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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第六章 ミクロな世界の真実

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過去編 第三章 西原秀治の場合 ⑧


「…まぁ、なんと言うか変な空気になっちゃいましたが基本的に皆さんが学生である事は変わらないので、学生らしく軽く自己紹介でもしましょうか!」


パチンと手を叩いて小崎さんが若干明るい声色で俺たちに話しかける。


が、俺たちの空気は完全に終わってた。


「むぅ…なんだか暗いですね。もっとテンション上げましょうよ。せっかくの新しい教室なんですから。」


暗くしたのはあんただろ!


誰も声に出さないが、クラス全員が小崎さんに総ツッコミしてたと思う。


「それじゃあ、取り敢えずさっき一番元気だった左端のあなたからお願いします。」


「ええ!?私?」


ズーンと沈んだ空気を一切感じさせず、小崎さんが俺から見て教室の一番右端、さっきずっと小崎さんに噛み付いてた活発少女を指差した。


指名された活発少女は、若干キョドりながらおずおずと喋り出した。


「あ、えっと、私の名前は安曇真澄っていうの、好きな食べ物は卵入れたカレーライスで、あー…えっと、能力の発現のきっかけは、床に貼ってたゴキブリを新聞で叩いたら家が半分になった事…よ、よろしくね!」


一通り話すと、安曇は椅子に座った。


「素晴らしい。私が言ってほしい事全部言ってくれました。みなさん拍手ー。」


パチパチと手を叩きながら小崎さんが安曇に話す。


家が半分って…安曇はどうやら俺と同じような能力が発現したようだ。


「では、ここから後ろに自己紹介をお願いします。」


小崎さんが手を向けて続きを促す。


「あ、じゃあ次は俺だな!」


ついで立ち上がったのは結構身体つきががっしりした男。

身長は180を超えてるだろうか。

引き締まった筋肉が、背の高さとの相乗効果でより存在感を放つ。

ハリのある声が十分な自信と、…あと若干のバカっぽさを醸し出す。


「俺の名前は古賀幹!前の学校では陸上部をやっていた!超能力がわかったのは、個人的にやってた10000メートルの記録が世界記録を10分以上上回った事だ!」


そう言い、古賀は椅子を勢いよく引いて座った。


古賀も、どうやら俺や安曇と同じ身体強化系の様だ。


ただ、俺らと違ってスタミナに影響が入ってる?あたりもしかして同じ身体強化系でもいくつかの種類がある…?


「じゃあ次は私ですねー。」


そう言って次に立ち上がったのは身長155センチくらいの女子。

やたら新しい制服で、萌え袖にしている。

声はやたらと間延びしていて、二重の大きな瞳と相まって猫見たいな印象を受ける。

そして何より目を引くのは白銀のショートカット。


…明らかに普通の人じゃない…。


俺の慄きを知ってか知らずか、間延び女子が自己紹介をする。


「私の名前はー佐々木亜乃っていいますー。最終学歴は中学中退でー、半ば追い出された感じでここにきましたー。これが出来るようになったのはーアニメの真似をしてたらー私の家が崩れたのが最初ですー。あ、えとー、あとこれは染めてまーすぅっ以上!」


伸ばし棒をなんとか聞き取ってもあまり佐々木の能力はわからなかったが、喋ってる間ずっと銀髪が舞い上がって揺れてたので、多分サイコキネシスあたりの超能力が発現したんだと思われる。


家壊した発言からも、ここまでの三人よりも能力の出力が大きいような感じがするな…。


「チッ。前村龍樹だ!」


次いで立ち上がったのはチャラ男。

茶髪をガシガシ掻きながら自己紹介をする。


「俺の力がわかったのは瑠衣に言われたからだ。…先に言っとくが俺はお前らみたいに何かをぶっ壊したりしてわかったわけじゃない。急に瑠衣に超能力があるとか言われて、言われた通りにやったら…なんかできた。…それ以上に話すこともねえ!以上!」


え?

瑠衣に言われたら出来たって…?

どう言うことだ?


「次は私…私は前村瑠衣…龍樹の双子の妹…。」


俺の疑問が晴れぬうちに次の自己紹介が始まった。


次に立ち上がったのは龍樹をお兄ちゃんと呼んでいた瑠衣だ。


「私は…よくわかんないんだけど、いろんなものが見えるようになった…。集中すればいろんな力の流れとかものとかが色々見える…お兄ちゃんの超能力もそれでわかった…ただ…これはすごく疲れる…眠い…おやすみ…。」


瑠衣はそういうとそのまま机に突っ伏して眠った。


いろんなものが見える…?

優れた武闘家は力の流れが見えるってのをどこかの漫画で読んだが、差し詰め瑠衣の能力は知覚系ってとこか。


それで龍樹の超能力もわかったんだろう。


俺は一つ納得した。


「ああ、えっとじゃあ次は僕だね。…僕の名前は蓑部松陽。前の学校では科学部の部長をやってた。よろしく。」


次いで立ち上がったのは大体身長160後半くらいの男子。


髪は目元で切り揃えられており、古賀とは対照的に色白で細身、いわゆる醤油顔って感じで、人の良さそうな雰囲気がある。


「えっと、僕の力はさっきの瑠衣さんと一緒で、いろんなものが見える。ただ、瑠衣さんほど疲れはしないかな…あとこれは能力の副産物なのかはわからないんだけど、力の発現以来ものすごく記憶力が上がったような気がするんだ。」


…どうやら、身体能力強化系と同じように知覚系にもそれぞれ微妙な差があるようだ。


これは単純な個人差によるものなのか、何か他に原因があるのか…。


色々考えたいところだったけど、既にクラスの目線が俺に注がれていた。


俺は立ち上がり、軽く自己紹介をした。


「俺は、西原秀治。前の部活は剣道部で、能力の発現は…。」

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