Code.4(3)
「薬草とそうでない野草を見分ける方法はいくつかあるんだ。
まず一つ目が葉の手触り。
薬草になるアタルナ草は、葉の表面に羽毛のような短い毛が生えていて、触る事でその有無がわかるでしょ?
ただ、この方法だけじゃ他にも毛の生えた野草と間違える可能性が高い。
だから二つ目、茎の形。
アタルナ草の茎を折って中をよく観察すると、太めの一本の芯が入ってる…これだね。
他の野草にはあまりみられない特徴だから、大体この方法で見分けられるんだ。
ただ、依頼内容が「HP回復薬草のみの採集」だったり、「MP回復薬草のみの採集」だったり、回復効果まで指定されている時は、ここまで分けた時にさらに詳細な仕分けをしなくちゃいけない。
アタルナ草の回復効果はランダムだけど、ここで役に立つのが「鑑定」スキル。
勇者スキルを持ってる人以外にとっては若干レアなスキルだけど、スキル自体のレアリティは低いから勉強したり本を読んだりするだけで簡単に獲得出来るものなんだよね。
このスキルがあれば例えばこの薬草鑑定だけに留まらず、ブロンズ帯を抜けたあと、より厳しい冒険、例えば魔王城なんかを攻略するときに敵のステータスを見て戦術を考えたり、食料がなくなっても餓死する可能性を減らせたりするんだ。
…とまぁ鑑定の有用性の話はここまでにしといて、取り敢えず鑑定してみよう。
よいしょ。
…できたね。
このアタルナ草はHP、こっちはMP、これがHPでこれとこれがMP。HP、HP、MP、HP、MP、MP…。
これで全部仕分けられたかな。
まぁ今回の依頼内容は「薬草の採集」ってだけだから分ける必要はなかったんだけど。
ま、まぁこうやって分けとけばギルドの職員さんの仕事も減るだろ?」
「な、成程です。」
僕の隣に座って必死に今の言葉をメモしているのは10歳ほどの少女。
「ここまでで何か質問ある?カリエちゃん。」
「え、ええっと、薬草っていうのはアタルナ草以外に何があるんですか…?」
「ああ、それはね…」
…カリエちゃんに薬草の種類について話しながら、今日の朝冒険者ギルドに向かった時に急にギルドの役員の人から呼び出されたことを思い出していた。
「カートマン、今日からこのカリエ嬢の教育係を頼む。」
「きょ、教育係って、ええ…?」
突然の話に困惑する僕に役員の人は淡々と告げる。
「冒険者の仕事内容とか依頼の詳しい詳細とかを 教えてやってくれ。」
「よ、よろしくお願いします!」
そう言って深々と頭を下げる少女。
年は大体十歳くらいだろうか、恐らく上位防護魔法がかけられていると思われる純白の甲冑に身を包んだその姿は明らかな上位の身分のお嬢様という雰囲気を出していた。
「こ、これはどういう…。」
頭を下げるお嬢様を避けつつ、役員さんに耳打ちする。
「…ああ、このお方はとある貴族のお嬢様でな、どうやら冒険者の仕事を体験してみたいとかで、この冒険者ギルドに上から依頼が入った。」
役員の人は若干疲れ気味にそう言った。
「それでなんで僕が教育係なんですか…?それでもしお嬢様が怪我でもしたら…。」
そう答えると、役員の人は軽く僕の肩を叩いてこう言った。
「いや、カリエ嬢の安全に関しては問題はない。お前とお嬢様から若干離れたところで貴族お抱えの騎士が守ってくれるらしい。だから安心しろ。」
「いやいやいやいや。」
全力で頭と手を横に振る。
その反応を見て、役員の人はさらに疲れたような顔になって話す。
「はぁ…まぁ気後れする気持ちはわからんでもないが、どうか受けてくれないか。
今このギルドにいるなかでブロンズ依頼について一番詳しいのはお前くらいだし、この件がうまくいけばシルバーランクへの昇格についてギルド長と相談してやってもいい。」
あまりに素晴らしい条件に、思わず大きな声が出る。
「ほんとですか!?」
「この件を受けてくれたらな。」
「わかりました。受けます。この依頼。」
僕の返事ににっこり笑い、もう一度僕の方に手を載せる役員の人。
「ありがとう。信じてたぞ。よろしくカートマン。」
…。
とまぁそんな感じで始まったカリエちゃんの冒険者体験だが、ここまでは一応順調に進んでいた。
役員の人からは『適当にブロンズの依頼でもやってきてくれ』ということを言われたし、ブロンズ依頼の薬草採集をするだけなら危険な地帯に足を踏み入れることもないだろうし、騎士の人が駆り出されるなんてことはないだろう。
「あ、あの植物はなんですか?」
依頼が一通り終わったので、カリエちゃんのご意向でギルドへの帰り道がてら、森の中の植物や動物を見ていく事になった。
「あれはヨモギ草だね。ここら辺には結構生えてるよ。」
「で、ではあの鳥は?」
「んー、あれはミニマムコカトリス。一応魔物には分類されてるけど、あれは幼体だから危険性はないよ。」
「なるほど…それではあの大きなオオカミのような魔物にも危険性は無いのですか?」
ん、オオカミ?
