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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第一章 ミクロな世界のバクテリア

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29 死骸

怒涛の3/5連投

…はぁ。


じゃ。


きるか。


サク、サク、サク、サク、サク、…。


一本一本、できるだけ丁寧に触手を切り落としていく。


医療の知識なんて毛ほどもないからただぶった斬ってるだけだけどな!


つーかあったとしても最近の触手を切断する場合にはなんの役にも立たないだろうがな!


…うっし切れた。


脳に張り付いたままの触手をそこに残して、3号の体がカプセル上になって浮く。


少々猟奇的な光景が目の前に広がってるんだけど、このまま取れるよね?


分体!三号を引っ張り上げて!



グググググググググググググ…



三号がクマムシの脳からはがされた。

念の為に三号の残った触手も抜いてっと。


おーっし。

これでやっと終わりましたな。



…。

いや待った。

この3号という枷が外れたいま、クマムシがまた勝手に動き出すんじゃないか?


この麻痺毒ってやつ毒刃のほかにも毒刺とかに付与できるんだよね?


…今からでも遅くない。

私は、分体に毒紙に麻痺毒を付与するように命じた。





どうしよう。

どうすんだこの事態。

完全な詰み状態だし打つ手と言えばほとんど限られている。


え?


何をそんなに悩んでいるのかって?

このことを語るには数分前にさかのぼらなくてはならない。



―数分前



さて、ようやっとクマムシから三号らしきミニマムでレッサーなバクテリアを取り出してきたわけだけど、さっきからどうにも様子が変だ。


何というか…微動だにしない。


もしこいつが三号ならクマムシから解放した今、呼びかければ反応するかと思ったけど反応はナッシングレボリューション改インエクストラバーニングウルトラ。


それにもしこいつが敵なら私や私の分体が近づいたときに何かしら逃げるなり、襲い掛かってくるなりの反応をしてくるはず。


それが無反応っていうのはかなり異常なことだ。

最初のほうはやっぱり使ったことのないスキルだったし、麻痺毒の部位選択をミスって体か脳かを麻痺させちゃったんじゃないかとか考えたわけだけど、ちゃんと麻痺は部位設定したしミスるっていうことはなさそうということでこの線は消えた。


でもさすがにおかしいだろってことで鑑定した結果がこれだ。


{ミニマムレッサーバクテリアの死骸}


死んでいた。


いやそりゃあびっくりしましたよ。


だって私が想像してたのはいくつかのステータスとスキルとかだったのに、いきなりそういうのをすっ飛ばして{死骸}ですから。


しかもこの子は多分私の分体。

もしこのミニマムレッサーバクテリアの死因が私ってことになったら自分自身のことを疑似的に殺すことになっちゃったかもしれないっていうのはちょっと何となく罪悪感みたいな何というかもよやもやしたなんかがが湧き上がってくるみたいに感じる。


てか、この子いつ死んだんだろ。


さっきも言った通り麻痺毒に致死性はないし、そのことはオート君もちゃんと言っている。

それに局部麻酔は完璧にやったはずだし、よく医療系ドラマとかで聞く麻酔をやりすぎて心臓麻痺になって死んじゃうってこともあり得ない。


ていうかバクテリアに心臓があるかどうかもわからないしね。


ま、見ただけで死後何分とかわかるような警察の鑑定の方じゃ私はないんで、この世界の鑑定士の最上位互換のオート君に聞いてみましょうかね。


オート君。

この子が死んでからどのくらい経ってる?


{死後、4 分 40 秒 112 経過。4 分 40 秒 122 経過}


特に違和感っていうのはない。

かな?


あれ?

ちょおーっと待ったぁぁー!

オート君時報的なことってできたりする?


{ピッピッ 13 時 46 分 32 秒 102、ピッピッ 13 時 46 分 32 秒 112、ピッピッ 13 時…。}


おお。

その音まで再現できるとは。

オート君。

やるな。


んで、この時報を聞いてみても人間でいた時と大した変化は…。


気のせいだったかな?

…ってあああああ!

え?

え?

オート君!

もっかい聞かせて!?


{ピッピッ 13 時 46 分 32 秒 255、ピッピッ 13 時 46 分 32 秒 265、ピッピッ 13 時…。}


いや遅ッ!!


{ピッピッ 13 時 46 分 32 秒 301、ピッピッ 13 時 46 分 32 秒 311、ピッピッ 13 時…。}


いやおっそ!

よく聞いてみればすぐわかる。

てかよく聞かなくてもすぐわかる。


さっき私がオート君に時報をお願いしてから実際、この世界ではまだ 時は0.2 秒しか進んでいない。


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