Code.1
短いです。
その日は、別段いつもと違うことは一つもないなんてこともない日のはずだった。
いつも通りサビ残当たり前のブラック会社でのお勤めを終了させて、当然のように終電を余裕たっぷりに逃し、くそったれと悪態をつきながらタクシー代をケチって家までの道のりをトボトボ歩くといったただの地獄な日々のうちの一日であったはずだった。
「ん?」
―その時それを見つけなければ。
「んだ?これ。」
アスファルトで固められた細道を照らす街灯がぼんやりと映し出したそれは、虹色に美しく輝く石だった。
「随分と綺麗な石だな。」
何かの宝石だろうか?
それともただの安物のおもちゃなのだろうか?
まあ、どっちにしろー、
「売ったら小遣いの足しにはなりそうだな。」
その時、俺は残業続きで疲れていて少しおかしかったんだろう。
普段の俺だったなら気付いていたはずだ。
ただの石やおもちゃなら虹色のオーラなんて出したりしたりしないし、時たま火の粉を飛ばしたりなんかしないはずだって。
「おっとと。あっち。慎重に持ち帰んないとな…。」
でも、時間は帰ってきたりしやしない。
この後、火の粉を振り払ってポケットに宝石を入れた瞬間、
俺は、爆散した。
―そして、俺、相場裕太は齢 21歳にして、その短い一生に幕を閉じた。
最近異世界転生主人公よりも元から異世界の住人設定の主人公の方が人気出るっぽいっすね。




