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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第四章 ミクロな世界の侵食

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171 裏切り


脳がパニックから回復する前に、体が反応した。


触手を伸ばし、背後でミンチにされたピータンを拾い上げ、前面に押し出す。

と同時に反動を利用してバク転。

怪物の確殺範囲から脱出する。


地面に着地すると同時に神眼と訃眼を発動。

急速に遅くなる世界。


更にそこから予知発動。

世界がダブり出す。


体勢を立て直し、頭を振る。

意識を混濁から無理やり引き起こす。


…よし。

私は正常だ。


分体に魔法を発動させる。

この際、出し惜しみはしない。

獄闇魔法発動準備。


{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受けとりました。スキル「獄闇魔法Lv.1」を発動しますか?

―yes

―no}


Yes。


{選択を確認。術式過多のため、「鑑定Lv.17」「魔導感知Lv.8」「魔導帝Lv.7」を起動します。}


{処理中…処理中…完了。}


{術式を構築します。}


{術式張展、開始します。}


展開された魔法陣は、獄洸魔法とはまた違った形。

六芒星を幾つも幾つも重ね合わせた正円。

魔法文字らしきものはその外に貼り付けられており、どす黒く発せられる光は醜悪的な禍々しさを醸し出していた。


{術式張展完了。}

{魔法感知…1%}

{魔法感知…3%}

{魔法感知…5%}

{魔法感知…7%}

{魔法感知…8%}


遅い。


獄闇魔法のクールタイムは、獄洸魔法よりもはるかに長かった。


発動できるのは…大体七分後くらいか。

そこまで耐えないといけないっぽいね。





ふむ。


では今の状況を確認してみよう。


そんなことしてる暇なんてあるのって話だけど、幸い、分体たちのおかげで上がりに上がりまくった思考加速スキルで考える時間だけなら腐るほどある。


今私に目の前にいる怪物の名前は、ミート・イーター。

和訳すると、肉を食べる人?


人…?なのか…?


んま、んなことはどうでもいい。


私の名前だってアキネト・サディカルエデヌスなんていう謎言語だし。


そんでミート・イーターの姿は、肉片を無理やりひき肉みたいにしてハンバーグみたいにグッチャグッチャつなげたみたいなのをベースに目やら足やら生物のパーツを埋め込みまくったみたいなキモいの権化みたいな感じ。

体長は目測15メートルくらい。

こんくらいかな。


で、問題はそのスペックだ。


レベル脅威の25。


HP、MP、SP。

その全てが四桁。


ステータスは全て一万以上。

一番低いと思われる瞬発力でさえ私の何倍もある。


…あー。

ヤベェっすわ。これ。

自分、逃げてもいいっすか?


だめ?

ダメっすか。

あーハイハイハイ。


―んで、次がスキル。


今のところ、ちょこっと奴のスキルを見た時に気になったスキルは三つ。


「吸喰Lv.20」と、「創喰Lv.20」。

そして、「Code.9」。


上二つは、こいつの種族固有スキルだと思われる。


明らかに他のやつとはレベルが違うし、名前がそのまんまだしね。


ちょこっと鑑定してみようか。


{吸喰

イーター種固有スキル


・喰らった生命のHP、MP、SP、ステータスを吸収する。

・吸収する割合はレベルによって変化する。Lv.20の場合、200%。


特記事項:一定時間生命を喰らわないとデバフ「飢餓」がかかる。}



{創喰

イーター種固有スキル


・HP、MP、SPを消費して喰らった生命のコピーを生成する。

・コピーできる割合はレベルによって変化する。Lv.20の場合、200%。


特記事項:HP、MP、SPの消費量はコピーする生命のステータスに依存する。}



んー。

端的に言ってチートだ、これは。


スキルの内容は、私のスキルで例えると、吸収と産卵と分裂を足してかけてそこにドレイン効果やらなんやらをトッピングしたようなもの。


それだけの存在でありながら、固有スキルがたった二つしかないのも頷ける。


奴は、あの二つだけを武器にしてあそこまでの強さに到達したんだ。


んで、三つ目。

「Code.9」。


…なんでいんの?

お前。


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