146 獄洸
超絶遅稿の15/15連投
ま、とりあえずこのスキルに危険はなさそうだね。
ん?
特記事項?
知らん。
なんか激ヤバなこと書いてあった気がしたけど、そんなの私は覚えてない。
…いやでもマジな話、獄誘的影響ノ可能性とかなんとか書いてあったけど、今の所頼れるのがこのスキルくらいしかないから一旦無視で。
…本当にやばかったらやめよ。
―んじゃ、そうと決まればいざ回復。
魔女っ子と融合合体した私のハイエンドヒールを食らうがよいぞ!
ふはははははははは。
{なして魔王系?}
気にすんな。
{了解。}
{アキネト・サディカルエデヌスからの要請を受けとりました。スキル「獄洸魔法lv.1」を起動しますか?
―yes
―no}
若干暴れ出す心臓を抑えながらyesを選択する。
{選択を確認。術式過多のため、「鑑定Lv.17」、「魔導感知Lv.8」「魔導帝Lv.7」を同時並行で起動します。}
{処理中………完了。}
{術式を構築します。}
は?
ちょ、オート君?
どした?
突然妙な事を言い出したオート君に戸惑ってる間に、獄洸魔法は次のフェーズに移行する。
{術式張展、開始します。}
ヴォォォォォォン…。
腹の底から響くような擬音を奏てて、転移魔法陣とは比べ物にならないほど巨大な魔法陣が私を中心に洞窟の天井付近に展開される。
円を五つ賽子の五の目のようにつなげた形。
それぞれの円には幾つもの魔法文字らしきものが描かれており、幾何学的な陰陽を見せていた。
そして…。
{術式張展完了。}
{魔法感知…100%}
{相対MP感知…100%}
{絶対MP吸収…100%}
{MP純化…100%}
{魔法術式構成…100%}
{魔術魔法MP消費設定…100%}
{放出射角計算…100%}
{放出後残MP純化…100%}
{絶対MP術式還元…100%}
瞬間、ごっそり抜かれるMP。
あまりに突然で、思わず体のバランスが崩れる。
触手でなんとか体を支えた。
見上げた先、MPが行き渡った魔法陣が虹色に発光し、ついにその力が解放された。
ゴォォォオオオオオオオオオオオン…!
爆音と共に術式から光が溢れ出る。
大地を脈動に震わせながら、天井にまで突き出された一本の光の塔が、辺りを美しく彩る。
それは地獄を明るく照らす如来の手。
闇夜を照らす明朝の訪れだった。
恵の陽光が、ボス部屋に満ち満ちた。
…。
お、おおおおおおおぉぉお!
獄洸魔法が行使されたボス部屋は陽光に照らされ、その光があたった火竜と魔女っ子の肉片が逆再生のように回復していく。
そして1分もたたないうちにメイドと火竜の体は素の姿へと復元された。
す、スゲー。
い、いやぁ。
なんというか言葉が出ない。
気持ちがいっぱいすぎてって感じだ。
強いていうならなんだろ。
綺麗な星空を見て感動するみたいな。
イルミネーション見て目がチカチカして呆然とするみたいな。
そんな幼い気持ちが心の中で渦巻いてる。
それくらいこの魔法はすごかった。
途中途中でオート君がなんか言ってた気がしたけど、それすらも気にならないわ。
{それはそれでどうなんだ。}
いや、ちゃんと後で検証はするさ。
ふー。
でも今はしばらくこの余韻に浸っていたい。
山:いやまさか全部終わらせるのに二週間近くかかるとは。
ア:驚いてるのはこっちですよ。
山:ゴールデンウィーク貫通してテスト当日まで来てるかんね。
ア:あ、もうテストですか。
山:yes中間!
ア:あちゃー。
山:という事でまた休みが続きますと。
ア:テスト週間終わる頃にはもう誰もこの小説見てないんじゃないですか?
山:心にグサッとくる事を…。




