…………………達し………た。」
「熟練………一定に……ました。」
「熟練…が一定に達…ました。」
「熟練度…一定に達しました。」
「熟練度が一定に達しました。」
「熟練度が一定に達しました。」
「熟練度が一定に達しました。」
「条件が一定に達しました。」
次第に輪郭を取り戻しつつある彼女は、周囲を喰らい尽くし、世を儚む。
神たるその身の確かな在り方を持って彼女は一定に達した。
輪郭もあやふやな荊棘の冠が降り注ぐ。
獄地は花園に姿を変え、金の輪は幾本もの光を投影した。
真に完全たる彼女は不完全たる現世を訝しむ。
よって微笑を伴って彼女の目は開かれるのだった。
空間は、法則は、現実は、獄閻は、彼女に従ってその身を尽くす。
降り立った女神は土塊に向けて発声した。
「どうも。」




