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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第五章 ミクロな世界の覚醒

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238 禍福糾える縄の如し

確率は収束する。


…結果から言うと、「変異」スキルは良い意味でも悪い意味でも期待を裏切らなかった。


私は全力で立ったフラグを回避しようとしたよ?


名前から想像される効果をあらかじめ予測して、それを声(脳内)に出して話すことでフラグの神様がその結末を起こさないように下地ひいといたんだよ?


それなのになんなのさ。


この結末は。



{アキネト・サディカルエデヌス Lv.12


HP 916

МP 1027

SP 1028/1001


平均瞬発力: 0.00…

平均攻撃…



特記事項: system ID : oris07fe85&375、融解}



{特記事項:system ID : oris07fe85&375、融解}



{特記事項:融解}



特記事項!

融解!


融解してんのよ!


マイ!ボディ!イズ!メルティング!!


やってくれたぜ。

いやほんと。


変異スキルLv.5「血酸」、そのスキルの正体は、…まぁ安定の血を酸性に変えると言うものだった。


想像はついてたんだけどなー。


このスキル、血酸を発動した瞬間、私と、私の分体全ての状態異常無効スキルの無効化枠が一枠埋まった。


オート君が何を言ったとかじゃないけど、感覚的なものでそれが察せられた。


いやもうマジで本当最悪だぜ。


噴霧に次いで血酸が出てきたことで、状態異常無効スキルによって無効化された状態異常はこれで二つ目。


今の状態異常無効スキルのレベルは3。

1レベルにつき1つの状態異常が常に無効化されるんだけど、その3枠のうち2枠が自分のスキルによる自傷ダメで埋められてしまった。


有能な状態異常無効スキル君の仕事のうち実に2/3が自爆ダメの無効化とか言うわけわからん状態なわけだ。


武器ガチャでももうちょい良心的だぞ。


しかも、噴霧は汗が出た時のみっていう限定条件があるけど、血酸は血そのものを酸性に変えてるわけだからね。


より悪いわ。


まぁ、なんというか、KUSO固有スキルガチャ5連目は爆死って感じだったね。



…。



…んで、KUSO固有スキルガチャ6連目。


「複製」。


正直に言おう。


こいつ。


ええこいつ。


めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃ有能だった!


いや、もうまじほんと。


めちゃくちゃ有能かつ便利な能力だった。


なんならさっきの「血酸」スキルとか言うゴミ能力こいつのお陰で道端の石ころから黒曜石のナイフくらいには使えるようになったしね。


んで、気になるこいつの能力だけど。


こんな感じ。


{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受けとりました。固有スキル「変異Lv.6」を発動します。}


{部位を指定可能です。}


ん…じゃぁとりま腕で。


{複製中です…}


不意に、私の肩が泡立つ。


白泡は次第に形を作り出し、若干大きめに空いた襟の隙間から溢れ出た。


やがて泡が収まるとそこには、魔女っ子と全く同じ形状の腕が生えていた。



ジャジャーン!


どうよ。


すごくね?


え?地味?

変なとこに腕が一本生えただけ?


チッチッチ。


そう言う君らはこの複製スキルのヤバさをまだ理解できていない。


このスキルの真骨頂はまたさらに別のところにあるのだよ。


複製スキルの何よりもやばい点は、高速分裂と違って増やせる数に上限がないところだ。


これはどう言うことかって言うと、高速分裂はあくまでも身体的欠損を細胞機能を活性化させて治すと言うもので、何もなってない部分の細胞を活性化させて何かを増やしたり作り出したりはできない。


だけど複製は違って、さっきも見せた通り、何もないところから全く別の器官を作り出すことができる。


しかもそれは神経系や血管を都合のいい形で元の肉体につなげでくれるから、新たに作り出された部位も元ある部位と同じように脳から動かすことができるのだ。


これはとんでもねー代物だぜ。


…まだ微妙に理解できない?


