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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第一章 ミクロな世界のバクテリア

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32/550

30 詰んだ。

怒涛の4/5連投

まあ、考えてみればわからない話でもない。


確かどっかの本で見たけど体の小さい鼠と体の大きい象とでは体感している時間が違うっていうことがあるんでしょ?


原理については全く知らないし理解できてないけど、私、というかこのバクテリアである体が感じる時間の長さは人間とは全く違うってことだ。


数えてみると大体 0.01 秒が体感 1 秒ってところかな?

そのくらいを目安でいくと、私がクマムシから三号を取り外したのが 6 秒前ってことになる。


ってことはオート君の言う死後 4 分 40 秒っていうのはかなりヤバい真実を含んでいることになる。


もう一回言うけど私がクマムシから三号らしきバクテリアを抜き取ったのは体感 10 分前。

外の世界じゃ 6 秒前だ。


でもオート君はそれよりも遥か昔の時間にこのバクテリアが死んだと言っている。


しかもこの 4 分 40 秒という数字は人間だったころの体感で求めると 7 時間くらい前ってことになる。


それはつまり、三号と最後に通信した時刻とほぼ変わらない時間だ。


こーれはちょっとばかり由々しき事態ですよ?

だってさっきも言ったけど、私、というかミニマムレッサーバクテリアという生物は宿主となる個体に 70 日以内に寄生しないと生きていけない。


でも、このバクテリアが 3 号だとすれば最悪この状況が示す通り、寄生した瞬間に生命活動が停止させられるかもしれない。



うーん。

これは前方の虎後門の狼状態のよくある典型的な詰みですね。

いや、冗談抜きでマジで打つ手がない。


どうしよう。

本当にヤバい。


この中で一つだけ希望があるとするのならそれは、今目の前に死んでいるバクテリアが偶然にも 3 号が連絡を絶った瞬間に偶然にも 3 号が連絡してきたクマムシと同じような種類のクマムシに寄生したまま死んで、偶然にもこの広い世界の中にいる私に襲い掛かってきた可能性にかけるしかないんですわ。


あとは、このバクテリアが 3 号みたいなスキル構成だったから死んだ説かな?


まあどっちにしろ 3 号という前提条件のもと立証される希望的観測でしかないんだけどね。

でもどうやってそれを確かめようか。


3号っぽいバクテリアはもう死骸になっちゃってるからなー。


…。


ん。

そうだ分体達に直接連絡すればいいんじゃない。

分体!番号列挙!


{エハッ!?1!}

{2!}

{…。}

{―ん?4?}

{5!}

6!}

{7!}

{8!}

{あれ?私?9!}


―うん。やっぱり 3 号からの通信はない感じだね。

となるとこのバクテリアは十中八九 3 号ってことになるのかな。


はあ。

マジでどうしよう。


ま、70日間という期間で確実に死ぬか、バーサク状態で希望的観測の中にあるワンチャンスに命をかけて死ぬか。


どっちにしろ多分結果は変わらないんだろうけど、私としては後者を選びたいかな。


だって普通に考えて生き残る確率が 0.0001%でも後者に傾いているなら絶対に私はそっちに命を懸ける。



―その間にどんなことが起ころうとも。



…それによくある、なろう転生みたいな感じで、私は曲りなりとも転生者なわけだから転生をつかさどる女神さまに気に入られて加護を受けて転生勇者主人公チート補正みたいな感じでギリギリ生き残れるとか。


いや、バクテリアっていう時点で気に入られてるって言う線はぶっつりいっちゃってると思うけどね。


あはっはっは。


やべ、眼から液体が。

あ。涙腺なかったですね。


ま、というわけで私は、クマムシに寄生する道を選ぶ。


…ただ、さすがにちょっと怖いんで分体呼ぶってことくらい許してくれませんか?

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