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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第三章 ミクロな世界の回生

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127/550

Feat 勇者パーティ ③

獄閻魔法の行使とともに白龍は死に、ボス部屋の扉が開かれ、ジョン君に再会する。


そんなシナリオだったのに。


二つの魔法が終局した後に残った土の塊から出てきた白龍を見、慌てて鑑定をし直した結果、私は漏れ出す悲鳴と込み上げる吐き気を抑えるのに手間取っていました。



HP 485/500

消費HP、15。


この減った分のHPは、アリスちゃんの時間稼ぎ分のダメージでしょうか。


白龍は、いえ、この化け物は、私の全力の魔法を持ってしても傷一つ付いていませんでした。


初めから向こうに傾いていた天秤が、あちら側に倒れていきます。


ああ。

なんてことでしょう。


今この瞬間、パーティ全員が生きて帰れる可能性がゼロになりました。


アリスちゃんが死にそうです。

ルナさんが辛そうです。

私が、私が弱いせいで、みんなの足手まといになっているんです。


でも何としてでも、他の二人は助かるようにしたいんです。


その為に、私は最後の力を振り絞って最後の計画を立て始めました。





土の塊から、地面を一歩一歩踏みしめるように、私達を嘲笑うかのように、ゆっくりと姿を現した白龍は不意に立ち止まり、未だ有り余る魔力をその巨躯に纏わせ、空間に溶け込むように姿を消しました。


どういう原理なのかは想像もつきませんが、ボス部屋の主たる白龍がこの部屋から抜け出すことはできません。


私は部屋全体に鑑定をかけ続け、姿を隠して後ろに回り込む白龍を発見しました。


先の獄閻魔法シリーズの発動により、今の私には使えるMPがほとんど残っていません。

だから私は初級魔法、火魔法で牽制をします。


影になった状態でもそれを容易く躱す白龍。


直後、これ以上消えていても意味がないと早々に悟った白龍がその姿をぼやけさせながら現します。


その瞬間にさらに下級の魔法を打ち込みます。


少しでも意識が私に逸れるように。

少しでも意識がアリスちゃんに向かわないように。


そして…。


「完成しました!いつでも発動できます!ルナさん!」

「…っ分かりました。」

「ちょ、え?何よ。」


私の空間魔法完成の合図を聞いたルナさんが、アリスちゃんを羽交締めします。

こうでもしないと、アリスちゃんは逃げてくれませんから。


「何のつもりよ!ルナ!サラ!」


私の顔と、ルナさんの行動を見て、何かを悟ったアリスちゃんが声を張り上げます。


「帰ろうって言ったじゃない!帰るなら全員でって、そう言ったじゃない!」


可愛い顔を涙でグシャグシャにしながら、こちらに向けて怒鳴り声を発するアリスちゃん。


「そんなに泣かないでください。あっちにはジョン君がいるんですよ?だからアリスちゃん。


…笑って?」


そう言うと同時に、私はここまでずっと溜めてきた空間魔法を、最後のMP消費と引き換えに発動しました。


「サラ!ルナ!一緒n…」


最後にアリスちゃんはなんて言ってたんでしょうか。

最期に聞きたかったですね。


「本当に、これでよかったんですね。」


羽交締めにしていた腕を解き、私の方を向かずにルナさんがそう聞いてきます。


「ええ。それよりルナさんを送ることができなくて申し訳ありません。私にはアリスちゃんを送る分のMPしか残っていなくて。」


「いえ。それはいいんです。ご主人様をお守りするのがメイドの仕事なので。」


「そう…ですか。じゃあいきましょう。」


こうして、本当に最後の戦いが始まりました。



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