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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第五章 ミクロな世界の覚醒

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249 vs水龍


烈風が吹き付ける。


爆轟が洞窟を覆い尽くし、私と水龍以外のほとんど全てを消し去った。


閃光がなりを顰めると、地面は私がいた場所を残して抉れ、新たに開いたクレーターに湖の水が流れ込む音が響いていた。


水龍は未だ動かず、再度大口をあけ、次弾の装填を始めようとする。


地面を蹴った。


わずかに残った地面の一部は衝撃で後方に消し飛び、反作用の法則に従って私の体は前方に瞬間の加速を持って水龍の前に飛んだ。


明確な殺意を持ってして拳を水龍の脳天に突きおろす。


聖と闇の混じり合う混沌の破壊作用は水龍の頭を充填されたエネルギーごと爆裂した。


幾層もの輪形の衝撃波が走り、伴って湖面が深く抉れた。


数瞬の間に行われた一連の行動は、水龍に効果的なダメージを与えた。


次いで更なる追撃を加えようとした時、水龍の尻尾が水中から音速と見紛う速度で飛んできた。


回避はできなかった。


水龍の特性により、彼らの全ての攻撃にかかる水の抵抗と空気抵抗は逆転する。


水中で十分に加速した大質量の肉の塊は私の全身に激突し、ヒットストップさえないまま振り切られた。


青い障壁がガラスの様にに吹き飛ぶのを知覚した。


振り切られた速度そのままに、打撃は急速な加速を持って、数コンマの間に洞窟の天井にめり込むと言う結果をもたらした。


要塞スキルの再張展は間に合わなかった。


折れた何本かの肋骨が胸から飛び出す。

血混じる吐瀉物が天井から湖面に注がれた。


水龍は大きく咆哮し、体勢を立て直すためか湖面に潜っていった。


回復スキルが死力をあげて私の裂けた肌を、切れた腱を、砕けた骨を修復する。


減ったHPは若干のMPを代替にほとんど復活した。


青い膜が再度私を包み込む。


頬に垂れた血液が光を失い、若干のため息をついたところで、天井に張り付いたまま湖面に生じた違和感を強化された視覚が捉えた。


幾つもの渦が湖面に生じている。


それは徐々に勢力を拡大しながら、融合し、巨大な渦へと変貌を遂げていた。


やがてそれは見える範囲全ての湖の表層を覆い尽くし、黒々とした闇をそれの中心に作り出した。


ぞくり。


悪寒が全身を駆け巡る。


脳に浮かんだ最悪の想像から逃げ出すように、触手を動かして私を埋め込んだ穴から飛び出した。


私が空中に駆け出した直後。


湖面が一瞬で凪いだ。


それは瞬きの間の内に起こり、私の理解はそれに追いつけなかった。


本能だけが警鐘を鳴らし続けていた。


瞬間、何の前触れもなく極太の水柱がさっきまで穴の中心にあった場所から噴き出した。


それは噴水と形容するにはあまりに役不足だった。


高速と錯覚するような速度で噴き出たそれは正にレーザーの如き破壊力で私に迫る。


{分体が固有スキル「火龍Lv.9」を発動しました。}


咄嗟だった。


思考加速スキルすら超越する一瞬の反射でそのスキルは発動されていた。


少女の体が突然に現れた炎の鱗を纏う。


禍々しい炎の鎧は私に触れた水流を片端から沸騰させ、蒸発させた。


腕を振った。


それに連動するように炎龍の鱗は変形し、私の身を守る盾と化す。


それは放たれた水流を全て弾くことに成功していた。


鋭い痛みに顔を思わず顰める。


龍鱗が触れた先から私の体が黒い炭と化していた。


火龍固有スキルは本来龍の身を持って初めて本領を発揮できるスキルだ。


バックアップ的に火龍本体から持ってきた龍麟は、称号を持たない私の体には適合しない。


{「火龍Lv.9」が停止されました。}


私の身を包んでいた炎の鱗が消失する。


ちゃんとこれを使いこなせるようになるまで、とりあえずは封印かな。


全身にできた火傷を庇いつつ、さっき水龍が消えた湖面を睨む。


水龍は、大きな影を水中に作り出し、尋常でない速度で動き回っていた。


嫌な予感を覚える。


また同じ技が来たら、次あれを対処できる自信はない。


空中で身を反転させ、触手を操作して湖面に接近する。


と、同時に水龍も水中から私に向けて突進をしてきた。


巨大な水柱が視界を覆ったと思った時には、水龍の姿は私の目の前にあった。


私が拳を振るうより若干早く、水龍の大口は私の胴体を挟んでいた。


ナイフのような幾つもの鋭い牙が私の胴体を滅多刺しにせんと圧力を加える。


青い障壁がミシミシと音を立てて変形を始めているのを知覚した。


水龍はそのまま私を水中に引き摺り込まんとする。


水龍に水中戦を持ち込まれるのは自殺行為に等しい。


だが、それを理解していてもそれを避けることはできなかった。


なすすべなく私の視界はぼやけた水中に沈んだ。

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