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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第七章 ミクロな世界の交錯

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272 おーばーろーど

二日スパンの3連投 2/3


骨に引っ付いた腱の欠片を歯で引きちぎり、啜って噛み締める。


真っ白になった火竜の骨をそこらじゅうにできたマグマ溜まりに放った。


骨は一瞬赤熱した液体の上に浮いた後、炎に包まれ炭化し、沈んでいった。


手がベタつく。


火竜の脂が手全体、なんなら体全体に付着しているのを感じた。


むう。

やっぱ焼いた肉を素手で食らい尽くすのはワイルドすぎたか。


まぁ気にしないなら気にしないで良いんだけど、なんだかんだ言いつつ今の私のボディは美少女形態。


ほぼほぼ全裸で全身脂まみれとか、なんというか私の中に残る欠片ほどの女子力が悲鳴を上げている。


んー。

とはいえこれをどうやってどうにかするんだと言われてもうまい具合に思いつかないんだけど…。


脂まみれでテカテカひかりながらマグマ溜まりの前で悩んでいると、マグマの気泡が弾け、私の足に飛沫がかかった。


っっちょおおおおおおい!!!


熱!

熱!

あつ…

あ…

ん…?


熱くないな?


マグマのかかった足をしげしげと観察する。


真っ白で傷ひとつない小さめの足。

その上には赤黒く光る溶岩が茹っていた。


足を軽く振ると、溶岩が垂れて地面に落ちる。


恐る恐る足先で触ってみても、特に耐えられないほどの熱さは感じない。


なんというか、ちょっと高めのお風呂のお湯って感じだ。


銭湯ほどじゃないんだけど、温度設定ミスっていつもよりちょっと熱くなったお風呂のお湯。


なんかそんな感じ。


うん…ていうか、マグマかかるかからない以前に熱で溶けたボス部屋の中を裸足で闊歩して火竜の肉を平然と食ってたのよね、私。


…炎熱無効の強さを今初めて実感した気がするわ。


火龍の初期装備とはいえ、地形ダメージが無効になるの本当にありがたいわ。


いや、設定したのは私なんだけど。


実感的な問題ね。実感的な問題。


私ってばプログラムだけちゃっちゃとやっちゃってデバックも何もせずに石田に丸投げしたからなぁ。


妃奈の介護があったからとはいえ、今回の問題は石田にシステム制御の自由を長く与えすぎたのが原因の一端だ。


人の4年の長さを見誤ってた。


あの野郎、超初歩的な魔術を発展させて四年でシステムの根幹に侵入できるまでに術の構築ができるようになってたかんね。


まぁ石田に魔術の構造とその流れを教えたのは私なんだけど。


…あれ?


私かなーり戦犯では?


…。


スゥ…。


んー。


と、取り敢えず、今回の失態を学びと出来るか出来ないかは、今後の私の努力次第だ。


まずは状況確認だ。


そう!取り敢えずこういう時は今の現状をまとめることが大事なのだよ!





取り敢えずマグマ風呂に浸かり、全身の脂を落としつつ考える。


…システム稼働時、1000年前の私がしたことはいわば魂の分裂と洗脳だ。

システムの構築によってダメージを負った生命の魂に分散させた私の魂を寄生させ、ダメージを修復させつつ精神はそのままでその肉体の実質的な主導権を掌握する。

かなり悪どい手段に見えるけど、シミュレーションを効率よく進めていくには生命を傀儡にするのが一番よかった。


只、この魂のダメージを修復させるというのが問題だった。


魂の修復。

その本質は分裂し、寄生させた私の魂のエネルギーを損傷した魂に注ぎ込み、本来の魂の形に正すというものだ。


今回はそれが悪用された。


石田がやった小細工はそんな複雑なもんじゃない。


システム稼働時のセキュリティが甘くなる一点を狙い、システムの魔術的な障壁を破壊、自己修復が行われる前にとある一つの数値を書き換えただけだ。


それが、さっき言った奴の数値。


私の魂をシステム下の生命に移植する時の量。


あれが書き換えられた。


魂の分割と移植は高等な術式だ。


なんてったって魂ってのは本来ありとあらゆる事象に共通したエネルギー体。


魂はただ生命が生命としてあるためのエネルギーなだけでなく、そもそも生命がこの世に存在するためのエネルギーとしても使われるのだ。


その万能性故魂の扱いは極めて慎重性を要する。


それがしっちゃかめっちゃかに書き換えられちゃったらもう事ですよ。


いや、事はもう起こったんだけど。


ともかく、それのせいで私は死に、魂の修復プログラムもぶっ壊れ、それを補修する人もいなくなったというわけで。


千年間管理がなされず、無駄にエネルギーを供給され続けた人間たちの魂は本来の何倍ものエネルギーを溜め込み、神に近い力を手に入れることができてしまった。


本来このシミュレーションを管理するためのツールである各種魔法やスキルを利用、ここのアバターにつけたステータス画面が見れるようになったのがその証拠だ。


このままエネルギーが供給され続けたら、この世界の人間たちは神をも超え、私に迫るような存在にもなれただろう。


…まあ元は私の力だから私と同等以上になることは不可能なんだけども。


まあでも、そもそもの話、人間たちがこれ以上強くなる事はありえない。

理由は単純に人間の魂は本来自身の数倍のエネルギーを溜め込めるほど強くないからだ。


いくら私の魂の力でプロテクトされてるとしても、もう彼らの魂は臨界点を迎えている。


待ち受けているのは、崩壊。


溜め込まれたエネルギーに耐えきれず魂が自壊し、システムごと全てがバラけ、塵に還る。


問題は、この放出されたエネルギーがこの星だけではとどまらず、もっと根幹系のシステム、このシミュレーションの大元となったこの世界本来の機能にまで影響を及ぼしかねないという事。


かつての始原の神が作り出した、私と、私達に連なる世界そのものの輪廻機構。


そこに溜め込まれたエネルギーが向かってしまう。


さらにさらに問題なのはその放出されたエネルギーを受け止める術が私にはもう残っていないということだ。


魂の分化と吸われ続けたエネルギーによって私の神体はもうガタガタだ。


元々自分のエネルギーとはいえ、魂の器に穴が空いてひび割れた私のじゃ、受け止めたところで一瞬で消し飛ばされて終わりだろう。


だから、私が今しなければいけないことはただ一つ。





全てのコードを回収して、システム権限からこの世界を破壊する。





それしかない。

システムの自爆はエネルギーを破壊に変えて結界内のデータを全て抹消するプログラムが組まれている。


これならエネルギーを吸収して外に逃すことはないはずだ。


もちろん巻き込まれれば私も死ぬことになるけど、私は所詮数ある代替品の一つに過ぎない。


きっと次の奴がより良い世界を生み出してくれるはず。


今私にできることは、私自身の命に変えても、絶対にこの世界をぶっ壊す事だけだ。


山:いや、その別に12:00に投稿するとは一言も言ってないですし…?


ア:舐めてるんですか。


山:まことにすんませんっっした


ア:何やってるんです。


山:いや、誤字確認しにきたら投稿されてないことに気づいた時は震えたね。


ア:明後日はちゃんとしてくださいよ。


山:イエッサー。

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