Feat 勇者パーティ ④
ああ。
私は死ぬのでしょうね。
呆然と失われていく感情を、自分に寿命の残りと同じように何処か遠くの視点で見ていた私は、そんな事を考えながら呆けた表情で立っていました。
でも、それもいいのかもしれません。
人の愛する相手を奪い、あまつさえ死ねと命じ、さらに仲間をも殺した私には、龍に虫ケラのように踏み潰されるのがお似合いでしょう。
パチ…パリパリ…
龍が、私に向けて紫色に染まった爪をこちらに向けてきます。
ああ。
いよいよですか。
一思いに殺してくれるんでしょうか。
私がこんなことを願うのは少々強欲かもしれませんが、できるなら苦しむのは一瞬がいいですね。
幕引きのきっかけくらい自分で決めましょうか。
懐からナイフを取り出します。
龍に介錯を頼むなんて贅沢な事だと思いながら自分にナイフを突き立てようとした瞬間、白龍の殺意が激増しました。
唐突に戦闘態勢に入った白龍が炎の翼を展開し、こちらに迫ってきます。
周りの土が変化し、足にまとわりついてきます。
極大の威圧に、自分に突き立てかけたナイフを思わず取りこぼします。
どうやら白龍は私の自殺を許さないみたいです。
弱者に死に場所を選ぶ権利なんてないんでしょうね。
ギロリ、そんな擬音が聞こえてきそうな様子で、白龍の目がこちらに向けられました。
爬虫類系の縦に切れた瞳孔は、凄まじい憤怒をはらんでいました。
まぁ、そうでしょうね。
私達のせいで結果的にダメージを食らうことはありませんでしたが、尻尾が切られたり幾つもの切り傷を与えてしまいましたから。
でも、その怒りのままに一思いに殺してくれるならそれでいいです。
私は、静かに目を閉じて…。
その激痛に目を見開きました。
口の中に鉄の味が満ち、溢れ出しました。
「カハッ、ゴホッゴフッ…」
ピチャリ。
抑えた手の隙間から、赤い液体が滴り落ちます。
私は、吐血していました。
「ぇ?」
痛い。痛いです。
その痛みに耐え切れず、瞳からは涙が滲んできます。
視界が赤く染まっていきます。
「ぁえ…ぁれ?」
拭った涙が、赤く染まっていきました。
スッ…。
髪が、肌が、溢れ出した血の量と比例して白くなっていくのが赤く染まった視界から見えてきました。
手や足に、紫色の斑点が浮かび上がります。
これではまるで、白龍に変化する前の火竜のようではないですか。
「ぁぁ…ぇジョン…くん…アリ…スちゃん…ル…ナさん…ごめ…ん…なさ…い…ゴ…メン…ナ、サ、イ…」
全身の毛穴という毛穴から噴水のように血を吹き出し、自らの血溜まりの中を悶え、嘔吐きながら、私は自分の意識が希薄になっていくのを感じながら最期まで謝罪の言葉を口にしていました。
山:アニバーサリー。
ア:なんのですか。
山:困るなアカツキさん。今日は投稿一周年記念日だよ。
ア:どうでも良すぎてすっかり忘れてました。
山:酷すぎる。
ア:というかこんな血塗られた記念日いやですよ。
山:この話以外だと前話の気狂主人公の話になるんだけど。
ア:どうあがいても絶望。
山:まぁともあれここまでやってこれたのは読者様のおかげです。
ア:今後とも「ミクロな世界の女子大生」をよろしくお願いします。
ア:…そういえば、記念日なのに何でこんな投稿遅れたんですか?
山:原因不明に腹痛に悩まされてて気づいたら朝でした。
ア:絶対呪われてますよそれ。




