177 不死身マン
{条件が一定に達しました。スキル「火魔法Lv.10」を獲得しました。}
{条件が一定に達しました。スキル「炎魔法Lv.1」を獲得しました。}
{条件が一定に達しました。スキル「風魔法Lv.10」を獲得しました。}
{条件が一定に達しました。スキル「嵐魔法Lv.1」を獲得しました。}
{条件が一定に達しました。スキル「HP自動回復Lv.9」を獲得しました。}
{条件が一定に達しました。スキル「土耐性Lv.1」を獲得しました。}
深淵の闇が洞窟中を駆け回り、全てを蹂躙し、やがて光が戻り、ミート・イーターの死体が消し炭になって私にその経験値が入ってきて、暴れ回る分体が沈静したのを確認してようやく私は警戒体制を解く。
…ここで暴れ回る魔女っ子を抑えるのにかなりの時間がかかったことは秘密。
あ゛―
あ゛あ゛あ゛あ゛―
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―
お、終わったー。
消し炭になった地面に半ば気絶する様に突っ伏す。
腐ったハンバーグみたいな匂いがした。
マージで危なかった。
マージでキツかった。
マージでツラかった。
マージで地獄だった。
死ぬかと思ったー。
突っ伏したまま気を失いそうになる自分を奮い立たせて、未だ激痛を放ってくる右腕をチラ見する。
一番最初にポカやらかしてへし折れた後、戦いの中でさらにブチ切れた右腕。
肘から先は無くなっており、切断面は骨やら筋繊維やらでちょっと放映できない感じになってる。
HP自動回復のおかげか、明らか血管が見え隠れしてるのに血は出てないし、よく見ると少しずつ回復してるのはわかるけど、痛いし痛いし痛い。
…いやてか待てよ?
HP自動回復スキルって肉体再生効果もあんの?
部位欠損とかも勝手に治っちゃう感じ?
ヤベェな。HP自動回復。
MP自動回復が空気になるのも無理ないわ。
でも、腕とかの精密器官が跡形もなくぶっ飛んじゃうとやっぱり復活には時間かかるっぽいね。
あー。
その間ずっとこんな痛みに耐えなくちゃいけないのかー。
嫌だなぁー。
…と、嘆いていたのも既に往事渺茫。
こういう時に使える頼れる奴、我らが「変異」スキルを駆使すればこんな問題すぐに解決できちゃうのです!
戦いで腕が吹き飛んだ?
トラップにはまって足を無くした?
地雷を踏んで恋人を失った?
そんな皆様にとっておきのこちらの商品!
「変異Lv.4:高速分裂」!
パパッと起動!
{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受けとりました。バクテリア種固有スキル「変異Lv.4」を起動しますか?
―yes
―no}
パパッとyesをプッシュ!
するとー?
ポコ、ポコポコ、ポコポコポコポコポコポコポコ…
突如として泡立つ切断面。
発生した泡は、次第に多く、大きくなっていき…。
その泡が収まり、全てが弾ける頃には白魚を彷彿とさせる様な綺麗な白い腕が再生していた。
ジャジャーン!
素晴らしいでしょう!
あんなにモザイク必至だったクソグロ断面ミンチがたった数秒で元通り!
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このCM
{ねぇ。}
…終了30分後
{オリジナル。}
…以内なら何と九割
{いや聞けよ。}
…へい。
{その高速分裂ってやつ獲得したのって腕ブッチされた後すぐだよね。実際。}
…そーだっけかなー私記憶力皆無だからわかんないなー。
{あるよね。鑑定に瞬間完全記憶と記憶力上昇バフ。}
おっふ。
{今後はその無駄に長く考えられる頭でちゃんと事前準備をしような。}
イエス・マム。
{わかればいいのだよ。}
山:途中に出てきた電話番号は実際の番号とは何ら関係はありません。
間違えてかけちゃったりしてもそれによる損害は受け付けませんので悪しからず。
ア:関係ないのならアレ何の数字なんですか。
山:わからん。何かしらの語呂合わせだった気がするんだけど…。
ア:8900-173てなんですかね。
山:なにぶんこれをかいたのがもう二年くらい前だから、あの時何考えてたのかさっぱりなんだよね。
ア:読者様の中でわかった方がいらっしゃったら、ぜひコメントお願いします。
山:露骨なコメ稼ぎ。