…この森に狼なんていたかな…?
そんな疑問を持ちながら、カリエちゃんに指を刺す方を見てみるとそこには、全身を純白に染めた2メートル強の巨大な狼が立っていた。
白銀の両目は僕たちを真っ直ぐ捉え、確実にこちらをロックオンしている。
全身の毛穴から大量の冷や汗が噴き出す。
恐怖で膝がガタガタ震えるのを感じた。
き、騎士の人がいた筈だ!
その人に早く救援を要請しないと!
そう鈍る思考で考えて辺りを見回したが、こういう時咄嗟に駆けつけるはずの騎士の人が出てこない。
なんで!?
その時、白狼が口をモゴモゴさせ、何かを吐き出した。
それは、騎士の甲冑と思しき物体で、ところどころが焼けたように溶かされているものの、カリエちゃんがきているものと同じであることはわかった。
「…ヒッ」
ようやく状況を理解したカリエちゃんが短く悲鳴をあげる。
…こうなったらもう僕が助かる道はない。
ギルドの信頼の為にもカリエちゃんだけでも遠くに逃さないと。
「…カリエちゃん。逃げて。」
「…え?」
「僕ができる限り足止めするから、カリエちゃんはその間逃げられるだけ逃げて。」
「…そんなっ」
「いいかい、事態は一刻を争うんだ。ギルドの方向はわかるね?」
カリエちゃんはこくりと頷く。
「オーケー。それじゃあ合図をしたら全力でギルドに向かうんだ、そしてギルドの役員の人に助けを求めて。」
「…でもそれじゃあカートマンさんは!」
「大丈夫。絶対僕は戻るから。わかった?」
「わかり…ました。」
頷ききれない歯切れの悪さを残して、カリエちゃんは了承した。
アアアアアアアアオオオオオオオオオオオ!!
白狼が絶叫する。
凄まじい威圧に思わず足がすくむ。
だけど…!
「走って!」
カリエちゃんだけは逃さないと!
「…ヒッ」
小さく悲鳴を上げて、ギルドの方向に逃げ出すカリエちゃん。
彼女がギルドに帰れるまで時間を稼がなくちゃいけない。
戦闘スキルなんてひとつも持ってない。
ステータスは雑魚中の雑魚。
無謀なんてものじゃない。
それでもやらなくちゃいけないんだ。
カリエちゃんが逃げ出したのを見て、こちらに向けて走り出す白狼。
あまりの速さに風圧であたりの野草が薙ぎ倒される。
あまりの恐怖に立ちすくみそうになる。
絶望が体を蝕んでいく。
それでも、それでも、
「うあああああああああああああ!!!!」
声を張り上げる。
今立ち上がれないで何が冒険者だ!
白狼はもう目の前に迫っている。
大きく振り上げた前足で横薙ぎに僕を吹き飛ばそうとする。
前脚が、爪が、僕の体に迫る。
今、直撃する。
…。
絶望の衝撃。
世界が真っ二つに割れたかのような必死の横揺れ。
白狼の爪が、柔らかい僕の肉に突き刺さり、抉り、骨を裁断して貫通していく。
体の前半分が抉り取られ、なお内臓をぶち撒けながら横に吹き飛ばされる。
血が流星のような軌道を描き、ギャグみたいに近くの大樹に激突する。
ぶつかった衝撃で全身の骨が変な方向に曲がった。
放射状に広がっていくのは僕の血か、肉か、内臓か。
反作用によって右目が末端の神経を保ったまま飛び出るのを左目で確認したところまで僕の意識は保たれていた。
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{Code.4の起動を確認しました。}
{欠片保持者の緊急事態により、Code.3断片との限定接続を行います。}
{警告、魂のプロテクトが完全ではありません、本魂への甚大な損傷が発生する可能性があります、続行しますか。}
{続行。接続を開始します。}
{接続中…}
{接続中…}
{エラーが発生しまししますようにご注文くださいますよろしくカートマンの!ギルドを?vがっjrは?張り上げること始め値についてはこれぐらいこれぐらい寝よー寝とけ込めなさい張り上げると思われるけどこれぐらいあるからですねと思って発生したことないけどそれさえって言う踏み入れるええ選ぶ!了承するときにっちゅうtrをるって言うよ、っレジェさん悪されたかも!抉り取られ?るとエfは!との断片化。とのこと始めたから明日からまた今度やってみますに!k羅を?っていうのは僕のとかあるけど今立ち上がれないではなくて!了承しすぎ!ぐらい前にも出て行くかどうかはこのギルドの職員さん日に連絡したら良いです、お子様にと思っていたのに了承したから明日からまた今度やってみますの!って必死になって。って言う人は見かけによらぬものも?ぐらいいいからまた今度からですよ!っていうのは僕のとか言う所のが?描きたいんだ。了承してあるもの言い様は!了承るっていうのは僕のとかあるけどこれぐらいわからん?
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