ほんじゃぁ実際に複製をフルパワーで使用して見せてやろう。


{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受けとりました。固有スキル「変異Lv.6」を発動します。}


{部位を指定可能です。}


全部で。


{複製中です…}


全身が泡立ち始める。


視界が泡で覆われ、息もできないほどに白が全てを埋め尽くす。


若干の間の後、私の服の中には美少女が入っていた。


…魔女っ子そっくりな。


二人羽織みたいになった状態でとりあえず服を脱ぎ、複製された魔女っ子を地面に置く。


それはつま先から毛先まで完全に魔女っ子と一致しており、穏やかな寝息を立てつつ、静かに横たわっていた。


つーか、なんなら元の魔女っ子より出来立てな分複製魔女っ子の方が奇麗まである。


因みに、まぁ鑑定してみればすぐにわかるんだけど、複製の力を持ってしても完全にコピーできたわけじゃなくて、ひとつだけ元の魔女っ子から再現できなかったことがある。


それがこれ。


{アキネト・サディカルエデヌスからの複製体


耐久値 : 100/100 }


鑑定を起動したことにより出てきたのは、いつもの見慣れたステータス画面…ではなかった。


そう。

この複製体には、ステータスがなかったのだ。


これは推測なんだけど、この複製体はシステムから“生物”として見做されてないんだと思う。


あくまでこれは「変異Lv.6」、「複製」によって作り出された複製体。


魔女っ子という生態情報をそのままコピーした肉人形というわけだ。


だから、生物としての魂ってのがどうやらないみたいで、さっき寝息を立ててるって言ったんだけど、この複製体が目を覚ますことはない。


意識のない、機能としての人間がそこに在るだけで、本当の意味で生き物ではないって感じなんだろうね。


只、ステータス以外の全て、内蔵器官から細胞構造まで全て完璧にコピーしてあるお陰で、実は洗脳さえすれば動かすことができちゃったりする。


洗脳によるステータスは術者側、つまり私側に依存するから、脳に入り込んで洗脳できれば、触手だって生やせるし、魔法も多分使える。


ただ、基本的なステータス、例えばHP、MP、SPとか平均攻撃能力、平均魔法能力は苗床の値に依存してるから、私がいるオリジナルの魔女っ子と複製体の魔女っ子は、同じように洗脳してもその能力に大きな差が出てくる。


んで、この複製とさっきの血酸を組み合わせることでちょっとした面白いことができるんだけど、それを使うのはまた今度の実践にしようかな。


山:…プルプル


ア:…?


山:…ビクビク


ア:…?


山:…ゾゾゾォ


ア:…土日でもない平日に投稿するなんて珍しいです…ね?


山:…そのセリフに僕は一抹の寂しさを覚えたよ。


ア:…え?


山:いや、こういう時いつものアカツキさんだったらマサカリ片手に僕を殺しにかかってくるじゃないか。


ア:私をなんだと思ってるんですか…。


山:なんか、変に優しくされると、不登校になって最初のうちは家から引っ張り出されそうになるんだけど、暫く抵抗していると、今度は逆に優しくされたり無視されたりして、怒られてるうちが花だったんだなぁってしみじみ感じる時と同じような感覚になるっていうか…。


ア:山鳥さん不登校なんですか。


山:まさか。「出席すべき日数78/78」ですよ私は。


ア:たかだか20連勤しただけでストレス性胃炎で倒れるくらいの豆腐メンタルなのによくそんなことできましたね。


山:いや、それに関しては結構正常な反応をしたと思うよ…。


ア:まぁそんなことはどうでも良くてですね。


山:僕の胃炎…。


ア:一抹の寂しさを覚えたってことは私に殺され願望でもあるんですか?


山:いや、そういうわけでは断じてないよ。


ア:じゃぁどういうわけなんですか。


山:なんていうか…ラブコメとかでいつも突っかかってきた子が急に突っかかってこなくなるとちょっと不安になるあの現象と言いますか。


ア:…山鳥さん、私とラブコメしたいなら早く言ってくださいよ。


山:へ?


ア:今日から「冬休み超連勤⭐︎投稿羅武庫愛ラブコメ」に付き合ってあげるので!


山:いやあああああああああああああああああ





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