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姉御「どうしてこうなった」



皇后様のお茶会には、既婚者として出席した。

流石に、急な婚姻によって欠席するのは無礼にも程がある。

それに加えて、皇太子との結婚を嫌がったと思われるのは些か外聞が宜しくない。

噂というものは流れてからだと遅い。

先に情報を制する者が世を制するのだ。


「ミリア様、ご結婚おめでとうございます。」

「ミシェル!ありがとう、お久しぶりね。」

「もう、ミリアったら突然結婚するんだから驚いたわよ!良い人がいたなら言ってくれても良かったじゃない。」


ミシェルは伯爵家の令嬢ではあるが、書物を愛する仲間であり親友でもある。

図書館にて知り合い、幾度となく顔を合わせる度に少しずつ言葉を交わすようになり、無二の親友となった。


「ごめんなさいね。」

「宜しくてよ。でも本当なの?」

「なんのこと?」

「ご主人が焦って結婚を急いだって話!」


そう、私が焦って起こした行動だと判明しては困るので流した噂がそれだった。


『ご主人が(急かされた私によって)焦って(サインをさせられ)婚姻を結んだ』と。


世間では、この空白の行間に様々な憶測を呼び、一目惚れだとか、皇太子に取られたくなかっただとか噂が噂を呼び、ちょっとしたロマンスとなった。


「貴女の事だから含みはあるでしょう?」

「やだ、乙女の秘密よ。」

「ほらやっぱり。」


小声で笑い合う二人の幼い少女を、離れた場所からのぞくは麗しき夫人とその子息。

彼らはこの国の最高権力者たる皇帝の妻である皇后、および皇太子であった。


「母上、残念でしたね。」

「そうねえ。彼女ならば貴方の良い後ろ楯になると思ったのだけれど。」

「それにしてもまさか昨日結婚するとは。」

「彼女ほどの良縁はないもの、早い者勝ちとでも思ったのでしょう。」


そう言って興味が失せたのか視線を外す二人の親子に、合わせたかのように目をやる二人の少女。


「やっと目を離したわね。」

「こちらを見すぎよね。」

「やっぱり貴女、彼との婚姻が…」

「しー。駄目よ。不謹慎な事を言っては。」

「…そうね。何はともあれおめでとう。」

「ありがとう!」




お茶会を終え、待っていたのは官吏雇用の為の勉強の日々だった。

女子供を働かせるのは貴族の、特に高位貴族においては恥であるとされている。

そんな壁を壊したいと思ったのだ。


雇用の需給に問題は生じるが、貴族の子女の方が学はあるのだから先ずは先陣を切るべきだ。

これまで主に貴族の男性が築きあげた壁は、平民の、特に女子供には崩せないほど強固なものとなってしまっている。


婚姻を結んだはずのジョゼフは、お互い、とりわけ私が幼い事から、十五歳になるまで同居はしないと決まった。


それまでには、せめて勉学では負けぬようにならねばと努力を積んだ結果、十五歳になる頃には官吏の試験に合格し、異例の女性官吏となっていた。


「まさかお前が宮廷に仕事のため向かうとはなあ…。」

「あら、褒めてくださらないの?」

「五年前は、てっきり皇太子妃として仕えるものだとばかり思っていた。」

「ふふふ。この世は戦。負けてはいられないのよ、お父様。」

「何でこんな男勝りになったんだか。」

「お父様が頼りないからだわ。」


そんな話をしながら互いの執務室へ向かい、また夕食でと告げ別れる。


「姉御!おはようございます!」

「姐さん!椅子は温めておきました!」

「お姉さま!お茶はこちらですわ!」

「ミリア様、本日の書類はこちらに。」


「…皆、ありがとうね。」


執務室の扉を開けると飛び込む暑苦しい挨拶。

貴族や平民の貴賤なく(とはいえ防犯上出自が確かな者しか雇えなかったが)雇用した面子だからか、挨拶にさえ多様性に富む。


「本日は都で一番人気のパティスリーの新作デザートを取り寄せましたわ!」

「さすがアンネ!楽しみだわ。」

「姉御…彼女に振られそう……助けてください!」

「そうね、お昼にでも何があったか教えて下さる?」


どうしてこうなったのかしら。


ここは、この五年をかけ民の声の重要性を訴え続け用意された諮問機関である。

宮廷に用意された執務室は存外広く、想定外に良い待遇と前世の仕打ちが結びつかない。

女だてらに厚かましいだとか、でしゃばり女だとかの陰口は茶飯事で、果てには女はすっこんでろ!と叫ばれ、女だという事しか批判できないならあなたが控えていなさいな!と言い返してしまった。

自身の幼さに情けなくなったが、以降、面と向かって悪態をつかれる回数はめっきり減った。


と、ここで漸く思い出した。

あれ、そういえば聖女様はどこにいらっしゃるの?と。




ラストスパート!

最終話は特にあっさりめになると思います!

最後まで宜しくお願いします( ´`)


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