第7話 ストーカーの告白
訂正がものすごく多いです。
ごめんなさい。
自慢じゃないが、私は一度も彼氏というものをつくった事がない。
これから盛りだし、なんて思わないでもなかったが、基本的に男の子に興味なんてなかったように思う。
そりゃ周りではあの男子はどうのこうのと…色恋話は絶えなかったけど、結局他人の話ってやつだった。
そんな私に、彼氏を通り越してストーカーができました。
「そなたはいつも何をしてるのだ?」
「なにって…べんきょうとか、めいどさんとおはなししたりとか」
ふむ。なんて頷いてるストーカー、もとい黒い奴。さっきの導いたってのをよく説明しろ。
おばちゃんの如く部屋に上がりこんできて、追い出そうとする私を強引にベットに押し込めた。
なんで寝ないんだ?と。
お前がいるからだ!と叫びたかったが、今は皆が寝静まる時間帯だ。我慢我慢。
ふたつにみつあみをしてた髪を解き、ボフッとベットに倒れこむ。
あー、眠い。さっきまでこいつのせいでバタバタしてたから尚更だ。
「で、名前なのだが」
「んー…?ねかせてくれるんじゃなかったの?」
いや、不審人物がいる前で寝る私も私だが。
「すまない。だが私はそなたの名前を知らないし、私も名前を与えてもらっていない」
「あー、そう…」
もう限界だ。眠くてしょうがない。目が覚めたころにはこいつはもういなくなっていることだろう。多分。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!せめて名前だけでも決めてから寝てくれ!」
「なまえー…?」
あー、たしかこいつ名前がなかったんだっけ。ないなら自分でつければいいのに。なんで私?
あー、眠い。この黒い奴どっか行かないかな。
「んー、もうクロでいいよ…」
ねむ…。
「くろ?クロか!よし、私の名前はクロで決定だな!ありがとう!これで契約できる!」
そのお綺麗な顔がいきなり近づいたと思ったら、おでこに柔らかい感触を残して離れていった。
え…。
でこちゅー?
は…。
右掌を上にむかせ、左手を右のひじに添える。
軽く右ひじを曲げる。
男の顎めがけ、掌を打ち出す…!
「…!」
どーん。それほど大きな音をたてずに、男はのびた。
ふ。ここでシュベルツに教えてもらった掌底が役立つとは。
このロリコンめ!幼児をなめるなよ!
幼児に倒されてぽかーんとしてた男は、何故だか不思議そうな顔をした。
「なんだろう、この感覚は。痛かった。しかし…どこか甘美な、そういう感覚…」
あれいまなんかちょっとぞっとしたよ。
「それで?なにがどうなったのか、ぜんぜんわからないんだけど」
「うむ。説明をしてなかったな。いや、その前に、主の名まえを聞きたい」
「なまえ?…ルツだけど」
「ルツ…私の主。よし、説明しようじゃないか。うーん、そうだな。実際に見てもらったほうが早いだろう」
突然、ぽんっと目の前の男は消えた。
「え?どこいったの?」
部屋を見渡しても、どこにもいない。
なんだ、今までのはすべて夢だったのか?そう思うほどきれいさっぱりだ。
ふむ。寝ぼけてたのか。と納得すると、ベットにもぞもぞと入ろうとした。
にゃーん
「え?」
猫の声がした。下を見ると、一匹の綺麗な毛並みの黒い子猫。あれ、この子もしかして…。
「にゃんこ?あれ、あのにゃんこ!?」
にゃーんと返事するようににゃんこは鳴いた。
なんでここに…?と思っていると、ぽんっと音がして、一瞬で男に変わった。
「分かったか?」
男が見つめてくる。あ、クロだったか。…え、ということはこいつがあの黒猫!?
「…どういうことかぜんぜんわかんない」
「まあ簡単に言えば、私が主をここへ連れてきた」
「んー…とさ、わたしはしんだんだよね?うん」
「ああ、そうだな」
「…なんでせんろにとびこんだりなんて…」
「主が欲しかったから」
…は?
「器が必要だった。私は定期的に力を移さねばならない。そうしないと力が溢れて周囲が危険にさらされる。おいそれとそこらの者に渡せる力でもないし、自分の気に入った者に渡す方がいいだろう?いろいろなところを巡って、最終的に主に決めた」
「…よくわかんない」
「魂が肉体から離れるのには死ぬしかない。さすれば、殺すしかないであろう。私も猫の姿であったし、主はお人よしだろうと思ったからな。飛び込んでくれると思った」
「…」
え?そしたらさ、こいつのせいで私は死んだってこと?
「殴ってもよいぞ」
なにそれ。意味が分からない。殴れないよ。だって私の命の価値って、こいつを殴れるのに値するのかわかんない。
「う…ふぇ…」
涙が出た。ぼろぼろと。
私が過ごした16年間ってなんだったの?
いつか夢が覚めると信じて。いつかあの生活に戻れるんじゃないかと。
終わっちゃった?
どうして?
ぽんぽん、と背中をなでる手がある。
自分を殺したやつだっていうのに、その腕に縋り付いて泣いた。
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