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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第七章 ミクロな世界の交錯

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Code.1 (20)


大体高さ6メートルくらいの天井。

入り口からは若干下り坂になっており、奥に進むにつれ広がっているようだ。


壁が淡く発光しているのは魔力に当てられた地形が変形するときに過剰に吸い込んだ魔力を放出しているからということだったが、光源も何もないのに確かに周囲が見渡せると言うのはなんとも奇妙な感じだ。


俺たちが初めてのダンジョンに圧倒されていると、さっき一緒に入ってきた赤髪の女教員が口を開いた。


「それじゃあ、今からダンジョン演習を始めます。危ない敵は私が補助するので、教えられた通り、ダンジョン攻略を進めていきましょう。」


「うん!」

「わかりました。」

「…はい。」


俺たちは三者三様に返事をして、さっき決めた通りのフォーメーションを組む。


セスタが先頭、俺がその後ろ、アレンが最後尾だ。


淡く発光しているとはいえ、外から見た時と同じように先は暗闇に没している。


このランク2ダンジョンにポップするモンスターは、ゴブリン、吸血コウモリ、魔犬の3種類だ。


遠距離攻撃系統の敵はいないが、不意を取られればどうにしろ危険な相手であることには変わりない。


逆にいえば、しっかり周囲を把握して敵に挑めば十分に対処できる相手だとも言える。


それに、さっき言ったモンスターでも群れれば強敵になりうるが、このランクのダンジョンならば群れるほどポップしないと言うのもわかっている。


慎重に進めばなんら問題はない筈だ。


…とは言え、怖いものは怖い。


ダンジョンの岩肌をゆっくりと伝って進む。

あたりは静寂に包まれていた。

生唾を飲み込む音が妙に大きく聞こえる気がした。


「…きた…!」


セスタが立ち止まる。


指し示す先にいたのは、一匹のゴブリンだった。


{ゴブリン Lv.6


HP 79/ 83

МP 95

SP 72/90


平均瞬発力: 36

平均攻撃能力: 58

平均魔法攻撃能力:49

平均防御能力: 42


称号:


スキル : 「棒術Lv.3(new)」「物理攻撃Lv.5(new)」


経験値: 220}


この間訓練で戦ったやつよりも少し強い。


しかも、これは実践。


あの時の鎖もなければ、HPも満タンに近い。


「…俺が棍棒を落とさせる。無防備になったところをセスタに頼む。」


「…わかった。」


セスタはインファイト型だ。

棍棒とは言え、武器を持った相手だと若干不利だろう。


その点、俺は剣と、あと魔法もある。

武装解除させるには十分だろう。


だが、逆に完全な殴り合いは得意じゃない。

そこはセスタに任せれば常に有利を取り続けられる筈だ。


フォーメーションは若干崩れるが、こっちの方が多分確実だろう。


「…いくぞ!」


剣を抜き、駆け出す。


今回はこの前みたいなミスはしない。


{「土魔法Lv.5」起動しました。}

{「風魔法Lv.3」起動しました。}


風を纏った土塊がゴブリンに飛来する。


慌てたようにそれを棍棒で防ごうとするが、加速した土塊は棍棒では防ぎきれない。


いくつかの土塊が突き刺さり、棍棒を持つ手が弾かれた。


が。


離さない!?


弾かれたものの、ゴブリンは確かに棍棒をしっかりと握り、まだ立っている。


そう言えば土塊もゴブリンの肌を傷付けただけでこの前みたいに抉れることもない。


やっぱりレベルが上がるとこうなるのか…。


でも、ゴブリンの体から棍棒は確かに離れている。


これなら間に合う!


伸び切った腕ごと棍棒をゴブリンから切り離した。


「ギャアアアアアアアア!!!!」


絶叫。


舞う緑色の飛沫。


「セスタ!」


「任せて!!」


錯乱しているゴブリンに向けてセスタが飛びかかる。


空中でゴブリンを蟹挟みにすると、そのまま地面に引き倒した。


鈍い打撃音。


地面にゴブリンが頭をぶつけると同時に炸裂したセスタの拳がゴブリンの頭部をひしゃげたザクロに変貌させた。


「うげ…」


セスタが顔を顰めて飛び退く。


{ゴブリンの死骸 100/100}


鑑定は確かにゴブリンの死亡を確認している。


「回復は…いらないか。」


アレンが苦笑いしながら立っていた。


俺たちのダンジョン初戦は好調に滑り出した。



…。



「ユーリーン、君、さっき2種類の魔法を同時に使ってなかった?」


ゴブリンを倒して一息ついたあと、アレンが俺に質問してきた。


「ん?ああ、土魔法に風魔法を付与して威力を底上げしてたんだ。…ゴブリンにはあまり効かなかったけどな。」


「うぇえ?ユーリーンって剣と魔法を使えるだけじゃなくて、さらにもう一個の魔法も使ってたの?」


セスタが目を丸くする。


「まぁ、親の訓練の賜物だな…。」


「どんな訓練を受けていたんだか…。」


アレンが呆れたようにため息をついた。


「あ、そう言えば、二人って何組なの?ボクは1-Bだよ!」


セスタがニコニコしながら聞いてくる。


「僕は1-Cだ。」


「ん、あぁ、俺は1-Aだな。」


「ぐぇえ?特進の人だったのぉ!?」


俺の答えにセスタがさらに目を丸くした。


「なるほど。特進科に行くにはこんな芸当ができないといけないんだね。」


アレンがなにかしみじみと言う。


一年の特進科なんてそんな確かなものじゃないとは思うけどな…。


…このとき、俺たちは明らかに油断していた。


ゴブリンを初めてちゃんと倒せてテンションがハイになってたってのもあったんだと思う。


ダンジョンでは慎重に進むべきってのをちゃんと頭に入れとかなくちゃいけなかったんだ。


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