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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第四章 ミクロな世界の侵食

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153 ヘル・テイスト


え、ぇえ、ええええええ。

なんかすごいのを見てしまった。


ああ言うのを弱肉強食って言うんだろうねー。

迫力満点であった。


チュドーングラグラからのバラバラ死体の出来上がりですよ。


今のあいつ。

スキルこそ乏しいものの、物理攻撃に関しては今までとは一線を画する存在だった。


女騎士ほどじゃないにしても、今の体で正面から殴り合いしたら多分勝てないんじゃないかな?


触手使っても微妙そう。


触手に毒刃やら腐食やらその他諸々の強化スキルをトッピングしてようやく勝てるレベル。


まぁもちろん、さっきも言った通りスキルは乏しかったから分体使ってのノータイム魔法弾幕とか、距離があるならその他超希少スキルを使えば圧勝できるだろうし、そんなことをせずとも分体を一体でも体内に取り込ませれば勝ちが確定するわけだけど。


でもそれが全く油断している状態だったら、思考加速の猶予をもってしてもそう言う判断ができずにタコ殴りにされてたかもしれない。


ピータンの二の舞になってたかもしれない。


いやはや。

世界は広いねー。


油断せずしっかりやっていかなくては。



…。



はーいどうも。


毎度おなじみ、バク子の三分クッキングのお時間でーす。


本日はぼっちに最適、とっても美味しいピータンの丸焼きを作っていきたいと思いまーす。


そこらの岩をキッチンがわりに今日も今日とてぼっち飯作っていきましょー。


今回の食材は、はいこのお肉。


同族にぶっ殺された哀れピーたんのお肉です。


さっき殴り殺されたばっかりなので新鮮ですよー。


しかも既にひき肉加工済みと言うね。


僕殺もいいものですねー。


非情?

残酷?


いえいえ。


自然界なんて卑怯な手を使ってなんぼ。


相手の力を利用していかに自分に変換できるか。

真の臆病者こそが生き残れる世界なのですね。


情報論理、排他的モラルに制御された現代社会では廃れてしまったこの考え方こそがこの世界の絶対的な本質なのですねー。


で、今回は何と異形の丸焼きに挑戦です。


私、これまでありとあらゆるゲテモノ料理(?)を作ってきましたが、ここまでの異形を調理するのは初めてですねー。


さて。


まず取り出すのはひき肉の中でも割と形の残っていた頭部分です。


このピータン、体調こそ50センチ程度と、小型犬並みの大きさなわけですが、やはり異形は異形らしく、頭と体のバランスどうなってんだってくらい頭がでかいです。

縦の長さだけだったら40センチ以上あるんじゃないでしょうか。


その大きな頭の先を手放さないようにしっかりと掴み、そのまま最下級の火魔法で焼き色がつくまで腕ごとファイアレンジします。


この時、火の当たる面積をできるだけ大きくするのと、火炎無効スキルを獲得しておくことが必須となります。


しっかりと事前準備をしておきましょう。


さて、次はミンチになっている胴体部分です。


これはもう強い衝撃で原型を全くとどめていないので、土魔法で串でも作って火炙りにしましょう。


ここは割と強火で。


しかし、黒煙が出てからでは遅いです。

気をつけましょう。


はい、ということで全ての品が完成しましたね。


ピータンの兜焼きと、ピータンの串焼きです。


早速いただいてみましょう。

まずは兜焼きから。


…ふむ。

ふむふむふむふむ。


ほうほうほうほう。


食感としては、外側のパリッとした感覚と、内部の筋肉やら脳やらのシャクシャククニュクニュブツブツした感覚で、イメージとしては外はパリッと、中は死ゃくっとした食感でした。


味としては、酸味と苦味と甘味、あと微妙なエグ味があって、それぞれがそれぞれの自己主張をしあってるおかげで口の中がフィルハーモニーですね。


ええ。

端的に言ってクソ不味いですね。


ん?いや待てよ。

酸味と苦味と甘味とエグ味?

あれ。

もしかしてこれって異世界にきてからはじめての味のある食事だったんじゃない?

バクテリアだった頃は味覚なんてなかったからなー。

ゴタゴタしててすっかり忘れてたぜ。


え。

いやつまり、あー。

つまりは異世界にきてからのはじめての料理が40センチ近くある化け物の頭ってことになるのかー。


なんかすごく損した気分だぜ。


んじゃ、もう一つ。

ピータンの串焼きです。


丸かじり。


―ふむ。

ふむふむふむふむふむ。


ほうほうほうほうほう。


つみれみたいなのをイメージして作ったつもりだったけど、外側は熱を感知して凝縮して岩みたいになってて、内側はそのせいで熱が通らなかったのか、デロデロした脂の塊だった。

味は、微妙な酸味。

そこにカメムシを凝縮したみたいな匂いが香ってきて…。


うん。

地獄みたいな気分だった。


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