過去編 第三章 前村瑠衣の場合 ③
5月13日
やば。
日記帳無くした。
どこやったんだっけ?
前3冊の日記がなくなっちゃった。
あー。
困ったな。
割と日記って黒歴史帳じゃない?
まあ一番やばい一冊めはあるからあんまダメージはないけど。
前のやつはまとめて箪笥に入れてたと思うんだけど、なんか気づいたら無くなってた。
まあ、この日記帳にしてから半年くらい経つしなぁ。
超能力者たちの暴走って線もあるけど、まあ今更そんな暴走させるようなこともないでしょ。
またあとでひょっこり出てくるかな?
5月14日
無くした日記帳は…まぁいいとしよう。
みられても困るもんじゃ…困るけど。
まぁ、とりあえず今日の分の振り返りしましょうか。
えーと、今日は大体全部訓練で終わった。
学習系の実習はもうあらかた終わったし、座学ってったって私はもう学生って年じゃない。
前に校舎棟で座学やったのいつだっけ?
うーん…20こえたあたり?
2年くらい前か。
花のJKを浪費したって感覚は特にないけど、なんか気づいたらこんな年になっちゃった。
うーん。
そろそろ男子のうちの誰かと付き合った方がいいのかな。
5月18日
今日は全校集会があった。
まぁどっちかって言うと集合って感じだったけど。
私以外の能力者たちは外内半々くらいで動いてる。
どうやら、世界終焉の予兆が徐々に出だしてるらしい。
ここ以外の能力者たちは4年前からいたんだけど、それ以外にも人外の何かが出てきてるらしい。
まぁ、今の私達の能力は完全に人智を超えてるし、そうそう負けることもないんじゃない?
お兄ちゃんとか、指一本で大型トラック持ち上げてたし。
念動力が指の筋肉に依存してるわけじゃないだろうけど。
…うん。
なんか外でみんなが戦ってるのに私だけここにいるの申し訳ないな。
私と同じ系統の松陽でさえも強化系の子達のサポートで駆り出されてるし。
…私の能力を考えたらしょうがないんだけど。
5月20日
昨日の全校集会の話を元に、チームが組まれた。
世界の終焉がそろそろ来るらしい。
…ついにかぁ。
石田さんの話によると、一般人への対策も大体終わったらしい。
…それにしてはSNSが騒いでなかったけど。
陰謀論って片付けられたのかな。
まぁ、私は私の家族が無事ならそれでいい。
最悪、家族は私たちが助けるし。
散発的に現実改変は発生するらしい。
世界各地に同時に異形は発生するようだ。
5月21日
どうやら私たちは東京の中心に配属されるらしい。
それ以外はそれぞれの研究室で分かれて他の能力者担当するとのこと。
私たちは二、三人のチームに分けられた。
チームはそれぞれ、幹と真澄ちゃん、亜乃ちゃんと松陽、そして私、お兄ちゃん、秀治だ。
幹、真澄ちゃんの強化系ペアは、前線の壁役。
亜乃ちゃん、松陽のペアは強化系ペアのサポート権雑魚の掃討。
それで私はすべての中心で周囲の知覚をする。
お兄ちゃんと秀治はどうやら私のSP役らしい。
…確かに私に戦闘能力はほぼないけどさ。
特に継続戦闘力の高い二人を私のところに置いていいのかって気分になる。
…まぁそれだけ私の仕事が重要だってことか。
私に課せられた仕事は、東京全域に発生した異形の探知と、その能力値の鑑定。
必要戦闘力を計算して、それに伴う被害を逐次報告する。
あと、他の能力者の探知。
私には魂が見えるから、それができる。
…大変だ。
2ヶ月後だけど、今から疲れてきた。
6月4日
久しぶりに書くなぁこれ。
ここ最近能力強化の訓練で毎日が潰れてる。
どうやら石田さん曰く最終調整らしい。
…調整って言うにはハードすぎない?
もう私たち一人で街一つなら滅ぼせるくらいの力を持ってるんだけど…?
秀治と亜乃ちゃんに至っては多分一人で小さな国くらいなら滅ぼせるんじゃない?
まぁ、そんなことしなくてもそろそろ滅びるんだけど。
…今のなし。
ちょっと不謹慎だった。
まぁ、なんにせよその時が来るまで私たちは力をつけ続けるしかない。
6月20日
1ヶ月を切った。
最近みんなピリピリしてる。
世間はまだ終焉に気づいてない。
今日の朝のテレビはコスメ特集が組まれてたし、天秤座が一位だった。
…はぁ。
不安だ。
7月1日
あー。
7月になっちゃった。
私たちの配属日は7月14日。
もう二週間しかない。
7月7日
あと一週間。
7月12日
不味い。
こんな時になって不味いことが起こった。
明後日なのに。
なんで?
秀治が、消えた。




