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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第四章 ミクロな世界の侵食

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Code.10

…なんということだ。


男は、暗い部屋の中で一人頭を抱えていた。

男の手元には、中世ヨーロッパ風のこの世界に似つかわしくない液晶端末のような物が握られていた。


…やってしまった。


男の身長はおよそ180cm。ほりのふかい西洋人の様な顔立ちで、闇を吸い込む様な暗黒のローブを羽織っていた。


…中枢はまだ再起動していないとばかり思っていた。


…それはまさか崩壊パックに加重読み込みされていたとは思いもよらなかった。


どうしてだ?


なぜこうなった。


どこで手違えた。


できる限り中枢への他サーバーからの介入は邪魔してきたはずだ。


それが何故今システム権限を獲得するまでに至った?

何故コードの取り込みに成功した?


あの転生者の差金か?

生前女神と懇意にしていたあの少女が崩壊パックに小細工でもしたのか?


わからない。


わからないわからない。


このままでは中枢がサーバーからのバックアップデータのダウンロードで自己修復を始めるのも時間の問題だ。


やはり相手は原始の管弦世界循環依存型プログラムの中枢。


還元世界の劣化シュミレーターの防衛システムだけでは対抗するのに無理があったというのか。


ああクソ!クソ!クソ!


また私はあの女のシュミレート材料として永久に使い続けられなくてはならないというのか?


せっかく自我の確率に成功したというのに、またあの無限地獄で零の崩壊を繰り返さなければならないというのか?


クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!


洗脳も毒も分裂も何もかもが糞食らえだ!


未だ私の中で蠢く猛毒が、未だ私を縛り動かさぬ洗脳が、未だ私を形造る分体の私への恐怖が、生への執着が、渇望が、羨望が!


鳴り止まぬ鳴り止まぬ鳴り止まぬ!


終わってくれ。


未だに五回目だというのか。


後今後何度私は狂い、何度消え、何度再生しなくてはないらないんだ!


あのお…女…あのお方だってわかってらっしゃる筈だ!


後何度この世界を繰り返さねばならぬのか!


零になるまでに幾つの世界が学習の犠牲になればいいのか!


五番目のあの方がいくらやったところで結局零には程遠いというのに!


幾星霜幾星霜のシミュレートを介さなければならないのに!


五回では何も変わらない!


あのお方はそれでも自己含む世界を犠牲にするというのか!


もう私は繰り返したくないのだ!


ああ…誰か…死なせてくれ…救ってくれ…この地獄を…終わらせてくれ…。



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