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第2話 終わり

「にゃんこー、一緒に寝ようかー」


とりあえずミルクを飲んでくれてよかった。

これからちゃんと調べとかないと。


「ふふふ、おやすみ」


ベットの上で横になっている私をじっと見ているにゃんこを、自分のそばに抱き寄せた。

あったかい。

あったかいな。

このにゃんこは大人しくしていて、全然暴れない。

人に慣れてるのかな。

そうだ、名まえも付けてあげないとね。いつまでもにゃんこだと可哀想だ。


そんなことを考えているうちに、私はそのままぐーすか眠ってしまった。

だから、にゃんこがじーっと、朝日が昇るまで私のことを見つめていたなんて、全然分からなかったんだ。





「それじゃ、行ってくるね。大人しくしてるんだよ?

 おばさん、よろしくお願いします。ほんとすいません。急に頼んじゃって」

「いいえー、いいのよー。私の猫ちゃんもいることだし、仲よくなってくれればうれしいんだけどね」

「ありがとうございます。お礼は後できちんとしますので。よろしくお願いします」

「あら、いいのよ、お礼なんて。もう学校じゃないの?いってらっしゃい」

「ありがとうございます。それじゃあよろしくお願いします」


そして、その場から立ち去った。

ああ、隣の家が猫飼っててよかった。まだ飼いはじめたばかりだし、心配だったんだよね。

粗相はしないでおくれよ!

昨日にゃんこを拾った駅のホームで電車を待つ。人っ子一人いない。学生は、ここら近所の大抵の人がバスで行くから。私の高校は県外なので遠い。だからこの駅からJRも通っている駅に行く。あと10分くらいかな。ちょっと早く来ちゃった。


―――――こら、ちょっと!


あれ。

聞いたことのある声なような…。

レールから視線を外して、後ろを振り返った。

さっき別れたばかりのおばさんがこちらに走ってきている。一匹の黒猫を追って。

って・・・うちのにゃんこじゃん!


「え、どうしたんですか。さっそく脱走しちゃったんですか!?すいません・・・!」

にゃんこは私に向かって走ってきていた。ポーンっと私の胸に跳び込んでくる。慌ててキャッチすると、学生鞄が手から落ちた。

「いや、ちょっと目を放した隙に逃げちゃって。ごめんね」

おばさんは息を切らしながらも、私の鞄を拾ってくれた。

「いえいえ、ほんとすいません」

ありがとうございます、と、私とおばさんはにゃんこと鞄を交換しようとする。そのときだった。

にゃんこは私の腕をすり抜けて、線路に跳び出した。


「あ、にゃんこ!」

電車が近づいてきていた。しかも、貨物用のやつだ。もちろん駅などには止まらない。速度を緩めない。にゃんことの距離はもう10メートルほどしかない。

私はそれを認識してから、もう何も考えてなかった。この後、自分がどうなるだとか、おばさんが何を叫んでいるかだなんて。

子猫は線路のど真ん中で、電車の方をじっと見ている。

線路に跳び込んで、にゃんこを腕に抱く。

ホームの下のスペースに、にゃんこを放り込む。

悲鳴が聞こえて。

















死んだな。と思った。





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