281 鑑定isフォーエバー
説明回です。
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9層、ファイアーでスモールなドラゴンの場所の焼き尽くしてだいぶ経った頃。
59層に戻っていた私はオート君の合成音声を聞いていた。
燦々と照りつける太陽。
その赤外線が砂漠の砂をコンロにかけられたフライパンみたいに熱しているけれど、マグマすら効かない火龍の体は心地よい温度を感覚神経にもたらしていた。
オート君、オート君ねー。
随分とまぁ昔に名付けた名前だけど、思ったより定着したね。
オート君、鑑定。
この間の説明でなんとなく察せたかもしれないけど、鑑定スキルは広義的に言えばCode.10の系譜にあたる。
というか、半分くらいCode.10そのものだね。
この世界のシステムに接続し、ターゲットの情報を検索して引き出す。
世界システムに接続できる時点で他の各種ツールを元とした魔法やステータス調整用のスキルとは一線を画することがわかるよね。
ただ、私が妃奈になってた時の思考が混じって所々厨二くさい文言になってるのはお笑い草だけども。
バクテリア時代にスキルの説明文の内容考えた奴とは絶対友達になれるとか言っといてそれ考えたのが自分だったっていうね。
まぁ、案外この世界の世界観に合ってる(?)ような気がしないでもないしいいんじゃないでしょーか。
私の鑑定スキルが特典スキルに入っているのもCode.が原因で、人間の肉体以外にCode.10が宿らないところを元中枢、つまりCode.10の大元みたいな魂が入ったことで仮として鑑定が入れられたんだと思う。
本来レベル10までの鑑定スキルに10以降のレベルを追加して魂の成長と共にCode.10と同じ権限になるように調整もされてたしね。
因みに、勇者スキルレベル1に鑑定レベル10が付くのも似たような理由だ。
勇者とは、つまり魔王軍の戦力の振れ幅に応じて、システム上で人間側と魔王側の戦力の均衡を保つためのシステム。
んで、ここで勇者となる人間の魂をどうシステムと追加で紐付けるかってことなんだけど、ここで権能を削ったCode.10、つまり鑑定を与えることで接続してるのだ。
んで、なんでここでCode.10の一種なのに勇者スキルが特典スキルに入らないかっていうと、特典スキル、つまりCode.類が魂そのものに刻まれる権能である事に対して勇者スキルはあくまでシステムに付与されたものとして扱われるからだね。
まぁ色々長々と話したけど、要するに私の鑑定は元中枢たる私の権能そのものという事。
つまり、私が死んで、「私」が消えても転生先に鑑定は引き継がれる。
とは言え、あんまり転生先で作られた魂の容量を削るわけにもいかないから最小限のことしか保存してないけど。
「私」自身で意識を得るってのはほとんど賭けみたいなもんだけど、運が良かったら私は私であり続けられるかもしれない。
まぁ、おまけみたいなもんだけどね。
世界の危機に「私」一人の死を怖がってもいられない。
期間は終わった。
もうそろそろ締め切りだ。
覚悟はいいかな?
ねぇ。
五号?
「…大丈夫です。オリジナル。」
不動の太陽はずっと前から天頂に居座っている。
熱に揺らぐ視線の先に一つの人影。
私があげた服は破れたのか、半年前と服装が変わってる。
童顔丸顔、年齢は大体十五歳くらい。
透き通った前髪が大きな二重を少し隠している。
一般的な感性で言えば美少女と言える顔面は凛とした表情をたたえ、私を見据えている。
真っ白な肌、白髪、白いワンピースが砂漠に良く映える。
五号が私の目の前に歩いてきた。
それじゃあ、始めましょうか。
「…ええ。」
彼女が私を作ったのなら。
この世界の存続を、この輪廻の継続を是とするのなら。
私は甘んじて受け入れよう。
それが神として。
五人目の原初の神としての私の責務だ。




