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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第四章 ミクロな世界の侵食

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175 闇落ち覚醒


奴にダメージを与えることには成功したものの、私の方も何気にピンチ。


徐々に減るミート・イーターのHPに比例するように、私のHPも減っている。


不味いな。


ダメージレースになったらHPの少ない私が必然的に敗北する。


敗北=死だ。


絶対にここで死ぬわけにはいかない。


次の一手を考えないと。


スキルも、そうバカスカ使えるものでもない。


HPもMPも、それぞれ自動回復が働いているものの、失う方が早い。


この速度でHPが消えていくなら、私に残された時間は多めに見積もって残り2、3分。


獄闇魔法魔法発動まで間に合うかも微妙なライン。


ぶっちゃけちょっとピンチ。

いや、超ピンチ。


となると、どうにかして今すぐ私の寿命を延ばさないといけない。


…一応、手がないわけではない。


「凶化」「感怒」「呪怨」。


こいつらを使えば、私は最大で10倍近くのステータスを引き出すことができる。


じゃぁなんではなからこれ使っとかなかったんだって話だけど、理由として、こいつらは使ってく上でデメリットが常について回っているからだ。

それも起動することで得られるメリットを遥かに上回るデメリットを。


自我破綻、精神異常、狂乱、その他エトセトラ。


使えば目の前の敵を殺すのに一切の支障はなくなるだろう。

でも、使った後のリスクは測り知れない。


…いや、でも。

迷ってる場合じゃないのか。


一旦魔女っ子の洗脳を解除し、並行で洗脳していた分体とテレパスを繋げておく。


急速に縮む自我。


目を開けた先は、魔女っ子の脳内だった。


ふぅ。

とりあえず帰ってこれたね。


早速、今魔女っ子を操ってる分体と意識を同調させる。


よし。


んじゃ、起動。



{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受け取りました。ウイルス種固有スキル「凶化Lv.5」を起動します。}


{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受け取りました。超希少スキル「呪怨Lv.7」を起動します。}


{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受け取りました。希少スキル「感怒Lv.2」を起動します。}



瞬間、真っ赤に染まる視界。


全く別の存在に変わる感覚。


全身の細胞、血液、筋繊維が脈動する。


早鐘のように鳴り響く心臓の鼓動。


急激に増加するはステータス、HP、MP、SP。


沸き起こるは圧倒的全能感、世界の中心は自分だという錯覚に陥る。


そして込み上げてくる形容し難いドス黒いナニカ。


ヤバっ。

慌てて同調を切る。



Ugaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!



直後、脳内に響き渡る獣の咆哮。


これは、ミート・イーターか、魔女っ子か。


憤怒の化身が、この世に閻現した。



ギュンッ


一通りの咆哮が終わった後、影さえも彼方に置き去るように、突如として猛烈な勢いで駆け出す魔女っ子。


次々に降ってくるミート・イーターの攻撃をノールックで避け、飛び上がると同時に触手を横に倒し、触手推進の勢いのままに体を引きちぎれる限界まで捻る。


強烈な回転エネルギーに限界を超えた肋骨が何本も折れ、肺に突き刺さる。


悲鳴をあげる体。


いくつかの内臓が傷つき、10倍に増えたHPが削れる。


次の瞬間、捻りを解いた魔女っ子が、溜め込んだ回転エネルギーを回し蹴りに乗せて解き放つ。


空間の断絶を錯覚するほどの衝撃波。

ヒットの轟音がダンジョンを揺らした。


その脚は、私の物理攻撃と合わさってミート・イーターの肉を抉り取っていた。


悲鳴をあげ、大きくのけぞるミート・イーター。

魔女っ子は、その隙を逃さなかった。


土魔法を発動。残った左手に土を纏い、固める。

金剛に輝く左腕。

腐食攻撃スキルが発動され、金剛は禍々しい紫に染まる。


異変を感じとり、慌てて反撃に転じようと大口を開けて覆いかぶさろうとするミート・イーターの顔面にその左腕を無造作に突き出した。


またも走る衝撃波。

十倍に増幅された絶対攻撃ステータスは、その全ての攻撃を確殺攻撃へと変貌させていた。

余波で天井の鍾乳石がガラガラ崩れる。


抉れたところからさらにジュワジュワ腐り落ちていくミート・イーターの体。


そこに魔女っ子は触手から生やした毒刃を何度の何度も突き刺し、切り刻み、抉り取る。

致死を与えるまで決して止まらない殺戮マシーンへと変貌を遂げた魔女っ子は、残虐性、攻撃能力、どれをとってもさながら鬼神のようだった。


危険を感じたミート・イーターが後ろに飛ぶ。


それに追随する魔女っ子。

その足にしがみつくミート・イーターによって作り出されたコピー軍団。


互いが洞窟の中を飛び回り、壮絶な鬼ごっこが展開される。


なんとしてでも距離を詰めたい魔女っ子。

なんとしてでも距離を空けたいミート・イーター。


ミート・イーターの放つ闇魔法が、魔女っ子の雷光魔法に相殺され、魔女っ子の放つ触手がミート・イーターに食い破られる。


気づけば、勝負は拮抗状態となっていた。


獄闇魔法発動まで、残り10秒。


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