【おまけSS】第30.5話 カイトの思考
サンセと話し終えて部屋に入っても、いつになく真剣な強い眼差しで少し苛立っていたサンセが思い浮かぶ――
(……あんなサンセ……初めて見た。……僕……なんかした?……わからない……)
考えても思い当たる事も浮かばず途方に暮れると、外に気配を感じて窓際へ行くとメティーとクロウが見えた。
(あ……この部屋、裏口側だから……)
先程、クロウが裏口側の窓から見えると言っていたのを思い出して納得する。サンセが大丈夫だと判断した通り、メティーに危害を加えるような危険な気配は感じない。
僕が最初にクロウを見て感じたのは、強ばった気配――
まるで、初めてビター達に会って、どうしたらいいのかわからなかった時の僕の気配に似てる気がする。
そう、僕は昔から感情に疎くて、相手がどう思ってるかも気配でなんとなく判断していた。
父さんに殴られそうな時もピリッとした気配で前もってわかって身構える余裕があったぐらいだし――
クロウの強ばった気配を解いたのは、メティーの笑顔だと思う。それでクロウの気配が柔らかく落ち着いた感じになったから――
(……それは……僕も同じ……)
ベッドに寝転がりメティーと初めて会った日を振り返る――
僕はビター曰く人見知りが激しくて、知らない人や慣れてない人のそばでは警戒心剥き出しで目が怖いらしい。
だから、ビターからメティーの護衛を頼まれた時は“なんで僕が?”と思った。
案の定、僕を怖がったメティーが崖から落ちて、僕の所為だと責任を感じていた。
メティーを怖がらせないようになるべく視線を合わせないようにしてたのに、メティーは危険な目に合わせた僕に“助けてくれてありがとう”と笑顔でお礼を言った。
その笑顔は、昔ビターが笑ってくれた時に感じたような“新たな居場所”をくれたような気がしたのを覚えている――
(……心が暖かくなるこの感じを……他人は“嬉しい”と言うのかな? 僕に居場所をくれた人達の笑顔を思い出すと口元が緩むのが……“幸せ”って事なのかな?)
そう思って緩んだ僕の口元も、先程のサンセの真剣な顔が浮かんで元に戻った。
(……光の話をしてからサンセの気配が一瞬強ばった。……すぐ元通りになったけど。……話しちゃダメだった? でも、ホウレンソウだって言ってたから言わなきゃ余計怒るだろうし……)
“怒る”という言葉に、異形生物を前にしてメティーが泣いた時のサンセの鋭く尖ったような気配を思い出した。
(……あんな鋭い気配のサンセも見た事ない……)
でも、サンセは気配を誤魔化すのが上手で、微かな気配の変化を感じたと思った頃には普段通りに戻ってる事がほとんど――
(……だから……正直よくわからない。……自分の事すらよくわかってないのに……)
『……メティーの事……どう思ってるの?』
サンセの問いかけが再び頭に響く――
(……どうって?……なんでそんな事聞くのか……わからない……僕の返事は合ってたのかな?)
苦笑いを浮かべたサンセの顔が、サンセの欲しい返事じゃないんだとは思う。
けど、わからなくて他に言う言葉も浮かばなかったから、サンセが休もうと言って僕を解放してくれた事にホッとした自分がいた――
ふと、瞼を閉じるとメティーの笑顔が浮かんで、今まで悩んだ不安な思いを打ち消していった。
(……そう……僕はただ……この笑顔を守りたいだけ……)
眠りに着いた僕がサンセの言葉の意味を理解するのは、まだ先の話――
【おまけのおまけ~サンセのひとりごと~】
※もしこのおまけをサンセが読んだらの反応であって、実際はカイトの思いは知りません。
「あー……(苦笑)本当に自分の気持ちわかってない感じな訳ね……。変に意識させただけかも(苦笑)てか、醜い僕の気配を感じ取ってるとか! 今後醜い僕になる時は気をつけないと……。って事は、じゃあ僕の本性もカイトにバレてる可能性あるなぁ……カイトの野生の勘(気配での判断)怖すぎるんだけど(苦笑)」
※実際は知らないから気をつけようがないですが(笑)サンセの本性については、他力本願だった以前よりはしっかりしたので“微かに変わった気がする?”程度にカイトは思ってます(変化を感じても、それがなぜかはわからない感じ)
――おまけおしまい――
次回、ビターとサンセの絆垣間見えるビターの思い!? 前回ミスティーが持ち帰った情報とは!?
※文字数の都合で前回予告したメティー達の部分は次に持ち越しになってしまった事を深くお詫びします。




