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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第三章 ミクロな世界の回生

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Code.1(7)

超絶怒涛の3/15連投。

あれから更に六年が経過した。

年を追うごとに俺の活動範囲は広がり、周囲の情報もここ最近になって獲得する事が出来た。


…その内容は部屋が幾つここにあるのかとかそういうくだらない事ばかりだったが。


スキルやステータスも両親のありがたーいしごきで大分上昇し、最近「剣使い」というスキルまで獲得できた。


これは六歳にしては異例の事だったらしく、俺の両親も驚いていた。


姉のサラも「弟に負けてられない」と言って更に訓練に勤しんでいた。


…俺は両親の扱き(剣に関しては主に母親)からひたすら耐えてただけなんだけどな。


…とまあそんなわけで色々チヤホヤされて浮かれてた俺は、ある日不意に両親のステータスが気になった。


俺の鑑定スキルは三歳の時までにあげた10レベル。


どうやらこれが最大値のようで、今日までの三年間でいくら周りを鑑定してもレベルは上がらなかった。


…まぁ鑑定スキルのことなんて今はどうでもいい。


肝心なのは両親のステータスだ。


剣使いのスキルを手に入れるまでに、俺は剣を扱う上での歩行法や、そのほか体術などもある程度学んでいた。


更に、つい最近獲得した「隠身」というスキルで足音を立てずに歩くことも可能だ。


両親は、今リビングでくつろいでいる。


広い廊下を静かに移動し、ドアの前に立つ。

薄くドアを開き、両親が視認できるようにする。


見えた!


…両親は今の所俺の目標だ。


こんな異世界に転生させられた以上、やはり最強を目指したいというのが男のサガというもの。


普段から俺をいじめてくる両親のステータスを、今、丸裸にしてやる!





…結果。

化け物だった。


父親の方は、剣、魔法共にどちらも高レベル。まだ俺は父親以外の魔術師というのを見た事がなかったのだが、魔法攻撃力含め全てのステータスが4桁を超えているのは恐らく普通では無いだろう。

なんてったって今の俺のステータスは平均100前後。

単純計算最低10倍以上の差があるわけだから。


母親の方は、魔法の方はからきしのようだったが、剣、物理攻撃において一線を核する存在であることは素人目にもわかる。


「剣聖」スキルなんてラノベでしか見たことなかったしな。


まぁ当然ここまで伸びに伸びきった俺の天狗の鼻はポッキリへし折られた。



…。



―そんなことをベッドの上で考えながら今日も陽光が上がる前にベッドから抜け出し、パジャマから洋服に着替える。


洋服…とは言ってもこの世界はありがちな中世ヨーロッパ風の文明レベルなので現世にあったような柔らかなTシャツじゃなく、ゴワゴワとした麻でできたものなのだが。


あー。現世の服が懐かしいとぼやきながらズボンを履いていたとき、なんの前触れもなく唐突に俺の部屋のドアが大きな音を立てて開け放たれた。


「ユーリ!朝食よ!」


ドアの先にいたのは、金髪を左右に下ろした白い肌のロシア人形のような姿の美少女。

俺の姉、サラだった。


「姉上!着替え中です!」


俺は抗議の声を上げる。


一応下はパンツを履いていたものの、ズボンを履いている途中で入られたため、下は丸出しだった。


「はぁ?着替えなんてさっさとしてよ。朝食と朝食―。さーめーるー。」


はぁ。

一向に引こうとしない姉に、俺は仕方なく白旗を上げる。


「わかりました姉上。今すぐ着替えて下に行きますので、取り敢えずその扉を閉めてください!」


「はぁ。仕方ないわね。私は呼んだからね。すぐに着替えて朝食にくるのよー。全く。六歳のくせに生意気なんだから…。」


俺の懇願が通じたのか、姉上はあっさり引き下がり、食堂に向かっていった。


ふぅ。


なんとかなった。


んじゃ、急いで着替えないとな。



…。



姉が去った後、速攻で着替えた俺は高そうな調度品が並べられている廊下を走っていた。


六歳…。

そう、俺は今年で数えて六つになるのだが、現世の感覚で考えるのなら、もう小学校に入学する頃だ。


家の内装から考えて、金に困ってるわけでも無さそうだし、学校に通わされてもおかしく無いと思うのだが…。


そういえば、姉も学校に通っている様子がない。


中世ヨーロッパとはいえ、学校がないわけでも無いはずだが…。


「お、きたわね。」


そんなことをぼんやりと考えていたら、食堂にたどり着いていた。


食堂の端に座る姉上が声をかけてくる。

テーブルの上には、パンとスープ、簡単なサラダが並べべられていた。


「ユーリ、早く座って。」


姉の前に座る母親のアリスが俺を促す。


「はい。」


俺は、姉の左、父親のジョナサンの正面に着席する。


「全員揃ったな。では、いただきます。」


「「いただきます」」


父親の声と共に、食堂に並んだ朝食を食べ始める。

スプーンとフォークがさらに当たる甲高い擬音だけが物静かな食堂に響く。


「時にユーリ。」


食べ始めて数分。


朝食のほとんどを完食していた俺に唐突に父親が話しかけてくる。


「おまえももう六歳だろ?剣の腕も魔法の腕も大分上がってきた。」


その両方が高いレベルでまとまっているオールラウンダーの父親にいわれてもほぼ嫌味にしか聞こえないが、それでもこれは両親のおかげなので素直に頷いておく。


「それは父上と母上の修行の賜物ですよ。」


「ああ。それでお前には帝都にある帝国立の学校に通ってもらう。」


「私と同じところね。」


「その通り。サラの通っているアドヴァンヴァル魔法学校に通ってもらう。」


「学校ですか…。」


「ああ。」


どうやら、俺は魔法学校に通うことになったらしい。


…なんてタイムリーな。



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