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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第三章 ミクロな世界の回生

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105 開戦ボス部屋 ②

ジリジリと、互いの殺気がぶつかり合う。

両者とも微動だにしない我慢比べ。


先に動き出したのは…向こうだった。


「○й! Глад△ий!」


なにやら叫び声をあげ、勇者が焦りを滲ませながら身体を捻る。


{空間魔法 lv.l 1 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 2 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 3 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 4 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 5 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 6 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 7 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 8 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 9 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 10 発動確認。}


重ねて鳴り響くオート君の無機質な叫び声が聞こえたと同時に、突如として勇者パーティから光が溢れだした。


瞬時にして行われた魔法の行使に、脳の反応が遅れる。


な!

ヤバッ!


思わず身をひくが、何のダメージも受けない。


外傷もなく、ステータスを見ても HP もМP も SP も減ってない。


何?

バフ系か?


思わず相手の方を見る。


すると、相手のパーティにいた、主人公スタイルの男が消滅していた。


は?


訳の分からない状況に、私の脳が一瞬停止する。


主人公が動き出す予兆は見えなかった。

奴の速度ステータスが四桁を超えているとはいえ、私の、というか強化された火竜の視覚がその主人公の姿をとらえ損ねる訳がない。


オート君。

さっきの状況を再鑑定。



{空間魔法 lv.l 1 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 2 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 3 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 4 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 5 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 6 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 7 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 8 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 9 発動確認。}

{空間魔法 lv.l 10 発動確認。}

{個体名、レーニン・フォン・ジョナサンは、転移されました。}

{転移先座標…次元阻害結界により、特定不可。}



ファ!?

転移?

ルー○ですか?


さっきの空間魔法はそういうことができるのか?


再度確認。


うん。

空間魔法持ちは、魔女っ娘只一人。


ってことは、魔女っ娘が主人公に空間魔法を行使したってことになる。


…なして?

主人公は、ほか三人にあるような特化性能はないけど、その分全ステータスに偏りがない完

璧なオールラウンダーだった。


器用貧乏なわけでもなく、マジでスキのないオールラウンダー。


スキルも充実してて、壁役、アタッカー、後方支援何でもござれのチートキャラだったはず。

なのになんで飛ばした?

彼らのステータス的に考えれば私との接敵に際して、


-------------------------------------------------------------------------------------------------------

魔女娘:行って!

主人公:そんな!お…

ピュンッ!

瞬間、魔女っ娘の魔法と同時に勇者の姿は虚無に消えた。

騎士子:よくやったわ…。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------


っていうヒロインが犠牲になるありがちな王道展開はないだろうし、そんな不利になるとは思えないけど、戦術的に主人公の遊撃力を失うのはあっちとしてもつらいところがあるはずだ。


マジでなんで消した?


…勇者パーティの不可解な行動から、この戦いの幕は切って落とされた。





ツー訳で今度はこっちのターン。


{パクテルアクストラレータからの要請を受け取りました。}

{パクテルアクストラレータからの要請を受け取りました。「土魔法 lv.9」を起動します。}

{オリジナルからの要請を受け取りました。クローンの「土魔法 lv.9」を起動します。}


分体達のスキルも起動させて牽制の土弾を大量に作る。

そして掃射。


風切り音を響かせ、無数の土の塊が勇者パーティ(主人公不在)に迫る。



ギュワンッッッッ。



{「破壊大攻撃 lv. 8」発動確認。}



しかし、それの全てが女騎士の一閃によって消し飛ぶ。

衝撃波が洞窟内を脈動させ、残った土の塊が爆発する。

土煙が勇者パーティの姿を隠す。


ッチ。

流石にあの程度で削れるような相手じゃないとは思ってたけど、まさかの剣一振りでダメージ相殺とか。

ちょっと想定外。



シュンッ



瞬間、土煙を切り裂くように姿を現す女騎士。


足は既に地を蹴り、その痩身は宙に舞っていた。

腕には先程土魔法を相殺した剣が握られており、今にもこちらに振り下ろさんとするかのような様相であった。


あっぶねっ!


慌てて飛びのく私。


女騎士の持つ破壊強化とかいうスキル。


あれは単純な増強系の物理攻撃スキルとは少し違うにおいがする。


おそらく効果としては名前の通り、ダメージ特化、というか破壊、対物性能を上げるような

スキルのはずだ。


それを耐性スキルで防げるかの確率は半々だ。


もしかしたら火竜の体とて耐えられないかもしれない。


流石に即死とまではいかないまでも相当なダメージを食らうはず。


どっちにしろ、そんな攻撃を食らうわけにはいかないんだけど…。



斬!斬!



何度躱しても躱しても女騎士は音速かと見まがうほどの速度で私もとに迫ってきて、的確に首を切り落とそうと迫ってくる。


クッソ、これ、じゃあ…よけ、られ…ない…!



斬!



グシャァ…!



ピギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


避け切れなかった一閃が火竜の装甲を容易く貫通して肉を抉り取る。


戦闘態勢に移行してるおかげで私自身への直接的なダメージはないものの、火竜から伝わってくる痛みは私の精神的ヒットポイントを一気にレッドゾーンまで振り切らせるには十分な存在感を持っていた。


取り敢えず痛みに耐えながら薬合成で抉れた部分に応急の処置をする。


…ふう。

もう逃げるとか避けるとか考えてる暇ない。


そんなものに、そんな考えに脳のキャパを使うわけにはいかない。


分体の力を使って私の持つ全魔法を多重発動。

先の騒動で多少減った食料を喰って脳内で分体を増殖させる。


できた分体に片っ端から視覚共有。

思考加速、高速演算にさらに予見を発動。

私の変化を敏感に感じ取った勇者パーティが身構える。


…ぶち殺す。

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