248 Boom
{「火龍Lv.9」の発動が完了しました。}
私の背後で火龍が低い唸り声を発しながら口から煙を吐いて停止した。
轟音を鳴らしながら崩れ去る岩壁。
辺りには濃密な魔力が漂っていた。
ご苦労様。
もう下がって良いよ。
私がそういうと、火龍はゆっくりと背を向け、暗闇の中に戻っていった。
あの火龍は私が水龍と戦う時の練習用に戦った龍の内の一体だ。
大分手強かったけど、レベルアップした私と分体の敵じゃなかった。
…嘘。
正直タイマンじゃ勝てなかったと思う。
分体の洗脳スキル使ってやっと無力化できたってレベルだったから。
こんな状態で水龍に挑むのは若干不安がある。
だけど、正味私自身の強化形態としてはこれ以上のものはないってくらい仕上がってる。
前から言ってた事だけど、今回私はあの水龍にはタイマンで挑もうと思う。
一旦の目標は水龍だけど、その先の目標は59層ボス、ひいてはこのダンジョンのボスだからね。
水龍など只の踏み台に過ぎないのだよ。
…やばかったら分体に頼るけどな!
…。
未だ赤熱する地面を歩き出す。
岩壁が崩れ現れたのはかつての湖岸。
例のアイツに呪われ、無力に横たわっていたあの場所。
その先には、水龍が湖から首をもたげてこちらを見ていた。
その目に宿るは明確な敵意。
さっき襲撃してきたこいつの同類っぽいのを殺しちゃったのが不味かったのだろうか。
{スキル「威圧Lv.10」を起動しました。}
{バクテリア種固有スキル「変異Lv.6」を起動しました。}
{希少スキル「聖洸魔法Lv.9」を起動しました。}
{希少スキル「腐蝕大攻撃Lv.6」を起動しました。}
{希少スキル「火炎魔法Lv.10」を起動しました。}
{希少スキル「暴風魔法Lv.10」を起動しました。}
{希少スキル「氷結魔法Lv.10」を起動しました。}
{希少スキル「雷光魔法Lv.10」を起動しました。}
{希少スキル「空間魔法Lv.6」を起動しました。}
{希少スキル「大地魔法Lv.10」を起動しました。}
{超希少スキル「獄炎魔法Lv.5」を起動しました。}
{希少スキル「訃眼Lv.10」を起動しました。}
{分体が希少スキル「要塞Lv.10」を起動しました。}
{希少スキル「身体超強化Lv.9」を起動しました。}
まぁでも、とくに水龍に対して思うことは恐怖なんかじゃ無い。
敵意も殺意もそんなの初めて会った時から抱いてきた。
一歩進む。
{スキル「威圧Lv.10」を発動しました。}
私を中心に世界が一変する。
辺りは恐怖に支配され、暗黒の畏怖が水龍以外のあまねく生き物を平伏させた。
一歩進む。
{バクテリア種固有スキル「変異Lv.6」を発動しました。}
ぬるりと背中に赤い触腕が吐き出される。
少女の身体が異界のものに変わっていく。
刃から滴る毒が地面を溶かす。
一歩進む。
{希少スキル「聖洸魔法Lv.9」を発動しました。}
{希少スキル「腐蝕大攻撃Lv.6」を発動しました。}
黒く、清い力が内から込み上がってくる。
一歩進む。
{希少スキル「火炎魔法Lv.10」を発動しました。}
{希少スキル「暴風魔法Lv.10」を発動しました。}
{希少スキル「氷結魔法Lv.10」を発動しました。}
{希少スキル「雷光魔法Lv.10」を発動しました。}
{希少スキル「空間魔法Lv.6」を発動しました。}
{希少スキル「大地魔法Lv.10」を発動しました。
{希少スキル「訃眼Lv.10」を発動しました。}
{分体が希少スキル「要塞Lv.10」を発動しました。}
背後の空間をカラフルな魔法陣が埋め尽くす。
輝く魔法文字が湖面を照らす。
一歩進む。
{希少スキル「身体超強化Lv.9」を発動しました。}
歩んだ先から地面が割れた。
一歩進む。
水龍が吠えた。
一歩進む。
首を鳴らし、肩を回す。
歩みを止めた。
水龍が大きく口を開けた。
極大のエネルギーが凝縮する。
ブレスが放たれた。
人差し指をそれに向ける。
「Boom」
水龍のブレスと私の魔法が激突した。




